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2024松本山雅 選手短評【MF・FW編】

なんと!年を越してしまいました!
チームは2025シーズンの始動に向けて着々と動き出していますが、僕はまだ2024シーズンに取り残されているということで。笑
備忘録的な意味も込めて、全選手を振り返ってしっかりと終わりたいと思います。

では、MF・FW編いってみましょう!

GK・DF編はこちら!



見方の説明

選手名
出場試合数(うち先発出場数)出場時間 得点 アシスト
警告 退場

データ引用元:Football LAB

MF

山口一真

25試合出場(先発8試合) 929分 3得点 0アシスト
警告2 退場0

松本での3シーズン目になった今季も、昨季に引き続きコンディション不良に泣かされる一年となった。度重なる大怪我から復活を遂げてきたが、どうにも万全な状態には戻らないのかもしれない。シュートを打つときの軸足がぶれてしまって枠に飛ばなかったり、うまくミートできなかったり。また、ドリブルで仕掛けた際にも間合いを詰められて身体を寄せられてしまうと、従来のようなゴリゴリ割って進むことが難しくなってしまっている。
ただ、その代わりに磨かれてきているのはハードワークと守備意識の高さ。プレッシングに出たときの守備も年々うまくなっているように感じるし、最終ライン近くまで戻って来る献身性も素晴らしい。堅い試合運びをしたいときのカードとして計算されていたように思う。
悩ましいのは攻撃的なポジションの選手として、どこまで評価できるかという部分。しっかり守備をしてくれるのは大変ありがたい一方で、組織に埋没してしまうことの恐怖も感じられた。彼の持っているパワーをピッチ内のどこで発揮させるかという采配によるところもあるが、コンディションが100%に戻らない中でアタッカーとしてどのように差別化していくかという壁に苦しめられているようにも見える。いてくれたら助かる選手だが、現在の境遇を考えた際に本人の心境やいかに。


住田将

12試合出場(先発3試合) 313分 0得点 0アシスト
警告0 退場0

無念。この一言に尽きる一年間だった。
開幕戦のピッチに立ちフル出場。背番号を8番に変え、今年は彼の年だと思っていた。競争の激しいボランチにおいて第4節、第6節にも先発出場。比較的順調な滑り出しのように思われた。
ただ、その後にリーグ戦のスターティングメンバーに彼の名前を見ることは一度もなく、ベンチ入りすらできない、もしくはベンチ入りしても起用されないということが多く続いた。明らかにボランチポジションでの序列は下がっており、実質4番手か5番手という立ち位置が定着してしまった。
この事態を招いた要員としては彼のプレーヤーとしての特徴とチーム戦術のミスマッチが大きいと思う。名波監督の時に加入をすると攻守に献身的にプレーできるBox to Boxの選手として期待されていた。霜田監督に変わったあともクラブやコーチングスタッフからの期待は大きく、昨季は継続的に起用されていたし、背番号8を渡されたことからも伺える部分だ。ただ、いかんせん戦術とのギャップが埋めきれなかったのだろう。霜田監督はCBとボランチの4枚でビルドアップを行うことを基本形と掲げており、ボランチには司令塔として振る舞えるパスセンスと技術、プレッシャーをかいくぐれるターンが求められていた。”主体的にプレーする”という観点でボールを持って価値を発揮できる点を重視していたのに対して、住田将はオフザボールで価値を発揮する選手。絶妙に気が利いたポジショニングであったり、スペースを埋めるランニング、球際の競り合いといった部分である。このミスマッチに対して懸命に努力を重ねてきたのは記事やトレーニングマッチでのプレーを見ても感じ取れるところではあるが、試合中も周りの選手から厳しい指摘を受けていたりしたので、十分ではなかったのかもしれない。
新天地であるFC大阪は、彼の強みを活かせるチームであることは間違いなく、真面目な性格もマッチするだろう。もしかすると来季は大きな壁として立ちはだかるかもしれない。お手柔らかにおなしゃす。


