祖母の口紅
人生には、大きな後悔、小さい後悔色々ある。
昔、10年前なので、祖母が80歳だった頃。
祖母が出かける先と同じ方向に、私も用事があり、一緒に出かけることになった。
私は急いでいたのだが、祖母は念入りに化粧をしていた。
急いでいた私は、祖母を急かしてしまった。
「化粧なんてしてもしなくても変わらないんだから、急いでよ。」
今思うと、本当にひどいことを言ってしまったと思う。
若い私は、化粧なんていつでもできるものだと思っていた。
だけれども、80歳のおばあちゃんは違う。
年をとると、体に自由がきかなくなり、どんどんとできることが減っていく。
当たり前に出来ていたことも、他の人にお願いしなければならなくなる。
ご飯も、お風呂も、トイレも。
おばあちゃんは、やりたいことが自分の体でできるうちに、やりたかったったのだろう。
町の小さなスーパーに行くだけなのに、赤い口紅を塗って、ファンデーションをつけて、お気に入りの洋服を着て出かけていた。
今思うと、あの頃の元気なおばあちゃんが懐かしい。
このこのをふと思い出してし、その度に後悔している。
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