持ち帰る女と室外機置き場から広がる世界
私は日々、いろいろなものを持ち帰っているようだ。
というのは、ある人を訪問してゴボウ茶を煎れたときのこと。急須の網に残った茶葉(つまり出がらしのゴボウ)を、「これ、まだ食べられるんです」と持ち帰る私に、その人は「持ち帰る女」とつぶやいた。
そう言われてみると、身に覚えがある。
取材先で泣いてしまった日は(筆者の職業は新聞記者だ)、そこのお母さんの手作りのもんぺを持たされて帰ってきた。
近所の旅館に「私ここが好きなので、閉館するときはいろいろ捨てちゃう前に教えてください」