菊井悠介

32試合出場(先発30試合) 2,626分 6得点 10アシスト
警告3 退場0

結局、松本山雅は彼のチームだった。
背番号10とキャプテンという重責を担ったシーズン、色々と悩み苦しんでいたことは各種記事からひしひしと伝わってきた。それでも彼なりに消化をして乗り越えて、アシスト王を獲得したことは本当に立派だと思う。
すべての道はローマに通ずならぬ、すべての攻撃は菊井悠介に通ず状態だった。(ボールを貰いに降りてきているときもあるけど)自然とボールが集まるし、彼が前を向くと何かが起きるのではないかと思わせてくれる、スタジアムで見ている人がグッと身を乗り出す瞬間になっていた。それは彼の持つ攻撃のアイデアであったり、そのアイデアを具現化するキック精度であったりに起因するのだけれど。
そこに加わえて彼を魅力的にした要素として「俺が松本山雅を背負っている」「松本の誇りとして下手なプレーはできない」という尋常ならざる覚悟があったと思う。プロ1年目から背負っていたので、色々なものを背負うことで強くなれるタイプの選手なのだなとは感じていた。今季は「松本の未来」というとてつもなく重たいものを背負ってプレーしていたのではないかと、富山の地で人目も憚らずに号泣する姿を見て改めて思った。
宣言通り警告数も3に抑えるなど、年間を通して人間としても大きく成長したことを見せてくれた背番号10。2年連続リーグアシスト王には、良い話が届くであろう。かなり悩んでいることも飯尾さんとの対談記事から伝わってきた。
どんな決断をしたとしても応援する。そう決めている。
昨オフもビッグオファーを断って残留し、ここまで胸を熱くさせてくれて、主将として松本の街を背負って戦い抜いてくれた生え抜き選手が新しい挑戦に向かう決断をしたとして、引き留めることがあるだろうか。
思いが溢れそうだったから、菊井悠介の項は飛ばして最後に書いているのだけれど、もう泣きそうなのでこれで終わり。
今季もありがとうございました!


山本康裕

35試合出場(先発33試合) 2,864分 1得点 5アシスト
警告6 退場0

本当に失礼な話ではあるが、初挑戦のJ3でここまでフル稼働してもらえるとは思っていなかった。ごめんなさい。累積警告で出場停止になった後に少々出番がなかった期間はあったものの、それ以外はほぼほぼ欠かすことのできない存在として中盤に君臨していた。
シーズン中何度も思ったことではあるが、やっぱりめちゃくちゃ上手い。止める蹴るの技術の部分でブレがないところはもちろんのこと、相手に寄せられても全く慌てずに交わしてしまったり、目線やボールの置所で相手を揺さぶって味方に時間とスペースを供給したり、わざとテンポを落として時間を作ったり..。さすがは遠藤保仁の横でプレーしていた選手だなと唸らされる場面が多かった。これがJ1か、と。
彼がチームにもたらしてくれたのはプレーによる直接的な影響だけではない。日々のトレーニングから地道にボール保持のイロハを叩き込んでくれていた。ボールを持っても急ぎすぎないこと、相手を見てプレーすることなど、マインドセットの部分からチームに欠けていたものを浸透させようと動いていた。試合後のコメントでフラストレーションを露わにしていることがあったのも、自分自身がチームにメンタリティを浸透させる責任を負って移籍してきたことを自覚しているが故だろう。
来季はボランチの顔ぶれが変わりそうであるが、山本康裕が絶対的な存在であることは揺らがないだろう。言葉は少なくとも、背中で、プレーで見せてくれる伝道師で有り続けてもらいたい。そして我々サポーターも彼から多くのことを学ばなければいけない。


前田陸王

5試合出場(先発なし) 40分 0得点 0アシスト
警告0 退場0

ルーキーイヤーではあるものの、期待を込めて消化不良と評価したいシーズンだったと思う。
大学時代の映像を見ていても、球際の強さやハードワークを厭わない部分はさすが流経大の選手という感じ。さらにテクニカルで空中戦の強さもあるという魅力を持った選手という印象で、これは菊井悠介と同様にプロでもすぐに頭角を表すだろうなと思っていた。
しかし、実際にはなかなか自分の良さを発揮できる場所を見つけるのに苦労した。4-2-3-1のSHなのかトップ下なのか1トップなのか。4-3-3であればIHなのかWGなのか。どこを選んでもスタメンの選手の壁が高いという問題はありつつも、前田陸王はココで輝くというポジションを確立できなかった。
途中出場で披露した気の利いたプレッシングは元々仕込まれていたものであろうから、十分プロで通用する土台はある。あとはどの武器を磨いて勝負するか、どう武器を披露するかという舞台作り次第。
来季は早川監督のもとハードワークがより重要視されると思われるので、キャンプからアピールを続けて走れるチャンスメイカーとしての本領発揮といきたいところだ。


