静かなる更迭。なぜ中国の閣僚更迭と日本政府がすべき外交
李尚福と魏鳳和の党籍剥奪
中国共産党は、李尚福前国防相と魏鳳和元国防相の
党籍剥奪を決定しました。
詳細はロイターでどうぞ。
両氏は政治規律に著しく違反し、
職務を利用して他人に便宜を図った収賄の疑いで処分されました。
今回のような国防相経験者二人が同時に処分されるのは
極めて異例であり、中国共産党と軍の内部事情がさらに
複雑化していることを示しています。
同時に習近平氏がより軍の粛清を進めていて、
統制を進めているものとも伺えます。
中央軍事委員会は、両氏の軍からの除名と李氏の陸軍上将、
魏氏のロケット軍上将の階級取り消しを決めました。
これにより、李氏の党籍剥奪処分は、
7月中旬に開催される第20期中央委員会第3回総会で追認される予定です。
このような高官の処分は極めて異例であり、
中国共産党の内部における緊張と
権力闘争が表面化していることを示しています。
軍事部門における大規模な汚職調査
習近平政権下では、ロケット軍を中心に大規模な汚職調査が進行中です。
昨年以降、ロケット軍の司令官交代や
軍需産業大手の幹部解任など、異例の人事が続いています。
習近平国家主席は、陝西省延安で開かれた中央軍事委の政治工作会議で、
「軍に腐敗分子の隠れ家があってはならない」と強調し、
反腐敗運動を徹底するよう指示しました。
同時に台湾に対する緊迫した情勢の悪化は続きそうです。
このような背景から、
李尚福氏と魏鳳和氏に対する処分は単なる個別の事件ではなく、
習近平政権の反腐敗運動の一環として位置付けられます。
その意味で党籍剥奪は極めて重い処分でしょう。
これにより、軍内部の腐敗を根絶し、
習政権の権力基盤を強化しようとする意図が見受けられます。
習近平主席の夫人、人事に関与か?
一方で習近平主席の奥様が
軍の人事に関与するポストに就任したとの報道もあります。
仮に人事に関与しているならば、
読売新聞の報道のように習近平氏に近い
山東省出身の方が
これから幹部になれる可能性も高いでしょう。
さらに日本としても外交のキーパーソンの一人として、
習近平主席の夫人との接触を図るべきかもしれません。
三中全会の開催とその意義
中国共産党は、長期的な経済政策運営の方針を決めるため、
7月15日から18日まで北京で三中全会を開催します。
この会議では、不動産不況が長引き、景気の先行きに不透明感が広がる中、
どこまで踏み込んだ対策を打ち出せるかが焦点となります。
過去の三中全会では、1978年に改革・開放政策を打ち出し、
1993年には社会主義市場経済体制の確立を決定するなど、
重大な経済政策が決まってきました。
今回は若者の失業率の高水準や不動産価格の高騰など
中国国内の経済について、どのような対策を打てるかが焦点です。
中国共産党の三中全会は、
5年に一度の党大会で選出される「中央委員会」が開く3回目の
全体会議であり、長期的な経済政策運営の方針を決定します。
今回は事実上の習近平氏に近い人事で固められて
初の三中全会ですので要注目です。
農業農村相の唐仁健の失脚
また、農業農村相の唐仁健氏の失脚も
注目すべき出来事です。
唐氏は重大な規律違反や違法行為の疑いで取り調べを受けており、
習近平指導部の下で3期目に入った現職閣僚が相次いで失脚しています。
長年農業行政に携わってきた唐氏は、4年前に農業農村相に就任し、
7月15日も内陸部・陝西省で開かれた会議で演説を行っていましたが
突然の失脚となりました。
習近平指導部がおととしの党大会で3期目入りして以降、
現職の閣僚の失脚は、秦剛前外相と
李尚福前国防相に続いて今回で3人目です。
日本との外交関係への影響
日本との外交関係においても、
このような中国の内部事情が影響を及ぼすことが
懸念されています。
またこれまで繋がっていた青年団が要職から離れ、
二階元幹事長も不出馬であることで、
日中の政治家の交流やパイプは当時より
薄まっている可能性も高いでしょう。
仮に今後、自民党政権で中国とのパイプを持つ
ブレーキ役は果たしてどうなるかが注目です。
まとめ
習近平政権下での一連の粛清と人事変動は、
中国共産党内の権力闘争や腐敗摘発の厳しさを示しています。
これらの動きは、日本を含む国際社会に対しても影響を与える可能性が高く、
今後の動向に注目が集まります。
中国の内政と外交の安定性を確保するためには、
引き続き慎重な観察と対話が必要です。