yukio

ギャンブラーの父と気丈な母の元に産まれ、極貧幼少期を体験しました。 幸せな家庭を持ちた…

yukio

ギャンブラーの父と気丈な母の元に産まれ、極貧幼少期を体験しました。 幸せな家庭を持ちたい。という願望から23才で出来ちゃった婚、その後4人の子宝に恵まれますが、DVによる離婚。 崖っぷちシンママ生活崩壊の末、ネグレクトからの再婚そして二度目のDV離婚。 人生を変えた50代女子

最近の記事

僕がママのところに来た理由は。21

二十一 再生   退院して家に帰って来たママは、お家の方付けを始めた。 まだゆっくりしか歩けないので、お仕事には出掛けずに、お家の中を綺麗に、快適に、好きなものだけを置くことにしたんだ。  まだ使えるから勿体ないと思っていたものや、あまり必要じゃないもの、古くてもう着ない服も、もう読まない本も、全部片づけた。そうしたらね、すごくスッキリしたんだって。   ママは、これからやりたい事を考えた。 やりたいというか、やれそうな事、お金儲け出来そうな事を考えた。   いつもいつも、

    • 僕がママのところに来た理由は。21

       二十一 ママの好きな事   念願のKのライブに行けたママは、とても元気になったんだ。  ママが本当に生きていると感じるもの。それは“音と光とリズム” ママが本当にやりたかったことって、これだったのかもしれない。  ママは子供の頃からとても音楽が好きだった。 ママは、とても大人しくて居るのか居ないのか分からないくらい静かな子だったんだって。まるで自分の気配を消しているように静かだった。あまりお喋りもしない。ママの妹と喧嘩もしない。 兎に角、いつもニコニコ穏やかにし

      • 僕がママのところに来た理由は。20

        二十 奇跡が起きた    ママは、毎日リハビリを頑張った。  僕は、毎日ご主人とママの帰りを待った。    ママが事故に遭う前の日。  ママは飛び上がるほど嬉しいことがあったんだ。  ママはその日、いつものようにメールをチェックしていると、急に 「きゃーーー!うそーーー!すごーーーい!」いつものママじゃないくらい大声で喜んでる。 「なになに?どうしたの?」 僕は急いでママの所に行った。 「見て!ハピ。Kが来るのよ!ライブするんだって。」  ママの大好き

        • 僕がママのところに来た理由は。19

            十九 ママが帰ってこない    ママはお仕事に出掛けて行った。 キラキラを作る材料や道具をいっぱい持って 「ハピ、お仕事に行ってくるからね。お留守番しててね。帰ったらお散歩行こうね。」  ママは、いつもお仕事に行くときは、そう言って出かけるんだ。  夕方になって、部屋の外が暗くなってきた。帰りが遅くなる日は、部屋の電気をつけて行ってくれるんだけど、今日は電気をつけずに出かけたので早く帰って来るはずだ。  僕は、ママの帰りを待っていた。 ずっと待っても帰っ

        僕がママのところに来た理由は。21

          僕がママのところに来た理由は。18

          十八 新しい仕事      ママと二人の生活が始まって、一か月ほど経った。 ママは、ご主人から自立するために始めたお勤め先を辞めることになったんだ。  ママは、派遣社員として働いていた。派遣の任期が満了になった後、正社員になるようにお誘いを受けたんだ。  ママは本当にやりたい人生を考えてみた。この先ずっと毎日、時間と労力を提供して、お金(生活費)のために働いて、限られた時間と限られたお金で、人生を楽しむのか、好きな事を仕事にして、時間もお金も自由に自分らしくいきて

          僕がママのところに来た理由は。18

          僕がママのところに来た理由は。17

          十七 新しいお家    これから、ママと二人で暮らすお家。  初めて嗅ぐ匂い。いろんな匂いが混ざってる。ママの荷物の匂い、僕のサークルの匂い。このお家の新しい畳の匂い、前に住んでいた人の匂い・・・。 部屋の中には、段ボールがいっぱいある。    ママは僕をサークルに入れると、段ボールの片づけをしている。とりあえず、今夜寝られるように布団を敷くスペースを作らなきゃ。僕もママも眠れない。  このお部屋の探検は明日にして、とりあえずママの邪魔にならないようにおとなしく

          僕がママのところに来た理由は。17

          僕がママのところに来た理由は。16

          十六 引っ越し   それからママは、毎日お家を探すようになった。僕と一緒に暮らせる新しいお家を。  お家が見つかっても、すぐにお引越しをするお金は無かったんだけど、それでも毎日、寝る前にお家を探すのが日課になっていた。 「ハピ。ママは、毎日これからハピと暮らすお家を想像してワクワクして楽しんでいるのよ。部屋の中の家具の配置を考えたりするとね、とっても楽しいのよ。」 ママは、お友達や知り合いの人に、ママが借りることが出来るお家があるか、聞いてみたんだ。  ママは自己破

          僕がママのところに来た理由は。16

          僕がママのところに来た理由は。15

          十五 ママの背中を押す宇宙人    ある日、ママの大好きな精神世界のお話のイベントがあるって、ママが喜んでいた。そのイベントは、オンラインで参加出来て、いっぱい有名なスピリチュアリストと呼ばれてる人がゲストに出るんだって。それから、ママが一番喜んでいたのは、“バシャール”という宇宙人もそのイベントに出て、みんなの質問に答えてくれる、っていう事。 本当に、嬉しそうだったね。ママ。 「そうなのよ、ハピ。バシャールは、本で読んだり、動画配信を見たりはするけど、実際にその場で