滝裕太

20試合出場(先発10試合) 878分 0得点 0アシスト
警告2 退場0

出足は順調だった。左SHとして先発の座を確保。今思えば、高井和馬が負傷し山口一真もコンディションがなかなか上がらない中で巡ってきたチャンスをモノにできるかという期間だった。守備面で献身的な姿勢を見せるなど決して悪かったわけではないが得点に絡むことはできず、徐々に出番を失ってしまった。
攻守にわたって器用な選手であるものの、裏を返せば突出した武器を見出せていないとも言える。第13節の大宮戦が象徴的であったが、攻守に求められた役割を全うして試合を壊さないという意味で計算できる選手ではあった。ただ、現在スタメンを張っている選手たちと比べると得点に絡む部分で物足りなさがあるように思う。
おそらく来季は複数年契約の2年目で勝負の年になるはず。ぜひともドカンとかますシーンを多く見たいものだ。


中村仁郎

12試合出場(先発6試合) 597分 1得点 1アシスト
警告2 退場0

ガンバからやってきた至宝。このクラスの若手がやってくるのは久しぶりな気がする。大怪我からの復活を目指すという中で来てくれたので、まずはコンディションを上げていく段階から。その一方でチームは昇格戦線に生き残れるかの瀬戸際を戦っており、1試合でも早く戦力になって貢献してほしいという状況。霜田監督も試合に使いながらコンディションを上げたり、守備意識の改善に取り組んでいたように思うけれど、そこで投資した分をシーズン中に回収することはできなかった。
チームとして彼をどう活かすかの最適解を見つけ出せなかったので、基本的に孤立していたり、周囲とのコンビネーションも即興性が高くて試合ごとの振れ幅が大きい。基本的な守備のお約束ごとをインストールするのにも苦労していた印象で、なかなか使いにくくなってしまった。最終的に守備的な戦い方へシフトしたことで完全に居場所がなくなってしまい、尻すぼみな終わり方になってしまったのは本人にとっても不運だったとは思う。
かなりチームとして成熟しつつあるガンバに戻って勝負できるかと言われると怪しいのではないかと思うので、レンタル期間を延長すること可能性もある。ただ、彼が来た時から強化部も監督も変わってしまっているので何が起こるかは分からないけども。


國分龍司

5試合出場(先発なし) 43分 0得点 0アシスト
警告0 退場0

いやー43分しか出られなかったかー。昨季から10分の1ほどになってしまった。
走れて、技術もあって、献身的に守備もできる。汗をかけるテクニシャンなんてチームにナンボいても良いみたいな存在ではあるが、加えて得点にも絡める菊井悠介という存在が大きな壁として立ちはだかっている。今季はボランチにも挑戦をしており、トレーニングマッチを2試合見た限りだとオンザボールの部分・攻撃面は問題なくやれていると思う。ボランチとして起用するにあたっての課題は守備面。元々攻撃的なポジションの選手なので守備の勘所みたいな部分を掴むのに苦労している印象だった。カウンターを受けた時にどこへ戻れば良いか、前線がプレッシングに出た時にどこでインターセプトするかとか。ここら辺が個人戦術頼みになっていたのがチームとしての課題でもあるのだけど。
来季は早川監督ということで、走れてテクニックのある國分龍司は今季よりも重宝されるのではないかと思っている。よりチャレンジングに攻撃のタクトを振るってほしい。


米原秀亮

25試合出場(先発24試合) 2,037分 1得点 1アシスト
警告3 退場0

シーズン序盤は出遅れたものの第12節以降は完全に主力として定着。ボランチの一番手に近い扱いで霜田監督の厚い信頼のもとでプレーし続けた。昨季から見られていたことだが、球際の競り合いやセカンドボール回収などこれまで課題と言われていた部分は着実に改善。運動量も目に見えて増加しており、1アンカーとしても振る舞えるほどになっていた。パスセンスはもとから備えている選手であったので、フィジカル的な部分が補完されてきて完成度の高いボランチに成ってきたという印象を受けた。
一方で松本に来てから試合に出続けるという経験を多く積んできていないからか、シーズンが進むと同時に蓄積する疲労との戦いにも悩まされていた。身体のキレが落ちていたり、比較的早い時間に運動量が落ちて交代させられてしまったり。このあたりは主力として過ごした経験を元に、来季のフィジカルトレーニングの追い込み方を変えていくなどして鍛えていくしかない部分かなと思う。
そんなことを考えていたら、群馬への完全移籍が決まってしまった。まさか移籍するとは思ってもいなかったので正直驚いた。移籍のコメントを見る限りだと、来年28歳というキャリアを考えた時に環境を変えたいタイミングだったのだろう。松本に長く在籍しているがゆえの慣れはあるだろうし、もう一度ハングリーな環境に身をおいて、もう一皮むけることを目指すのだと思う。同カテゴリーへの移籍は批判を受ける可能性があることも承知の上であるはずなので、本人の決断を尊重したい。アディオス!


