おふくろの味-〈地域版〉お持ち帰りと分けっこ-
-4-
明けましておめでとうございます。
いかがお過ごしですか?
私は、お正月は、奈良の祖父母の家でお節料理を食べて過ごします。
ここにも、《お持ち帰りと分けっこ文化》があることに気がついたので、2020年最初の日記はこれです。
わが家のお節料理は「お節交換」によってできています。
毎年、12月31日の午後3時、自治会館に地域の女性たちがおかずを作って持ち寄り、交換するのです。
祖母は、今年はとりの照り焼きを担当しました。「○○さん○枚」のように、仕分けして持って行きます。逆にほかのおかずは、「昆布まき5本」「卵の肉巻き6個」のように担当に頼んでおきます。おかずには担当が材料費に見合った値を付けています。今年は10人で合計12品のお節交換ができました。
孫である私と妹は、ものごころついたときから祖母のお節交換について行っていました。中学生くらいになると私たちが交換に行き、祖母は家で年越しそばの準備をする、という役割分担が定着しました。
お節交換には、おかず分担表、ペン、おつり用の小銭、持ち帰り用の段ボール箱、を持って行きます。元気なおばちゃんたちがせわしなくおかずを売買する様子は、ちょっとした市場のようです。私たちが行くと、「あらー上野さんとこのお孫さんやね、大きくなったねえ」「おばあちゃんの代わりに偉いわねえ」とおばちゃんたち。「祖母がいつもお世話になっています。よいお年をお迎えください」というのが孫の役割です。
こうして、分けっこによって1品から12品になったおかずを持ち帰ってお重に詰め、わが家のお節料理が完成します。
お節交換は祖母が40代の頃から始まったそうで、40年近く続いています。最近は、お年を召して参加しなくなった方もいるため、人数や品数が減ってきていますが、大切にしたい文化だなと思います。(私たちの世代、これからの時代こそ、真似できそうな方法ではないでしょうか!!)
わが家のお節は、地域の、たくさんのおふくろの味の分けっことお持ち帰りによってできていたのだなあと感じながらスタートした2020年でした。
今年もあなたにとって、小さな幸せを見つけるすてきな年になりますように。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?