【英国波紋】ルワンダってどんな国? 移民に対する悪感情はEUを揺るがす事態に
ルワンダへの強制送還
イギリスでは、不法に入国した人々を
アフリカのルワンダに強制移送するための
法案が議会で可決されました。
この法案は、保守党のスナク政権が
不法移民の阻止を主要政策に掲げ、
今回の総選挙を見据えた動きの一環です。
しかしイギリスの保守党離れは深刻であり、
今回の総選挙では労働党の単独過半数での
政権交代が見込まれるとの報道もありました。
また難民支援団体はこれに強く反対しており、
この計画の人権面での問題が指摘されています。
ルワンダ法のアンチは野党第一党の労働党に
渡るでしょう。
スナク政権は、不法入国者が国の財政を
圧迫しているとして、ルワンダへの強制移送を
計画しました。
昨年11月、イギリスの最高裁判所は、
この計画が移送された人々の出身国への
強制送還のリスクがあるため違法と判断しました。
これを受けて、スナク政権はルワンダ政府と協定を結び、
移送された人々をルワンダから送還しない
ことを保証しました。
この協定に基づき、
移送計画は人権に関する法律の適用外とされ、
問題がないとされました。
しかし日本以上にイギリスの方が移民の割合だ
高いことに加え、人権団体の反発があることもまた
保守票以外の評価には
厳しい点があるかと思います。
法案の可決と移送の準備
先月、下院と上院でこの法案が可決され、
スナク首相は声明で「不法に入国した人々は
滞在できないことが明確になる」と強調しました。
最初の移送は今月に予定されており、
ルワンダに送還されるでしょう。
奇しくも総選挙と同じ月となりました。
ルワンダを移送先に選んだ理由
イギリス政府は、
ルワンダが難民条約に加盟しており、
難民が迫害を受けるリスクが低いと
主張しています。
また、ルワンダは国連難民高等弁務官事務所と
協力し、難民申請を受け入れる実績があります。
アフリカ内でも難民受け入れの
体制が整っている国というわけです。
さらに、イギリス政府はルワンダ政府に対して
約460億円の援助を提供しています。
この援助は、移送された難民の受け入れを
支援するためのものです。
ルワンダは、1994年の大虐殺以降、
年率8%から10%の高い経済成長を続けており、2009年にはイギリス連邦に加盟しました。
カガメ大統領の下で、ルワンダはフランスと
距離を置き、イギリスとの関係を
強化してきました。
しかし、政府の強権化が進み、
野党政治家や活動家に対する弾圧などの
人権侵害が指摘されています。
難民条約に加入
高い経済成長率
しかし政府の強権化の懸念の報道も
個人的には不法移民における財政の圧迫には
理解できますが、今回のルワンダへの強制送還は
世論の反発はいずれにせよ大きいものと感じます。
国連や関連団体の反発は必須か
難民支援団体の反発
難民支援団体や国連機関は、
この移送計画が人権侵害のリスクが高いとして
強く反対しています。
BBCのニュースでもわかる通りです。
国連難民高等弁務官は、
この法案がイギリスの長い難民保護の
伝統から逸脱していると批判しました。
また、国連の特別報告者たちは、
航空会社に対し、移送に協力しないよう
呼びかけています。
国連難民高等弁務官グランディ氏は
「この法案は難民条約に違反し、助けを求める人々を保護してきた
イギリスの長い伝統から逸脱するものだ」
と強く批判しています。
さらに、国連人権高等弁務官トゥルク氏は
「難民や移民の人権と尊厳が守られるためには、
イギリスからの移送が、国際人権法と難民法に
のっとり個々の状況を評価したうえで行われることが極めて重要だ」と述べ、
慎重な対応を求めました。
総選挙の行方と労働党の対応
今回の総選挙で労働党が政権を奪還した場合、
この移送計画を継続するかどうかが注目されます。
現在の世論調査でも大差をつけ、
労働党が優勢であるとされていますが、
政策への具体的な対応はまだ明確ではありません。
労働党が政権を奪還した場合、
移送計画の見直しが行われる可能性がありますが、その方向性は未だ不透明です。
労働党のスターマー党首は、
ルワンダへの強制移送計画を非人道的であると批判しており、政権奪還後にはこの計画を
中止する意向を示しています。
ただ移民自体に対する不満は最早、保守リベラル
問わず民意としてヒシヒシとヨーロッパ全体を
蝕む感覚はあると伺えます。
フランスのパリでも昨年、
暴動があり観光にも大打撃を与えました。
イタリアでもアフリカから船で港付近の地域の人口を超える不法移民が押し寄せています。
日本では海路からの大量の不法移民は
ありませんが、それでも移民の受け入れを
重点に置き、同時に適切な対応ができる
法は推進していくべきでしょう。
技能実習生の問題もある我が国で、
少しずつ対応は深めて考えていくべきです。
移送計画の影響と今後の展望
イギリス国内での移民問題は、
依然として大きな関心事です。
ドーバー海峡を渡って不法入国する人々の数は
増加しており、政府はこの問題への対処が急務と考えています。
昨年は2万9000人余りと減少しましたが、
今年はすでに過去最多を上回るペースです。
しかし、ルワンダへの強制送還が実行されれば、
イギリスの移民政策に対する
国内外の批判がさらに高まることは
避けられません。
不法移民の出身国は
アフガニスタン、イラン、トルコ、エリトリア、
イラクなど多岐にわたり、
特にアフガニスタン出身者が
全体の20%を占めています。
タリバン政権にも関連するのでしょうか?
こうした背景からも、移送計画は人道的な観点から見ても多くの課題を抱えています。
まとめ
スナク政権が推進するルワンダへの強制送還計画は、イギリスの移民政策における大きな転換点と
なるでしょう。
総選挙の結果次第では、この計画が継続されるか
見直されるかが決まることになります。
イギリスの移民政策の行方に注目が集まる中、
労働党の対応にも注視が必要です。
労働党はコービン氏ほどリベラルではなく、
現在は中道左派的な党運営です。
そのため労働党のリベラルに近すぎる方からは
一部の不満は表面化されています。
その中でスターマー党首のリーダーシップの下で、移民政策がどのように変化するか、
今後の動向に目が離せません。
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