村越凱光

36試合出場(先発25試合) 2,205分 8得点 2アシスト
警告0 退場0

若手がブレイクする、そんな瞬間を見た。村越凱光は間違いなく今季殻を破った。昨季は松本で初めて定位置を確保したが、退場処分を受けるなどプレー内容に波があり納得の行く内容ではなかった。そこからの今季、出場試合数・先発数・プレータイム・得点/アシスト…すべてで昨季を上回るという圧倒的な成績を残してみせた。
霜田監督の求めるサイドハーフ像を体現するために、彼がこれまで積み上げてきたプレースタイルとは異なるタスクにも真摯に向き合い続けた。昨季からずっと。その甲斐あって、技術面でも個人戦術の面でも大きく伸びた。
例えば、プレーの選択肢。従来の村越凱光は右サイドの大外でもらってドリブルでカット・インして左足でフィニッシュというのがお決まりの形で、良く言えば自分の型を持っている選手だったが、裏を返すと一本槍な選手でもあった。それが今では相手の立ち位置を観察して空いているスペースで受けて前を向いたり、左サイドで縦に仕掛けて左足でフィニッシュしたり、ボールを受ける前に状況を認知してトラップせずにターンをして逆サイドへサイドチェンジをしたり…出来ることがめちゃくちゃ増えている。
第33節鳥取戦で決めたゴールには成長が凝縮されていた。フルスプリントしながらも安藤翼からのパスをピタリと足元に収めるトラップ技術。そこから慌てずDFの動きを見ながら足が揃ったタイミングで仕掛ける観察眼と落ち着き。右足で少し触ってコースを作り左足でファーサイドへ流し込む滑らかなフィニッシュワーク。そしてこれを左サイドで完結させたこと。彼が努力を重ねてきたものが大きな果実と成って実った瞬間だったと思う。見ていて本当に嬉しかった。個人的な今季ベストゴール。
伸びたのは技術面だけではなく精神面も。警告退場0という素晴らしい成績が物語っている。
これだけの活躍を見せてしまえば上位カテゴリーからオファーはあったとは思うが、来季も残ってくれるとのこと。来季は2桁得点をノルマとして絶対的な主軸の地位を築き上げてほしい。


安永玲央

34試合出場(先発21試合) 1,963分 2得点 4アシスト
警告4 退場0

その右足で松本山雅をプレーオフに導いた漢。
そもそも今季は山本康裕が加入した時点でボランチのポジション争いが激しいことは予想されており、安定的に定位置を確保するまでには至らず。ボランチの2番手争いをしていた感じだっただろうか。
4-3-3に変更した時に出番を失ってしまったが、早々に菊井悠介を左WGへコンバートしたためにIHとして起用されるように。ただ、この左IHは自由奔放に動き回る菊井悠介のカバーをするという役目も担っているため、安永玲央の本来の良さが生きていたかと言われると難しいところ。むしろ窮屈そうな印象も受けた。
それ以前から、「山本康裕に自由にやってもらって、その動きを見て自分がフォローする」というような発言をしていたりと、どこか優等生の振る舞いをしていた気がする。本来は結構やんちゃなのに。おそらくは彼なりに霜田監督の求めるボランチ像に近づこうと試行錯誤していたのだと思うけれども。
ところがどっこい、チームが3バックを導入したことで潮目が変わる。安永玲央がなかなか定着しなかった背景には、4バックの時にリスクを犯したい性分である彼をダブルボランチの一角で起用すると、ボールを狩りに出ていく背後のスペースを利用されることが多く、2CBが代わりに負担を背負わなければいけなくなるので守備が破綻してしまう可能性があって起用が難しくなっていたと思っている。これが3バックになることで、安永玲央が多少無理なプレーをして背後を狙われても3人待ち構えていれば受け止めきれるようになった。彼自身も色々悩んだ結果「本来の自分のプレーをしてチームに貢献するんだ!」というストロングスタイルに帰着して吹っ切れたようで、そのタイミングが合致したことで、中盤を所狭しと駆け回ってボールを狩りまくるようになった。スタミナもあるので、相手が疲れてきてスペースができてくる終盤にかけて輝きを増すという、相手からしたら厄介極まりない存在になっていたのは興味深かった。移籍後初ゴールを含む2得点(プレーオフ含めると3得点)が生まれたのは、攻撃に出ていく回数が増えたことと、より大胆に攻撃参加できるようになったことと無関係ではないはずだ。
来季もいてくれるかはわからないが、恩師早川さんが監督になるということで重宝されるのは間違いないはず。さらなる飛躍に期待したい。


