
「超」メモ革命 ―個人用クラウドで、仕事と生活を一変させる:全文公開 第1部第1-1章の3
『「超」メモ革命』(中公新書ラクレ)が刊行されます。
5月7日から都心の書店で、5月10日から全国の書店で発売予定です。
これは、第1部第1-1章の3の全文公開です。
3 第3歩―実際に使ってみる
目的のファイルをタイトルで探す
この段階まで来たら、本書を読み進んで、より本格的なアーカイブ(文書保管庫)の建設に取り組んでください。あなたの仕事と生活が一変することになるでしょう。
まず、個々のファイルに、タイトルをつけます。これは、たいした手間ではありません。
多数のメモを作っていくことになるでしょうが、頻繁に使うメモは更新する場合が多いのでファイル一覧の上の方に表示されるため、タイトルを頼りに、すぐに見つかります。
これは、「超」整理法における「押し出しファイリング」と同じ手法です。これについての詳しい説明は、第2―2章を参照してください。
なお、ファイル一覧の並べ方は、「最終更新(編集順)」にしておきます。「最終閲覧(閲覧順)」にすると、あまり重要でないファイルが先頭に来てしまいます。
日記なども、(日ごとに別のファイルにするのでなく)一つのファイルに記録を追加していけば、同じ原理によってファイル一覧の上の方に表示され、見い出しやすくなります。
あまり使わないファイルは、一覧の下の方に行って、見えにくくなります。こうしたものが残っているのは気になるでしょう。気づいたときに削除することは構いませんが、削除しなくても構いません。
「捨てることより、引き出す工夫をする」というのが、「超」メモの基本的な発想です。これについては、第1―4章で詳述します。
検索機能を用いて目的ファイルを引き出す
これまでの段階では、体系などない状態です。しかし、それでも、かなり便利なメモ帳として機能します。
ただし、ファイルの数が増えてくると、タイトルだけでは、必要なファイルを見い出すことが難しくなってきます。これについての対処法を以下に述べます。
まず、本文中にあると考えられる言葉で検索します。すると目的ページを引き出せます。
ただし、「あると思った言葉が実は本文には書いてなかった」とか、「適切な言葉を思い出せない」ということもあるので、必ず成功するとは限りません。また多数のファイルがヒットしてしまって、目的のファイルがどれか判別できない場合もあるでしょう。
このため、以下に述べるようなことが必要になります(この詳しい方法論は、第2部で述べます)。
体系作りは徐々に行なっていけばよいのです。しかも、唯一の正しい体系があるというわけではなく、複数の方法が並立していても構いません。
検索用キーワードを作る
メモの中には、頻繁には更新しないものもあります。
例えば、服用薬のリストを作ったとします。これは、時々参照するでしょうが、内容を頻繁に書き換えることはないでしょう。したがって、このメモはファイル一覧の下のほうに行ってしまって、見い出しにくくなります。
これを見い出しやすくするには、そのページに、「薬リスト、記録記録記録」などと書きこんでおきます。音声入力なら、すぐに入力できます。
「記録」という言葉は、他のメモの本文中にも現れるかもしれませんが、この言葉が三つも連続することはめったにないので、これが記入されたページだけを効率的に引き出します。
これが検索用のキーワードです。「薬」と書いておくだけだと、ほかのメモの本文中に、「薬」という文字があると、それを引き出してしまうため、このようにしたのです。
あまり使わないメモで、しかし失いたくないメモについては、この方式で対処します。
書き込むキーワードは、「重要重要重要」、「保存保存保存」、あるいは(リンク集の場合には)「リンクリンクリンク」などでもよいでしょう。
さらに、頻繁に参照するメモに「いいいい」などと書き込んでおきます。すると、「いいいい」と入力することで、このメモを確実に引き出せることを確かめてください。
このような仕組みをうまく作れば、メモをいくらためても、瞬時に引き出せるのです。
「記録記録記録」で多数のファイルが出てくるのであれば、内容を示す言葉を入れます。例えば、「記録記録記録 薬」などとすればよいでしょう。
なお、検索用キーワードについては、第2―4章で詳しく説明します。