見出し画像

我が家は1をゼロにする夫とゼロを1にする妻がいるから上手く回っている

 我が家のシャンプーとリンスはどこかの雑貨屋さんで買った四角い透明のボトルに入れている。無論、透明だから中が見える。シャンプーとリンスの残量がひと目で分かる。そしてシャンプーもリンスも残量がボトルの底から2cm位になるとキャップのポンプをギュッギュッと押しても少ししか出なくなる。だからこのギュッギュッを何回もやるわけである。

 それでようやく必要な量を出すことに成功して髪の毛を洗うわけですが、要は、この量まで減ったシャンプーを誰が補充するか。つぎ足すか。

 もう注ぎ足さんとあかんなというのを私も認識する訳である。でもやらない。何故か。たかがこの程度のことが面倒でたまらないんである。だから夫もこの状態を認識してるわけだから、あなたがやってね。言わなくても分かるでしょ、ということである。

 ところが。夫はやらないんである。ただつぎ足すだけなのに、それをしない。そういう私も同じだから夫のことを責める資格は無いのですが、とにかく素っ裸で浴室に入って髪の毛を洗おうとしてボトルの中にシャンプーが充てんされていないことに気づく。じゃあ浴室から出て詰め替えパックをとってくればいいだけの話なのだが、やらない。もう裸だし、冬は寒い。だからまた何回もポンプをギュッギュッギュッギュッする訳である。

 ところがさすがにもうこれではシャンプーを出せないというところまできたら、今度はポンプのついている蓋を外してボトルの口から直接掌にシャンプーを出す。でもこの場合、掌にシャンプーが乗っているからボトルに蓋を出来ない。それどころかボトルを棚に戻そうにも、私は不器用なので姿勢を変えたら掌のシャンプーが零れてしまいかねない。左の掌にシャンプー、右手にはボトル、みたいな感じで素っ裸で仁王立ちしてしまうことになる。

 そしてこの素っ裸な私が鏡に映るのが嫌でも目に入る。鬱。セクスィーバデーの真逆をいく私のボディ。でもこれはこれなりに喜ぶ殿方がいらっしゃるのでなんとも言えない複雑な気分になる。

 話が逸れた。話が逸れたっていう言い廻し、なんだか司馬遼太郎みたいですね。

 また話が逸れた。シャンプーのボトルの蓋、最終的には何とかなるのですが、とりあえずいい気分にはならない。それで結局、私が注ぎ足すことになる。

 そしてトイレットペーパーを誰が替えるか問題もある。残りほんの僅かになったトイレットペーパー。そんな時のために常に予備のトイレットペーパーを手の届くところに置いているのだが、ある日最悪の事態が起きた。

 トイレットペーパーの残量を確認せずにうっかり用を済ませてしまってからトイレットペーパーを見ると、なんと無い。もう残り僅か10cm位の最期のしかない。予備があるんだから替えろよ!とキレながら予備のトイレットペーパーを手探りで取ろうとしたら、ん?まさか。なんてこった、予備もない。最終的には何とかなったがさすがにここに来て夫と緊急会議である。

 なぜ、残りわずかと分っているのに変えない、補充しないのか。すると夫から予想もしない言葉が返ってきた。

 なぜ開けたものを閉めない。使ったものを戻さない。ドアは開けっ放し。明かりはつけっ放し。テレビもつけっ放し。エアコンもつけっ放し。家のドアにカギを差しっぱなし。それを全部処理しているのは俺だという。

 ギャフンと言わされた。反論できない。ついテレビに見入ってしまい鍋を空焚きさせたこともある女である。知人はどれだけ私がポンコツなのか皆知っている。

 結局はお前はもっと気をつけるようにという、勝てると思い戦争を仕掛けた側がコテンパンにやられるという結果になった。

 結局、我が家はゼロを1にする人と1を0に戻す人とでなんとか廻っていたということである。そんなどうでもいい話であった。