FW

高井和馬

6試合出場(先発なし) 116分 1得点 0アシスト
警告1 退場0

霜田監督の愛弟子として、即戦力アタッカーであると同時に、霜田監督の戦術をより深くチームに浸透させるための通訳的な役割も期待されての加入。キャンプでは左SHの一番手としてトレーニングマッチでも良い連携を見せていた、そんな矢先の大怪我。シーズン中に復帰できるかどうかも不透明な大怪我はチームにとって大打撃だった。
懸命なリハビリを乗り越えて復帰できたのは10月。それ以降はほぼ全試合にベンチ入りを果たして、ジョーカーとして起用されていた。
ただ、長期離脱から復帰して、いきなり一戦必勝の状況に投入されて救世主になれ!と言われても酷なところはある。コンディションを整えるので精一杯だったと思うし、無理をすれば患部の状態が悪化してぶり返すなんてこともよく聞く話だ。トレーニングマッチで長い時間プレーしている様子を見たが、ちょっとまだフィジカルコンタクトに不安があるのかな?と感じることもあったりしたので、身体と相談しながらのプレーだったと思う。
霜田監督が要望して獲得してもらった選手のはずで、複数年契約だと思ったが今オフに満了になってしまったところを見ると単年契約だったみたい。長期離脱から復帰したばかりだし1年延長してやってくれ、と感情的には思うしクラブもそうしたいところだろうが、来季の予算を考えた時に決して安くはないであろう年俸負担がネックに成った可能性は高い。
まだどこでプレーするか決まっていないので心配ではあるが、元気に躍動する姿を願っている。ありがとうございました!


浅川隼人

32試合出場(先発25試合) 2,161分 13得点 0アシスト
警告3 退場0

もどかしい1年だったと思う。見ているこちらでさえ非常にもどかしい思いをしていたので本人はなおさらではないかと。
何がもどかしかったかと言うと、彼自身のコンディションは悪くないのに、そもそものシュートチャンスが全然来なかったことだ。選手短評を書きながら何人かの選手で「シーズンが進むにつれてチームの戦い方が変化して…」という枕詞を使っているが、浅川隼人が最も影響を受けた選手だと思う。
彼に得点を量産してもらうという点から逆算して、どのように彼にボールを届けるのか、敵陣深くまでどのように運んでいくのかを設計することで始まったチームである。キャンプでは怖いくらい順調に行っているような情報が漏れてきていた。実際、ゴールを量産していた時期はあった。問題はその時期が短かかったことだ。
彼にとって逆境になったであろうことはいくつか挙げられる。
まず、次第にSBが高い位置を取れなくなり、良いクロスが供給されなくなってしまったこと。独力でゴールを陥れられるタイプの選手ではないので、いかに質の良いボールを頻度高く供給できるかが勝負だったのだが、中盤戦以降は1試合に1回チャンスがあるかないかという状況が続いてしまった。
次に、守備の負担の重さ。これはプレッシングについて言っているわけではない。彼は守備が得意な選手で、献身的に走るしスタミナもあり、なおかつ頭が良いので背中でアンカー/ボランチを消しながら寄せていくなんてお手の物だ。ここでの守備負担は、自由に動き回るSH/WGのフォローに回らなければいけないというタスクについてである。良く言えば柔軟なポジションチェンジだが、大抵の場合カオスになっていることが多い前線の立ち位置は、攻撃から守備に切り替わった際に即時奪回ができないというデメリットとして現れていた。その傷口をなんとか最小限で止めようと、浅川隼人が気を利かせてサイドのポジションを埋めていたり、ダッシュでプレスバックしていたりする場面は何度もあった。本来、得点を取ることに集中してほしい選手が守備で走らされてしまい持ち場を離れることは、彼は文句を言わないだろうが悩ましかったとは思う。
最後は3バックにしてからの戦術変更。チームの重心を後ろに下げたことで、FWに求められる役割の比重は得点を取ることよりも前線で身体を張って起点を作ることが多くなった。体格的に優位に立てないから駆け引きや頭を使って得点を奪ってきた選手なのだから、その選手に相手のCBと競り合ってボールを収めてくれと言うのは余りにもミスマッチすぎる。ここでも懸命に取り組んでくれていたが、そうじゃない感が強かった。
あっさり契約更新が発表されたのは、複数年契約を結んでいたからだろう。今季苦しんだ前述の要素が来季どれくらい解消されるかはわからない。ただ、規律を重んじる早川監督のもとで諸々が整理され、得点を取ることに集中できるようになった彼がどれほどの成績を残すのかも非常に興味がある。得点王を獲得しチームも優勝するという物語の続きを描けることを願って。


