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2024松本山雅 選手短評【GK・DF編】
シーズンが終わって早くも2週間。
富山でのショックを完全には払拭できぬまま、それでも来季へ向けてゆっくりと歩みを進めつつあるクラブ。
自分としても今季に区切りをつける意味も込めて、色々あったシーズンを選手短評という形式で振り返っていきたいと思う。
まずはGK・DF陣から!
2024/12/22~2024/12/28に書いているので、諸々その時点の情報です。
見方の説明
選手名
出場試合数(うち先発出場数)出場時間 得点 アシスト
警告 退場
データ引用元:Football LAB
GK
大内一生
30試合出場(先発30試合) 2,700分 0得点 2アシスト
警告0 退場0
昨季終了段階でGK陣には、ビクトル・村山智彦・神田渉馬・薄井覇斗とJ3の中では十分すぎる面々が揃っていたが、そこへ加入してきた若武者。23歳ながら、松本が4クラブ目。J3で61試合出場経験があるという実力者だ。
シーズン序盤は神田渉馬に正守護神の座を譲っていたが、第2GKという立ち位置は確保。第8節の金沢戦で6失点での大敗を喫すると、ここでようやく出番がやってくる。
今季のGK陣は個性豊かなメンバーだと思っていたが、その中でも大内一生はかなり尖っていた。まず取り上げるべきは攻撃的かつ物怖じしないメンタリティ。すぐ近くまで全速力でプレッシングをかけられても、パスコースが狭くてもボールを捨てることなく味方へ繋いでいく。加えて、ボールを持ったときに遠い場所を見える点も強み。近場ではなく相手の前線を超えて中盤の味方に付けたり、一気に相手最終ラインの背後まで届けることができる発想と実現させるキック力を含めて霜田サッカーにおいて重要なピースだった。アシスト2つは本当にスーパー。そして3バックを導入した最終盤、ビルドアップで詰まる事が多かった中でさらに後ろで脱出口になってくれる彼がどれほど頼もしかったか。
GKとしての本分であるセービングもシーズンが進むほどに洗練されていった印象。ビッグセーブで試合の流れを引き寄せた場面は一度や二度ではなかった。
ここまでセンセーショナルな活躍をしてしまうと上のカテゴリーに目をつけられていそうだが、来季早川さんが監督を務めるにあたって引き続き重要な存在であることは間違いないので残ってくれると嬉しいけども…。
村山智彦
出場なし
昨季は23試合に出場し健在をアピールしたベテランだが、今季は若手の台頭に押されてしまい出場なし。そして今季での契約満了が発表された。
リーグ戦のピッチでその勇姿を見ることはできなかったが、関東のトレーニングマッチで見かけた際には抜群の存在感を発揮していた。とにかく声を出す。良いプレーは称賛し、物足りないプレーには檄を飛ばす。最終ラインの選手だけではなく、最前線のFWまでピッチ全体を見渡しながらほぼすべてのプレーに対して声掛けをする姿が印象的だった。プレッシング時の立ち位置を修正するように細かい指示を出したり、攻撃面でのアドバイスは霜田監督の掲げるスタイルへの深い理解が土台にあるはずで、それをリアルタイムで出来るところに凄みを感じたものである。
契約満了時のコメントを見るに、まだまだ現役を続けたい様子なので来季もどこかでプレーするのだろう。なぜベンチ入りを続けていたのかという点を考えれば数字に現れない影響力を持った選手なのは明らかで、松本はロスを感じるだろうし、次にプレーするチームでもきっと大きなコーチングが響くのだろう。
足掛け11年間。本当にありがとうございました。
ビクトル
出場なし
安定したセービングとハイボール処理が持ち味のスペイン人GKも、足元の技術や組み立てに加われる積極性を求められた今季は出番なし。彼のプレースタイルから考えるとフィットするのは難しいとは思っていたし、シーズン終盤に守備を重視した際には大内一生がセービング含めて成長を見せていたこともあって出場機会の確保は難しかった。
トレーニングマッチでも変わらぬ反応の良さと安定したセービングを見せていたので、他クラブであれば出場できるのではないか?と思ったり。悲しいかな、お別れの時期が近づいてきている気がする。
神田渉馬
8試合出場(先発8試合) 720分 得点0 アシスト0
警告1 退場0
