鬼は父親
実家にいたときは、毎年、父が焼いた鰯を柊の木に刺して飾り、部屋に豆を撒いてくれた。
父は厳しい親だった。
今年も豆を撒いたのかと、聞きたいけれど聞きにくい。
父と二人で話すとなると、どこかぎこちなくなる。
きっと、今年も実家では豆を撒いているのだろう。
父は66歳。
昔は威張っていた父。
しかし、最近は誰にでもニコニコしてへらへらしている。
どこか、力がなくなったようで悲しくて、切なくなる。
お父さんも年をとったな。
昔は、マメな人ではなかったのに、最近は、親戚や友人に連絡をして、やたらと物を送ったり会いに行ったりしようとする。
昔からは想像つかない。
いったいどうしてしまったのだろう。
なんか悲しくなるからやめておくれと思う。
だけど、年をとるってそういうことなのかな。
今度 実家に帰ろう。