沢山のいのちの鼓動の現場~音楽のチカラ~
私は、看護助手として働いている。看護助手とは、医療行為は行えないけれども、日々看護師さんや患者さんの側でサポートする。ナースエイドとも呼ばれている。
そんな沢山の患者さんが、様々な不安を抱えながら今日もがんばっている。只々ベッドに寝たきり、トイレも食事も介助なしでは難しいそんな患者さんもいる。昨日出来てた事が、急に出来なくなり身体だけじゃなく心まで不安の暗闇に包まれる。
そんな患者さんを目の前に、私はいつも自分に問う。
私にいま、出来ることは何なのかと。
正解はないのかもしれない。
そんな私がたどり着いた答え・・・
それは、
患者さん達の不安に、ただただ寄り添うこと。
患者さんの肩や手に優しく触れる。
ただそれだけ・・・
一瞬でも患者さんが笑ってくれる。
そして、いつも想う。
こんな現場にこそ、音楽は必要なんだと---。
ただただ涙を流すだけでもいい。
暗闇の中響く音楽は、ただただ悲しいかもしれない。
でもそれも、音楽の在り方だと私は想う。
涙を流すことは、心の傷みの浄化・・・
だとしたら、流れてくる音楽が涙を流すきっかけになってくれたら
それだけで心の温度はほんの少しでも、温まると想うから。
私の母もいま乳がんと闘う1人だ。
今年の2月頃の検査で影があり、再検査。4月にリンパ転移で手術を受けた。母本人はそんな辛さは、顔には出さない。いつも笑って、病気持ちなんて嘘のように。
おばあちゃんを胃がんで8年前に亡くし、今度は母の乳がん・・・
でも母の笑顔をみていると、想う。
どんな状況になっても、笑っていたいなと。
いちばん難しいことなのかもしれないけれど。
日々、沢山のいのちの鼓動が聴こえる現場---
いのちの終わりもあれば、新たに産声をあげるいのちもある。
看護助手として、患者さんの心にそっと寄り添えるような存在でありたい。
そして音楽が、そんな日々を闘う患者さん方の心の
ほんの少しでもの雪解けの太陽のような、ひかりになってくれたらと願っている。