開幕戦でスタメンを飾ったのはサプライズだった。もともと足元の技術はアカデミー時代から折り紙付きで、フィジカル面やセービング技術をプロ仕様にアップデートできれば機会がありそうとは言われていたが開幕から抜擢してくるとは。キャンプでも成長を見せていたそうだし、若手を積極的に起用する霜田監督らしい部分が出たなと思う。
ただ、出場した開幕8試合で2勝3分3敗とスタートダッシュに失敗。クリーンシートも2試合のみと、なかなか守備が安定しない試合が続いてしまっていた。迎えた第8節で金沢に6失点を喫すると守護神の座を奪われてしまい、そこからベンチ入りすらもしないままシーズンを終えることになった。当然ではあるが、この期間の成績が神田渉馬ひとりの責任ということではない。ただ、調子の上がらないチームがGKを交代して流れを変えようとすることはよくあるし、ショッキングな試合の後だったからこそなおさら。
足元の技術がたしかであることはアピールできたし、八戸でデビューした際の不安定さは大きく改善されていた。あえて大内一生との差をあげるなら、メンタリティの部分だろうか。神田渉馬は比較的慎重派で、大内一生はアグレッシブという正反対に近い印象を受けた。神田渉馬は近場近場にパスを出す傾向が強くて、プレッシングを受けて苦しい状態でGKへボールを戻しても近い味方に渡るので再びプレッシングの餌食になってしまうという悪いスパイラルに入ってしまった。もう少し中距離の味方が見えるようになってきたり、既に見えているならばそこへ届ける勇気が出てくると、単に足元がうまいだけではないGKとしてスケールアップできそうな予感がする。
DF
宮部大己
21試合出場(先発16試合) 1,439分 0得点 0アシスト
警告4 退場0
本格的にCBへコンバートされた今季は、波の大きな一年だった。開幕はベンチ外。昨季常田克人と野々村鷹人という主力を擁したポジションに高橋祥平が加わった陣容なので、多少出遅れてしうのは致し方なかったと思う。
最初に転機が訪れたのは6月。中断期間前に行われた北九州戦で野々村鷹人が負傷してしまったことで、2CBの一角として初スタメンを飾ると11試合連続でスタメン出場を果たす。SBとしてもプレーできるだけの機動力と圧倒的な地上戦対人守備で最終ラインを支え、4-3-3システムでプレーするチームで奮闘を続けた。しかし、178cmとCBとしては小柄な部類に入る体格差を狙われてしまい、富山のマテウス・レイリアを筆頭に大柄なFWに後手を踏んでしまう場面も多かった。宮部大己とのミスマッチを活かすようにロングボールを放り込まれ起点とされてしまうと、前線が厳しくプレッシングをかけてロングボールを”蹴らせている”松本からすると一気に苦しくなってしまう。
そんな部分が課題となったままスタメンを外れる試合が増え、今季は難しいかと思われた終盤に3バックへの変更という再びの大きな転機がやってくる。CB2枚で守ることを求められる4バックと異なり、3バックであれば空中戦を他の選手に任せて元来のアグレッシブな守備を出せるようになっていた。ビルドアップで苦戦するところは見受けられたが、そこも伸びしろ。
ただ、来季はどうなるかは未知数だ。CBでチャレンジを続けるのか、SBに戻るのかなども監督次第。それでも足元の技術含めて毎年着実に成長している姿を見せてくれているので、来季はどんな成長を見せてくれるか楽しみである。
高橋祥平
13試合出場(先発12試合) 1,015分 1得点 0アシスト
警告1 退場0
開幕戦からピッチに立ったものの、波に乗り切れないチームと同様に彼自身のコンディションやプレーにも精彩を欠き金沢戦をターニングポイントにベンチ入りすらもなくなってしまう。満足な出場機会がなかった要因は戦術的な理由よりもおそらくコンディション面だろう。3バックに変更してからのプレーを見てそう思わされた。
空中戦の強さだけではなく、最終ラインを統率するリーダーシップ、的確に背後のスペースをカバーする読みの鋭さとスプリント。3バックの中央を任せた際の安心感は非常に高く、最終盤に連勝を重ねられた理由のひとつになっていた。ただ、さすがに年齢を重ねてきて身体の無理が効かなくなってきているのか、試合によってはフル出場が難しいことも。シーズン通してフルコンディションだったら…とは想像をしてしまうが、最終ライン特にCBに多大な負担をかける戦術を採用するチームにおいてフル稼働をするのは難しかったはず。もう少しプレータイム調整をするなどして稼働割合を増やしたかった。
