編み物に抱かれたい
私が今住んでいる豊洲は東京オリンピックの開催地とあって現在都市開発真っ最中で、毎日どこかしらで工事の音が聞こえます。豊洲駅にはあたらしい商業ビルが出来る予定だしお隣の晴海では晴海FLAGの事業紹介がスタートしたし先日ブランズタワー豊洲の発表会もあったらしく毎日あちこちでソワソワしてる街の片隅でひっそり丸シールの絵をシコシコかいています。いえ、嘘つきました。最近はシールより編み物ばっかりです。
2015年の更新から4年経ってますがこの間に子供が2人生まれました。2歳差。現在3歳と1歳。共働き世帯同様私も働くママとして文字通り身を粉にして子供の世話や仕事をしています。こんなに子供を育てることが大変だとは思いませんでした。特に乳幼児を抱えながら絵を描いたり文字を書くのは物理的にも心理的にも無理でした。かといって制作しないと死んでしまう部族の私にとって子育てに追われて制作が行き詰まる事はとんでもないストレスでした。そのストレスを日々発散してくれたのが編み物でした。妊娠中のお母さんがやりそうな画を自分も再現したくて編み始めたというしょうもない動機だったのですが、これが沼の始まりでした。
現在の一日のフローですが、まず朝子供達を保育園に出荷させる9時。そこから12時までパソコンでメール等の事務作業。13時までお昼。13時から17時まで編み物(制作が入ってる場合はシール貼り貼り)17時からは保育園のお迎え、以降家事育児。22時、子供完全就寝。その後24時まで編み物。忠実にスケジュールを書き出してみたのですが、平均して一日6時間は編み物に費やしています。これでも物足りなさを常に抱えているのでハマりすぎているのは自覚しています。
何をそうさせるのかって、編み物楽しすぎるんです。
これに尽きます。あまりに、楽しいんです。たった一本の毛糸をこねくり回すだけで素敵なデザインの洋服ができる。裁縫のようにミシンをださなくていい。毛糸と針さえあればいつでも創作できる。
これが子育て中の私のなかでダイレクトヒットでした。第一、子供がうろちょろしていたら大きなパネルを傍に置けないし集中して絵がかけません。でも編み針さえ注意してれば騙し騙し創作ができます。
編み進める時なんかはまるでナンクロのパズルゲームです。基本的に編み図や編み方の本をよみながら進めていくので、本書の通りに形ができるときの達成感はものすごい快感です。あっという間に編み物は私の生活の中でなくてはならない必需品になりました。今や編みかけの作品は常に7つあり、その都度気分に合わせて編み進めています。
編み物の世界をほんのちょっと知っている方は、そうはいっても編み物の版物、デザインっておばさんむけのダサイものしかないでしょう?
て思っている人いるとおもいます。私も一年前までそうでした。
でもこれをみてください。
もう、、可愛すぎてしんどい、、、
これらの作品は私がRavelryでみつけた素敵な作品のほんの一例です。私見なんでデザインの良さは人それぞれだとおもいますが、Ravelryという編み物交流サイトを見つけたときはあまりの衝撃で全身の毛が逆立ちました。世の中にはこんな可愛いデザインがわんさかあるのかっと感動で一日中Ravelryを眺めました。作品はどれも技術と道具さえあれば数千円から1万ちょっとで編めます。勿論毛糸に拘ればもう少しかかるかもしれませんがせいぜい2万以内です。でもお店で買おうとしたら可愛いデザインというだけで3万から5万とかしません?そのうえ毛糸の素材はポリエステルなど化学繊維が混入している場合もあります。素材が安価だと2、3年で寿命がきてしまいます。そこそこ高い既製品のニットを探すより自分で着丈を調節し、自分好みの毛糸を選んで長く使う最高の洋服を作るほうが最高だと思い沼に沈没しました。ただ最初から技術に自信があったわけではありません。本当に自分の手で作れるなんて半信半疑でしたが、わからないところはネットや解説動画をみて手探りでやりましたところ、色々作れるようになりました。
去年一年のうちに私が制作した編み物作品です。全て本やRavelryで購入した編み図をみて、時にアレンジを加えて楽しみました。
おきに入りのデザイナーさんはjunkookamotoさん、michiyoさん、三國万里子さん、nolhaさん、kate davisさん、毛糸の入手はユザワヤではなくオンラインの毛糸通販サイトかwalnut。毎日Ravelryとインスタグラムをチェックして素敵なデザインを漁り誰かが作った作品や作り途中の作品や素敵な毛糸のかせをみてぐへへへへとなるのに一年かかりませんでした。
でも私は本業美術家です。四六時中編み倒すわけにはいかないし丸シールアートの需要も年々増えています。去年はフランスにも遠征して個展を開き、今年も来月個展を開くことになりました。(後日告知します)だから編み物!好き!抱いて!て毎日思っていても公式のSNS垢で赤裸々に思いをぶちまけることは控えていました。だからここに思いのたけを文章化するのにもかなり悩みました。丸シール作品が好きで私の事をフォローしてくださった人を裏切ることになるのではないかと。ジャンル違うやん。と
いやまてよ、ジャンルってなに?
