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#015 ライバル会社の視点で戦略を考えてみる

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以前、

#006 経営戦略を立てる上で SWOT 分析が重要な理由
https://note.mu/yukio_tada/n/n9115b0b1becd

のエントリでも書いたとおり、戦略を立案する上では、自社の置かれた環境分析をきちんと行うことが非常に重要です。
しかし、同じ会社にずっといると、意外と自社の強みに気がつかないものです。

今回は、ライバル会社の視点から自社を見ることによって、自社の強みを発見する方法についてまとめてみたいと思います。

おさらい: なぜ戦略立案には環境分析が重要なのか

例えば、駅前に新しくおそば屋さんを出店する事を考えてみましょう。
(ちなみに、会社を定年退職してからそば打ちに目覚めてお店を出そうとする人結構多いらしいですが、飲食業はとても難しくて開店2年後の生存率は半分以下とも言われています。もし始める場合には十分な調査と準備をしておくのが良いと思います。)

定年退職した人はなぜ「そば打ち」に目覚めるの?パスタやうどんではない理由は?
https://precious.jp/articles/-/4536

さて、自分の店を持とうとする場合、そのお店のいろいろな事を決めていかなければいけません。
店舗の場所と家賃のような大きな話の他、どのようなメニューをいくらで出すか、材料はどこからいくらで仕入れるのか、人は雇うのか自分1人でやるのか、営業時間はどうするか、等々…

これらを決めるのに、まずやらなければいけないのは、競合店やお客さんの状況などの調査です。

近くにどのようなおそば屋さんがあるか、おそば屋さん以外にどのような飲食店があるか。
来ているお客さんの数はどの時間帯にどれくらいか。一人あたり、昼と夜ではどのくらいのお金を使っているか。
お客さんは近くの人が多いか、遠くからも来ているか。平均月に何回くらい来店しているか。
等々…。
ちょっと考えただけでも本当にたくさんのことを調べないといけません。
ランチの相場が 500 円以下の学生街に、メニューの平均が1000円を超えるようなちょっと洒落たお店を出してもなかなか難しいような気がします。こういう地域に出店する場合は、原価を下げ、回転率を高めるような戦略が必要になりそうです。

ところが、話が会社単位になってしまうと、なぜかこうした調査がおろそかになりがちです。

基本的な戦略は、自社の強みを機会にぶつけること

以前、

「クロスSWOT分析」
https://note.mu/yukio_tada/n/n9115b0b1becd#QMs21

でまとめたとおり、戦略には大きく
(1) 自社の強みを、機会(チャンス)に活かす
(2) 特に自社に強みが無くても、機会(チャンス)に賭ける
(3) 自社の強みを活かすことで、外部の脅威に耐える
(4) 自社の弱みを克服しつつ、外部の脅威に耐える

という4つがあります。これらのうち、最も戦略がたてやすいのが、(1)の「強みを機会にぶつける」パターンです。

社内からは、自社の強みには気がつきにくい

この(1)の戦略立案、一見簡単そうに感じるのですが、意外と自社の強みをみつけるところでつまずくことが多いようです。その会社に長くいることで、自社の強みが見えなくなってしまっていることが多いのです。

例えば、ある技術に非常に優れた中小企業があったとしても、その会社で働いている人にとってはその技術は当たり前だったりするので、その技術の優位性に気がついていないことはよくあります。
また、ブランドや知名度などといった、客観的な指標で測りにくい魅力に関しては、一度外に出て外の人と話をしてみないとその価値はなかなか理解できません。

ライバル会社の視点で、「何をやられたら一番イヤか」を考えてみる

自社(A社とします)の強みを探そうとするときにお勧めなのは、まずその事業においてライバルになりそうな会社(B社とします)を決め、仮に自分たちがB社の社員だった場合、A社にやられたら一番嫌だと思うことを上げてみる、という方法です。

この方法には2つの利点があります。

(1) ライバル会社を定める過程で、自社はどういう業界のどのポジションで戦おうとしているのか、ポジショニング自然と明確になる。

例えば、おそば屋さんを出す場合、富士そばのような誰でも気軽に入れる身近なお店を目指すのか、日本橋の高級店のようなちょっと敷居の高いお店を目指すのとでは、店構えやメニュー、接客などの店舗設計が全く違ってくるはずです。
こうしたライバルの姿を、実際のお店を具体的にイメージしながらみんなで議論することで、自然と自分たちのポジショニングが明確になってきます。

(2) 外部の視点で「やられたら嫌なこと」を考える方が、自社の視点で「やったら勝てそうなこと」を考えるより、これまで気がついていなかったアイデアが出る可能性が高い。

人間は、これをやったら喜ばれる、ということを考えるより、これをやられたらイヤだ、という事の方がより具体的にはっきりイメージすることができるようです。
ライバル会社の視点に立って「やられたら嫌なこと」を考える方が、結果的に自社の良い点、とくに、これまであまり意識していなかった点に目を向けることができるようになります。

まとめ。

(1) 自社の戦略をたてる際の基本になるのは「環境分析」です。この環境分析がきちんとできていないと、どうしても独りよがりな戦略になってしまいます。
(2) 環境分析で重要なのは自社の強みを知ることですが、内部の視点からだけだと自社の強みに気がつきにくいことがあります。
(3) 視点を外部に移し、ライバル会社の視点で、自分の会社に「何をやられたら一番イヤか」を考えてみると、これまで気がつかなかった自社の強みに気がつくことがよくあります。

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(ここに書かれている内容はいずれも筆者の経験に基づくものではありますが、特定の会社・組織・個人を指しているものではありません。)

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