常田克人
28試合出場(先発25試合) 2,264分 1ゴール 2アシスト
警告2 退場0
昨季は野々村鷹人とのコンビで安定した活躍を見せており、今季もレギュラーは堅いと思っていたが蓋を開けてみると試練が立ちはだかった。金沢戦で大敗した後にスタメンを外れたのは、ショックを受けたチームに対するカンフル剤だったと考えられるし、実際に3試合後には先発に復帰している。変わらぬ信頼を勝ち取っていると考えられていたが、3バックへ変更したタイミングでぱったりと使われなくなってしまった。
左CBに右利きの宮部大己を起用していたことでビルドアップはノッキングを起こしていたりもしたし、左利きの常田克人がいれば…と思わされるシーンは何度もあった。チームが連勝街道を進んでおり変えにくかったというのが実情かもしれないが、それまでレギュラーだった選手が突然ベンチ外になってしまうということは何かしらの理由があるのだと思わざるを得ない。
標榜しているスタイルでCBを任せるにあたって不足していた部分があるとすればリスクテイクする積極性だろうか。長い距離のフィードは一級品であることは異論の余地がないが、速い楔の縦パスや相手を迎撃する守備についてはまだまだ伸びしろがあったと思う。
とあるトレーニングマッチで見かけたときには、味方から相当怒られるくらいに声が出ていなかったりして少し自信を失ってしまっているようにも見受けられた。来季残ってくれるかはわからないが、もっとスケールアップした姿を見てみたい。
馬渡和彰
18試合出場(先発13試合) 1,081分 0得点 1アシスト
警告2 退場0
今季キャンプで掲げたスタイルを実現するためのキーパーソンの一人だった。高い位置を取るSBを攻撃の起点として、そこからのクロスに浅川隼人や菊井悠介が合わせる形はキャンプを通じて完成形に近づいていたし、チームの軸になるはずだった。それだけに彼が万全だったときに浅川隼人や菊井悠介が欠けてしまいホットラインが成立しなかったこと、前線のメンバーが揃ってきたシーズン中盤に入ったら今度は馬渡和彰自身が両膝の負傷で離脱してしまったことは大きな痛手だった。第28節の今治戦で復帰を果たしたものの、コンディションは万全ではなく本来の存在感を出せなかった。
そんな中でも第31節の信州ダービーでの45分間は鮮烈だった。彼本来の良さである創造性と自由な動きで相手を撹乱し、得点シーンでは逆サイドのハーフスペースにいるという驚きも。
コンディションの問題はあるにせよ、彼自身の自由は発想やそのアイデアを現実にしてしまう技術を最大限引き出せなかったのは悔やまれる点。どうしてもシーズンが進むにつれてリスクを負えなくなり、SBが低い位置でプレーするようになると消えてしまう試合も多かった。
年齢と年俸を考えると単年契約でも不思議ではないが、シーズンの代償として両膝の手術を決断し全治3ヶ月という状態なので来季も契約を提示するのではないかと思うが…。
橋内優也
11試合出場(先発4試合) 453分 0得点 0アシスト
警告0 退場0
今季もと言うべきか。困ったときに頼りになる漢だった。出場機会が回ってきたのは大敗した金沢戦の直後。自信を失いかけていたチームを立て直すために白羽の矢が立ち、4試合連続で先発に名を連ねた。それ以降も試合最終盤で締めの役割を任せれてベンチ入りをしており、特にシーズン最終盤に3バックへ変更してからは重宝されるように。
ただ、橋内優也の貢献度は453分の出場時間だけでは測れない。ベンチ入りをしている試合では、タイミングを見計らってCBに声をかけてアドバイスをしたり、失点をして意気消沈するピッチ内に対して真っ先にベンチから飛び出して檄を飛ばしたり。存在自体が重しとして重要であったと思わされる場面は何度もあった。
なんだかんだでシーズン何処かで出番が回ってくるような年が続いているが、橋内優也におんぶにだっこでいられるのもそう長くはない。最終ラインを引っ張るリーダーへの帝王学の伝授はどれくらい進んでいるだろうか。
山本龍平
31試合出場(先発25試合) 2,159分 2得点 5アシスト
警告2 退場0
今季大きく飛躍したひとり。昨季が22試合出場(先発15試合)1,388分という成績だったことを考えたら、かなり稼働率も上がったしアシスト数も3つ増えている。