          僕がママのところに来た理由は。15

          僕がママのところに来た理由は。14

          十四 離婚届  病院を退院したご主人は、日に日に回復していく。 口からご飯を食べることが出来なくなったご主人は、胃に穴をあけて(胃婁っていうんだね)、そこから注射器のようなもので、ママが作ったご飯を入れて栄養を摂っていた。 ママは、普通につくったご飯をミキサーにかけて、それから粒々が残らないように裏ごしをしてからご主人のお皿に入れた。 慣れないミキサー食を作るのは時間がかかるしとても大変だ。 でも、ご主人はママの作るミキサー食に注文ばかりつけていた。 だけどね、マ

          僕がママのところに来た理由は。14

          僕がママのところに来た理由は。13

          十三 ご主人の病気再発    ママが毎日お仕事に行くようになってから、一か月ほど経った。僕もママも、新しいお仕事に合わせた生活リズムに慣れてきた。  ご主人の体調も随分良くなり、このままご主人は元気になっていくんだろう。と、そう思い始めていた頃。  また、ご主人の体調が崩れた。病院で検査してもらうと、また腫瘍が出来ていることが分かった。  ご主人は、また入院して手術をすることになった。また暫くは、ママと二人の生活だ。  ご主人が居ないお家では、僕はサークルから出て

          僕がママのところに来た理由は。13

          僕がママのところに来た理由は。12

          十二 ママの新しいお仕事    自己破産をすることに決めたママは、もうご主人に頼ろうとしないことも決めた。  やっぱりママがいつも思っているように、自分で何でも出来て、強い人になろう。そうじゃなきゃダメだ。 そういう人になることも、決めた。  ママは、新しいお仕事を始めたんだ。 朝早く自転車に乗ってお仕事に行く。 今までのアルバイトやパートよりも長い時間お仕事をして、お金をいっぱい貰えるようになったんだ。そのお金を少しずつ貯金して、ママは新しい人生を進むことに決

          僕がママのところに来た理由は。12

          僕がママのところに来た理由は。11

          十一 自己破産    ママはご主人に言いたくても言えないことがあったんだ。言いたくなかったから言わなかっただけかもしれないけど、僕にはよく分からないけど、ママは、誰かにお金をもらうのは良くないことだと思っているのかな? 一緒のお家に住んでいるのに、ママはご主人にお金を頂戴と、言ったことは無いんだ。 「ハピは、気が付いていたのね。言えないんじゃなくて、言いたくなかったのよ。自分の事が自分で出来ないダメな人、と思われたくなかったのね。ううん。ダメな人と思われるのが嫌なんじ

          僕がママのところに来た理由は。11

          僕がママのところに来た理由は。10

          十 病気になったご主人   ママは、心の電気を消してお仕事を頑張った。 お金をいっぱい貰えるように、朝から夜まで頑張った。それでも、僕をお散歩に連れて行ってくれるし、お部屋で遊んでくれたよ。ただ、ご主人とはあまりお話をしなくなった。    ある日、ご主人はいつもより早く仕事から帰って来た。 「ここに座ってくれ。話がある。」 ご主人は、ママにそう言って、リビングの椅子に座った。ママはいつもと違う様子のご主人に調子を合わせて椅子に座った。 「わし、癌なんじゃ。」

          僕がママのところに来た理由は。10

          僕がママのところに来た理由は。9

          九 心の電気を消すママ    何が起きたのか僕には分からないけど、ご主人は急に大きい声で怒鳴る日がある。 そんな時、ママはずっと黙って耐えているんだ。 そしたら、ご主人はもっともっと大きい声で怒鳴るんだ。机をバンバン叩いたり、真っ赤な顔で怒ってる。 時々、僕のサークルを蹴ったりするから、とっても怖くてブルブル震えながら、サークルの隅っこに座ってじっと動かないようにしてご主人が怒るのをやめるまで待つんだ。 ママも同じように、じっと動かないようにして、ご主人が怒るのを

          僕がママのところに来た理由は。9

          僕がママのところに来た理由は。8

          八 会社を辞めたママ     ママが毎日行く会社には、八年くらい務めているんだ。その前も、ママはずっといろんなお仕事をしていたんだ。    ママが子供の頃は、ママのお母さんを助けようと思って、学校に行く前に早起きして新聞配達したり、学校が終わってからレストランでアルバイトしたりしてたんだ。  職場に行って働いたら、お金が貰える。 それは、とても大切なことだって、ママはずっと信じている。子供の頃からずっと。  ママのお父さんみたいに、好きな事をして遊んでいたらお

          僕がママのところに来た理由は。8

          僕がママのところに来た理由は。7

          七 岸壁に立つママ    僕はママに聞いたんだ。 「どうしてママのお母さんは、いつも悲しそうだったの?」 「ママのお母さんはね、いつも悲しそうだった。笑っていても悲しそうに見えたのよ。」  ママのお父さんは、お仕事が好きじゃなかった。お仕事よりも、遊んでいるほうが楽しかったのかな。  ママは子供の頃に、ママのお父さんの乗る自転車の後ろに乗せられて、一緒にパチンコ屋さんに行った。 長い時間待っても、ママのお父さんはずーっとパチンコをやめなかった。  お仕事もしな

          僕がママのところに来た理由は。7