リブラの長所と短所
Facebookのリブラは、ブロックチェーンで運営される仮想通貨だ。これは長所でもあり、短所でもある。
長所として最大のものは、既存の金融システムとは独立の通貨圏を形成できることだ。電子マネーでは、そうはいかない。
ビットコインはその役割を期待されていたが、投機によって価格が高騰したため、決済・送金用には使えなくなってしまった。リブラは金融システムに革命的な変化をもたらす可能性がある。
短所としては、まず第一に、処理スピードの問題がある。ブロックチェーンでは取引が確定されるまでに時間がかかる。ビットコインの場合、1つのブロックは10分間の取引をまとめているので、ブロックチェーンにおける取引は、10分間は確定できない(多くの人々が確定したと思っているのは、取引所との間の取引だ)。取引が確実になるには、さらに数ブロックの経過が必要と言われている。
リブラブロックチェーンでは、これを短縮化するだろうが、実際の取引に必要な程度に短縮化できるのかどうか、分からない。
第二の問題はスケーラビリティーだ。ビットコインの場合にはブロックのサイズが小さかったことが問題にされた。segwitの導入などがなされたが、まだ完全に解決されたとは言えない。
Facebookの利用者が27億人も全世界にいることから巨大な通貨圏が形成されるという予測があるが、スケーラビリティー問題を解決しない限り、実際にそのようなことを実現できるかどうかわからない。
第3の問題は価格の安定化だ。電子マネーの場合はもともと現実通貨建てだが、仮想通貨の場合には発行量を調整する必要がある。これが果たしてできるかどうかが大きな問題だ。
なお、以上の問題は、Facebookの仮想通貨に限ったものではなく、メガバンクが計画している仮想通貨についても言えることだ。