キャンプでコンディションを崩していたようで出遅れてしまい、シーズン序盤こそルーキーの樋口大輝に出番を譲っていたが第10節から左SBに定着。持ち味の左足のキックには磨きがかかっており、一定の時間とスペースが与えられると得点の匂いがするようなレベルになってきた。その正確かつスピードのあるクロスは浅川隼人との相性が抜群。ホットラインを築いた。
悔やまれるのは、シーズン途中からSBを高い位置に押し上げられなくなり、純粋に攻撃参加する回数が減ってしまったこと。ボールスキルが高いので低い位置からの組み立てに参加することも出来るのだが、彼本来の良さはそこではない。印象深かった前半戦と比べて、後半戦がやや無難な活躍に映ってしまうのはコンディションを崩したことだけではなくチーム事情も大きな要因だろう。
まだ24歳と若く、これだけ正確なキックとアップダウンできる脚力を持っている選手となると上のカテゴリーから触手が伸びるのは必至。ただ、まだ山雅で成し遂げられていない忘れ物があるとも思うので、来季こそ10アシストを目指して躍動する姿を見たいのだけども…。果たして。
佐相壱明
27試合出場(先発11試合) 1,154分 1得点 1アシスト
警告3 退場1
最終盤の印象がどうしても強くなってしまうが、1年を通してみると苦しんだシーズンだった。27試合出場はキャリアハイだが、先発は11試合のみ。プレータイムにも現れてしまった。
戦術理解度が高く、攻守にハードワークが出来る。加えて監督のもとでのプレー経験があり橋渡し役にもなれる。チームに1人はいてほしい選手だが、一方で決め手に欠ける選手にもなってしまっている印象だった。いわゆる器用貧乏というやつだけども。
それでも、彼自身が特徴だと言っている攻守にタフに闘えるところ、総力の部分は間違いなく松本山雅というクラブの根底に流れるアイデンティティそのもの。ある意味では”山雅らしさ”を体現している、少し懐かしい気持ちにさせてくれる選手だった。特に彼がタッチライン際で身体を張ったり、二度追い三度追いを見せたときの迫力は心打たれるものがあり、「粘り強くプレーする」というシンプルなことでアルウィンを沸かせることの出来る存在だったと感じた。
第34節のYS横浜戦で馬渡和彰から高い位置での1対1とクロスについて直接指導をされていたが、彼の課題はまさに得点に直結するプレーの部分。クロスであったりシュートであったり、こういったフィニッシュに近いプレーの精度が上がってくるとより怖さのある選手に成長していくはずだ。
二ノ宮慈洋
3試合出場(先発なし) 20分 得点0 アシスト0
警告0 退場0
プロとして大きな一歩を踏み出したシーズンになった。リーグ戦デビューは第15節の今治戦。このときはスクランブル対応の中でパワープレー要員としてだった。翌節の鳥取戦でも終盤に出番を得て機会を積むと、第26節の岐阜戦では野々村鷹人のアクシデントを受けて比較的長い出場時間を得る。ビハインドを背負って圧力を強める相手の攻撃をシャットアウトし、ボール保持の場面でもリスクを負わない選択でしっかりと味方にボールを届けるなど、良い意味で無難な活躍を見せてくれた。
実際に彼の成長はトレーニングマッチなどを観ていても感じるところがある。プレーに余裕が出てきたし、上のカテゴリーのFWと相対してもフィジカル勝負で互角以上の争いを見せられていた。CBには経験・実績の豊富な選手たちが揃うので定位置を奪い取るのは容易ではなく、さらに来季は専修大学から松村厳も加入する。争いは激しくなるばかりだが、着実に一歩一歩階段を登っていることが伝わってくるので、焦らずに実力を身に着けてほしい。
樋口大輝
33試合出場(先発27試合) 2,366分 6得点 3アシスト
警告2 退場0
今季最大のサプライズ。ルーキーながらチーム4位のプレータイムを記録しただけでも十分素晴らしいのに、6得点3アシストと結果まで残してしまった。ここまでの活躍を見せるとは正直予想できていなかったので、かなり驚いた。
見ていて感じたのは基礎的な能力の高さとバランスの良さだ。SBとして攻撃も守備もそつなくこなし、左右どちらのサイドでもプレー可能。アップダウンの激しい動きにも十分対応できるので、大前提としてSBとして大きな穴がない点がシーズン通して出場し続けられた理由だろう。ルーキーながらキャンプのトレーニングマッチから定位置を掴んでいたことからも、そもそもの完成度が高い選手だったことがうかがえる。
