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徳島1区 無所属の野党系代議士、自民党入党後初の選挙! #97【選挙解説】


①徳島1区のエリア

  • 徳島市

  • 小松島市

  • 阿南市

  • 勝浦郡

  • 名東郡

  • 名西郡

  • 那賀郡

  • 海部郡

②旧民主党の代議士、約10年ぶりの国政復帰と自民入党へ

徳島1区は自民党の仁木 博文衆議院議員の選挙区です。仁木氏は当選2回の衆議院議員で2009年は徳島3区で後藤田氏に敗れたものの、比例復活による初当選を果たしました。
仁木氏は医師出身の国会議員で民主党公認で初当選しました。その後、3区は1票の格差問題で消滅し、今度は1区で戦うも比例復活もならず敗北しました。
医学部の博士課程に進み、徳島大学大学院を医学博士取得しクリニックを開業。その間、国政選挙に2度挑むも全て現職の後藤田氏に敗れました。
運命の2021年の総選挙、医師出身の仁木氏がコロナ選挙と名目し、ついに現職の自民後藤田氏を破り、無所属で小選挙区の初当選を果たしました。
当初からしばらくは無所属の有志の会で活動されましたが、後藤田氏が知事選に出馬し当選したことで、徳島1区の自民候補が空白となり、仁木氏が公募に立候補し自民党の支部長に選任されました。
同時に仁木氏は麻生派へと入会し、今度は自民党の一員として選挙を戦うことになるため注目です。

③候補者紹介(予想される顔ぶれ)

ここで候補者を紹介いたします。なお選挙制度において公平性を記すために現職・新人・名前と年齢、所属政党を記します。
自民【現職】仁木 博文候補(57歳) [2期]
維新【現職】吉田知代候補(48歳)[1期]
共産【新人】久保孝之候補(60歳)

④注目は後藤田知事の地盤と野党票の行方

徳島1区は旧徳島3区の後藤田一家の地盤と旧徳島1区の徳島市の野党系議員の地盤から構成されます。
しかし徳島3区が消滅し、徳島1区に旧3区の大部分が占めることで、自民系が強さを増してきたとも言えます。その結果が、後藤田氏の2期連続当選です。
仁木氏は野党から自民党に移ったことで、旧野党票を失うリスクだけでなく、過去数回連続で前任者の後藤田氏と戦ってきたことから、地元の理解が問われます。
これは和歌山1区でも同様の事例があり、対立候補の維新の会に保守票が流れるのを避けなければなりません。
アンケートを見るに内政や外交安保でも立憲の中道派でどちらかといえば国民民主党や自民党に近い考えを持っていますが、仁木氏を支持してきた野党支持の方がそのまま仁木氏に引き継げるかは難しいところでしょう。
自民党への入党は成功事例も多いものの、リスクも十分あるといえます。
一方で維新の会はどうでしょうか?維新の会は前回の選挙で比例復活で当選された吉田知代氏がいます。吉田氏は祖父母の地元が徳島で兵庫県篠山市議会議員を2期務め、維新の会として1区で出馬しました。
仁木氏や後藤田氏と続き、3位当選で20,065票と7-9万票近いお二人に及ばない部分はあるものの、今回は野党票の取り込みと後藤田票の一部分、そして女性であることを活かして票の上積みができるかが問われる選挙戦でしょう。

⑤なぜ自民党に入党するのか?

最後になぜ自民党に入党するのか?について考えてみたいと思います。
旧民主系の代議士のうち、松本前総務大臣や山口元環境大臣、長島 昭久衆議院議員、そして今回紹介した仁木博文衆議院議員をはじめ、旧民主から離党して立憲や国民に合流しない議員が数多く自民党へ入党しました。
菅直人氏の次期衆議院選挙不出馬に伴い、野党で経験した総理大臣の現職は野田元総理しかいません。
当時の中核を担った閣僚経験者も約半数は政界を去り、残りの方々は各野党勢力の執行部や自民党に入党したものなど様々です。
民主党は崩壊し、民進党となり、国民民主党や希望の党、現在の立憲民主党や国民民主党へと至ります。
一方で大阪府の議会を握り、大阪府での改革を歌い国政進出した維新の会もあります。
そして維新の会は野党第一党や是々非々といったアプローチ方法で新たな野党のあり方を説いているとも言えます。
自民党もまた変化の時でした。第二次安倍政権が誕生して以降、選挙で勝ち続けた代議士は4期となり、一昨年の自民党総裁戦では「党風一新の会」を作り、旧来の派閥政治以外でも自民党総裁戦を動かすキーとなったとも言えます。
つまり野党を経験していない自民議員が中堅となる時代なのです。
そうなると現在も数多い入閣待機組の処遇や選挙戦における各人の戦いも変化するでしょう。自民党の看板を持たず、真正面からの逆風に耐えられる議員がどれだけいるかが注目ですね。
こうした背景が今の政治にあり、多弱の野党が多いと言えます。
立憲民主党は民主党時代の閣僚経験者・民主党時代の副大臣及び政務官経験者・民主党政権を経験していない世代の3パターンに分かれます。そこに中道派か極左派でさらに分かれ、グループもあります。

民主党時代の閣僚経験者

野田元総理・菅元総理・蓮舫氏・長妻政調会長・岡田幹事長・安住国対委員長・枝野前代表・玄葉氏・原口氏など

民主党時代の副大臣及び政務官経験者

泉代表、西村代表代行、逢坂代表代行など

民主党政権を経験していない世代(2012年以降に初当選)

重徳氏、早稲田氏、吉田氏、太氏、青柳氏など

このように3層に分かれていて、政務官や副大臣を経験している方々が今後、野党の中核を担い続けるでしょう。
その中で多弱の現状に見切りをつけて自民党に入党し、政治を動かしていきたいと考える人間も多いのです。ただ野党からの与党入りは現職との調整もあり、時間もかかる場合も多いかつ、極めて難しい状態であるとも言えます。
つまり与党入りは選択肢の一つであり、チャレンジでもあるのです。
まあ逆に自民から立憲や維新、国民にいった議員が本当に聞かないですし、各政党がそれぞれ党の力を強化するために共闘でなくても、目配せすることや支持固めや無党派層の獲得ができればいいのですがね・・・

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