安藤翼

38試合出場(先発30試合) 2,305分 6得点 4アシスト
警告1 退場0

終わってみれば全試合に出場し、出場試合数・先発数・プレータイムでキャリアハイを記録した年になった。右SH、トップ下、左SH、1トップと起用されるポジションや与えられる役割は試合ごとに異なるくらいの勢いだったが、そつなくこなしてしまうところに玄人好みの凄みがある。
ベースとしてフィジカルの強さ、特に体幹と足腰の強さがあることで、どのポジションであっても攻撃の起点になる働きを安定的にしてくれたのは本当に大きかった。長身選手が前線にいない中で、ターゲットマンとしても重宝されていた。チーム的には微妙だけど。
フィニッシュの最終局面で待ち構えるというよりは、決定機を生み出すための起点になることが多かったので得点数が伸び悩んだのは本人もコメントで悔やんでいた部分。それでもシーズン終盤に見せたゴラッソメーカーは記憶に残る活躍だった。練習でも入らないのでは…と思われるミドルシュートをいとも簡単に(簡単に見えるように)決めてしまうあたりに、彼のポテンシャルの高さが垣間見える。
3バックにしてからはFWにカウンターの起点として、相手のCBと競り合いながらボールを収めて時間を作るという、かつてのオビナに託していたようなハードタスクが課されたことで1番手の存在に。満身創痍の中ギリギリで戦い続けてくれていたが、プレーオフ決勝で限界を超えてしまい無念の負傷交代。安藤翼の交代があと10分遅ければ…というのは、今後ずっと山雅サポが話すタラレバ話の定番になっていくのかもしれない。
もし上位カテゴリーからオファーがあったとしたら、来年29歳になる年齢を考えるとラストチャンスかもしれない。バリバリやれるうちに高いレベルでチャレンジしたいという願望を引き止めることはできない。もし残ってくれたら来季もゴラッソを叩き込んでくれい。


田中想来

出場なし

夏にシンガポールから帰ってきたが、出場機会はなくシーズンを終えた。
ユースから上がった年から期待されていてはいるものの、なかなかプロの環境で伸び悩んでしまっている。久しぶりに関東のトレーニングマッチで見たときには、身体が一回り大きくなり胸板も分厚くなっていたので、フィジカル面ではだいぶ仕上がってきているのだと思う。
問題は、どんな選手としてプロの世界で勝負していくかがイマイチ定まっていなさそうなところ。彼自身もそうだし、クラブとしてどう育てたいかも見えてこないのは悩ましい。プロ入りしてきたときから、大きな穴がなくて何でも器用にできそうな選手だなという印象だったが、とりあえずそのまま全部のパラメータを少しずつ引き上げている感じになってしまっていないか心配。このままだと、そこそこ何でも器用にやってくれるけれども、突出した武器が見当たらないので試合のどのシチュエーションで起用したらよいか分かりにくい選手になってしまいそうで。
オールラウンダー型の選手で育成していくならそれはそれで良いのだけれど、目指すべき選手像を一緒に描いてあげて、理想と現状のギャップを明確にして取り組むべき課題にまで落としてあげる作業が今の彼には必要な気もしている。これを全部1人でやれというのは難しい気もするし、クラブが生え抜きとして期待しているなら尚のことサポートしてあげてほしい。
来季こそ。


以上!
来季も頑張ろう!!!!!!


俺達は常に挑戦者


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