おまけに空中戦でも脅威になれる点が特徴だった。173cmと上背があるわけではないが、抜群の身体のバネから繰り出される跳躍力が圧倒的。セットプレーはもちろんのこと、山本龍平が左SB樋口大輝が右SBという組み合わせだったときは、オープンプレーからも強烈なヘディングを叩き込んでいた。もともと攻撃的なポジションでプレーしていただけあって、エリア内に入っていく嗅覚やクロスに合わせるタイミングの良さはさすが。他のSBとは一線を画す存在になれそうなポテンシャルを秘めている。
下部組織出身のルーキーが、1年目から鮮烈な活躍を見せたらサポーターの心を掴まないわけがない。チャントの歌詞よろしく、いつまでも松本の街で輝く星でいてほしいものだ。
野々村鷹人
31試合出場(先発24試合) 2,198分 4得点 0アシスト
警告2 退場0
最終ラインの要として存在感を増した1年だった。5月に右膝内側側副靭帯損傷を負ってしまい長期離脱を余儀なくされたが、復帰してからはほぼ全試合に出場。システムが代わっても彼への信頼は絶対だった。
昨季霜田監督のもとで大きく成長を見せたが、その成長曲線は今季も変わらず高い角度のままだ。ボールを持ったときの落ち着きはさらに増し、パススピードも上がった。足元にボールを置いたときに自然と顔が上がるようになったので、周囲の状況がよく見えるようになったのだろう。鋭い楔のパスだけではなく、昨季は苦労していた逆サイドへ送る中長距離のパスも精度が上がった印象。持ち前の空中戦の強さだけではなく、攻撃面でもチームに大きく貢献できるCBへと成長を遂げたシーズンだと言える。
技術面だけではなく、試合を観ていて精神面での成長も感じた。最終ラインのリーダーとしての自覚を持ちラインコントロールをしたり、下を向く選手を鼓舞したり、試合後のコメントでも自分だけではなくチーム全体に関する発言内容が増えてきた。
伸びしろを残すとしたら、よりプレーの精度を上げる部分だろうか。90分の中で見せるプレーの最大値は間違いなく上がっているので、次は平均値を底上げしていくかという部分。ミスなくこなすだけではなく、霜田監督のもとで培ったチャレンジ精神を忘れずに攻撃面での精度も引き上げていくことができれば、おのずとチームも浮上していくはずだ。敬愛する背番号4がだんだんと近づいてきたのではないだろうか。
藤谷壮
19試合出場(先発6試合) 679分 1得点 2アシスト
警告0 退場0
昨季右SBのレギュラー格として33試合に出場し、今季は馬渡和彰という強力なライバルが加入したものの、まさかここまで出場機会が限られてしまうとは。むしろSBを高い位置に上げるスタイルは彼との相性が良いとすら思っていたが蓋を開けてみると難しいシーズンだった。
試合に出ればコンディションは悪くないように見えた。事実として第13節の大宮戦では1得点1アシストと強烈な活躍を見せていたし、そこから2試合連続で先発のチャンスも巡ってきた。ただ、その後は第32節までスタメンの機会はなく、3バックに変更してからはベンチにすら入ることができないままシーズンが終了してしまった。
トレーニングマッチでのプレーを見る限り、彼自身のプレーがすごく悪かったかと言うとそうではないと思う。コンディションが整わなかったりした面はあるだろうけども。どちらかというとチームの戦い方の変化に適応することができず、その点で馬渡和彰や樋口大輝の後塵を拝してしまった印象だ。彼の持ち味であるオーバーラップを活かすために1列前でタメを作ってくれる存在がなかなか現れず攻撃面で良さを発揮できないでいると、前に出た背後のスペースを狙われるというデメリットが強調されてしまった感じがする。中村仁郎の加入が追い風になるかと思われたが、連携面でなかなか噛み合わず、中村仁郎自身もコンディション調整に苦しんで出番を失ってしまったのも痛かった。
北九州から引き抜いた際に好条件を提示していたことも要因になってしまったか、今季で契約満了。そのポテンシャルを十二分に発揮できたかといえばそうではないままお別れを迎えることになってしまったので非常に残念だが、一定のプレータイムさえあれば輝きを取り戻せるはずではある。どこかで会えることに期待して。アディオス!
GK・DF編はここまで!
続きは別の記事で!
俺達は常に挑戦者
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