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なぜ、話すだけで悩みが消え、前に動き始めるのか?

カウンセリングにおいて、クライアントは、カウンセラーに話しをするだけで、悩みが消え、前に動き始めるようになります。

それは、なぜなのか?

一言で言えば、クライアントの中で、ご自身とのかかわり方が変わるからなのです。

もう少し、詳しくお話しします。

人は、誰しも孤独を感じて生きています。

たとえ、多くの友達や同僚、家族に恵まれていても、心の中では、「本当のことは、誰もわかってくれていない」と、あきらめています。

仕事のこと、家庭のこと、健康のこと、お金のこと…

わたしたちは、毎日、さまざまな問題を抱えて生きていいて、ひとつひとつの問題であればなんとかしのげても、人生には、いくつもの問題が複雑に絡み合って一度におそってくる時があります。

そんな時に、ふと、思うのです。

「このつらさを、だれかにわかってほしい。この心の痛みを、ただそのまま、いっしょに感じてほしい」

カウンセリングでは、
あなたのためだけに時間をとって、
あなたのことを待ち、
あなたのためだけに、心とエネルギーをすべて使って、
あなたのつらさや痛みをそのまま感じとるようにします。

話すだけ、誰かに”分かってもらえた”と感じると、何が起きるのか?

自分のつらさや痛みを話し「わかってもらえる」ことで、人は、自分の気持ちに素直に向き合うことができるようになります。

言いかえると、人は、誰かに「わかってもらえる」ことで、はじめて、そのままの自分を自分で受け入れることができるのです。

自分の心のひだに丁寧に触れて、内に秘めていた声にやさしく耳を傾けることができるようになるのです。

カウンセリングを続けていくと、クライアントの中で変化が生じます。

その変化は、カウンセラーの態度を反映したものです。

クライアントは、カウンセラーが自分の話をすべて受け入れて聞いてくれことに気づくにつれて、少しずつ、自分自身に耳を傾けるようになっていき、自分の中から伝えられるものを受け取り始めます。

たとえば、
自分が怒っていることに気づいたり、
どのような時に、自分が恐れを感じるのかを認めたり、
どのようなことに、自分が勇気を感じるのかを理解したり…

自分の中で生じていることに対して、いつも否定し、押し殺してきた感情に素直に耳を傾けることができるようになります。

怖くて、非常識で、恥ずかしいと思い込み、それまでフタをしてきた感情に対して、耳を澄まして聴けるようになるのです。

自分を傾聴することを学ぶと、以前よりも、自分自身を受け入れるようになります。

自分がフタをしてきた陰の部分を表現し続けても、カウンセラーが変わらず、自分に無条件の関心を寄せていることに気づくようになると、少しずつ、クライアント自身が、自分に対して同じような態度をとれるようになっていきます。

つまり、ありのままの自分をそのまま100%、受け入れるようになるのです。

さらに、クライアントは自分の中の感情を丁寧に傾聴するようになり、自分に対して批判的でなくなり、より受容するようになるにつれて、自己一致する方向に向かいます。

自分が身につけてきた仮面を脱ぎ捨て、防衛的な行動をやめ、そして、本当のあるがままの姿に開かれることを見いだすのです。

こうした変化が生じるにつれて、つまり、自分への気づきが増え、さらに自らを受け入れ、開かれていくについれ、ついには、自然な方向へと自由に変化し、成長する自分を見いだします。

こうして、話を聴いてもらっているうちに、「自分自身の気持ちを聴く」ことを学び、「自分自身の内側への傾聴」をするようになっていきます。このことが、生き方、生きる姿勢、自分自身への関わり方の変化を起こしていくのです。

あなたが話し、カウンセラーが傾聴しているうちに、
あなたが「自分自身への傾聴」を学んでいく。

それまで、ご自身に対して批判的にかかわり、自己否定してきたあなたが、カウンセラーがあなたに接するのと同じように、ご自身にかかわっていくことができるようになるのです。

なぜ、話すだけで悩みが消え、前に動き始めるのか?

一言で言えば、ご自身へのかかわり方が変わるからなのです。

【参考図書】
「ほんものの傾聴を学ぶ」諸富祥彦著

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