そもそも丸シールアートなんて私が始めたようなものです。それまでは丸シールが絵画の画材になるなんて誰も想像しなかったはずです。そういうジャンルを作った私なら、編み物でも何か出来るじゃないの?そう思って去年から新しいプロジェクトを立ち上げました。
<コンセプト>
ウール100%の毛糸を使った手編みの蜘蛛の巣に触れると音を奏でることができるインタラクティブアート。毛糸の一部に導電性繊維が縫い込まれており、毛糸に触れるだけで信号を感知しスピーカーからオーケストラの楽器が鳴る仕組みとなっている。導電性繊維(通称導電糸)は非常に細いため目視では導電糸を探ることはできない。導電糸は本作品に合計8箇所縫い込まれており、それぞれ違う楽器を鳴らすよう指示されている。8箇所同時に触れるとオーケストラの合奏を聴くことができる。しかし接触箇所は点在しており、縫い込まれている場所も目視できないので同時に触れる事は難しい。美しい合奏を聴きたい場合は複数人と協力したり、身体を伸ばす等奮闘しなくてはならない。この様子が蜘蛛の巣に捕まって必死にもがく人のように見える。本作品は、蜘蛛の巣に補食されている人を「テクノロジーに補食された人」として揶揄している。発展したテクノロジーは暮らしを豊かにしていく一方で、複雑な機能に翻弄されたり、私たちの貴重な時間を奪う事が屢々あるが、人々は時としてその事実に無関心である。単純なゲームをクリアするために奮闘する鑑賞者を別の鑑賞者が俯瞰的に観る事で、可視化されづらいテクノロジーの弊害を抽象的に指摘し、テクノロジーを扱う事の難しさや、ますます発展していく科学技術をより有意義に利用するためのコンピューター・リテラシー向上について問いかけている
いわゆるインタラクティブアートなのですが、こちら今月から始まるアートナイトに出展します。
http://www.roppongiartnight.com/2019/programs/12120
編み物をアートに昇華できた、、!!!!
こうなりさえすれば芸術家なんだから何やってもいいのかなと思い、ふっきれました。丸シールアート作り続けるひとだとおもってフォローしたのに編み物ばっかしてるこいつ、!!とおもってフォロー外される方、いると思います。良いです。本当の事ですから。アーティストだって生身の人間だからいつまでも同じ事をしているわけではありません。それに丸シール作品をやめたわけではありません。今現在もごりごり制作しています。今月作業風景を生配信予定だしマネージャー契約もちょこっとしたので丸シールアーティストとしての露出は今後もガンガンしていきます。ただ、現在の活動を知ってもらいたくて長文記事を書いてみました。今、気持ちがスウっとしてます。
今後なにするの?
なんですが、引き続き丸シールアートの作品活動を続けていきます。来月の個展テーマはとってもワクワクな内容なので早く告知したい気持ちで一杯です。それに加えてニットサロンを開きたい。。と思っています。
ここでやっと冒頭の豊洲の話に戻るのですが、私が住んでる街は子育て世代も働く世代も多く大変活気があるのに編み友達が誰もいないんです。
でも私のようになにか作らないと死んじゃう族はどこかに紛れているとおもっていて(でなければららぽーとにオカダヤが入っているなんてことはない)その人達をかき集めて編み倒したいなあとここ一年以上ずっと想いを煮詰まらせていました。
都内にニットカフェやサロンはいくつかありますが、子育てと仕事をしている事情により片道20分以上遠出することは難しくなりました。なにより活気ある街なのにそこで手芸サロンがあまりないのは機会損失な気もします。それなら自分が発起人になりたいなと思いました。
まだ何をどうするかなにも考えていませんが想いだけは昔から暑苦しいほど持っているので、近いうち何かアクションあるかもしれません。本業のブログで意思表明することでなにかムーブメントが起こればと願っています。引き続きこのブログは私の最近の仕事に対する想いだとか、編み物のことで記事が埋まるとおもいますが、それでも読むよという寛大な方がいてくれることを祈りまして終わりにしたいとおもいます。
あ、保育園お迎えの時間だ(17:11)