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この本がよい 「なくなりそうな世界のことば」

卒業式の祝辞に悩んで図書館に行った時に、こんな本を見つけました。

「なくなりそうな世界のことば」
 吉岡 乾(のぼる)/著 
 西 淑(にし しゅく)/イラスト
創元社 1600円+税

この本は、世界の50の少数言語の中から、各言語の研究者たちが思い思いの視点で選んだ「そのことばらしい」単語を、イラストともに解説している本です。
その中には、「アイヌ語」も入っています。
また、最後の話者が亡くなり、途絶えてしまった言語も紹介されています。


コミュニケーションの道具としてことばの経済的な価値を測ると、「大きな」ことぱのほうが多くの人との間で用いることができる、すなわち、高い経済的な価値を持っているということに疑いはありません。[中略]今、世界では、メディア・ネット・科学技術の発展とともに、「小さな」ことばが次々に消えていってしまっています。その変化は、当然のことです。けれどもその一方で、文化的な価値が等しく高いにもかかわらず、徐々に担い手がいなくなっていく「小さな」ことばたちがあることに気をとめるのも、大切なことです。なぜなら、一度失われてしまったことばというのは、よみがえることがまずないのですから。

著者まえがき より

本を良く眺めてみると、ページの隅、見出しシールを貼るような場所に数字が書かれています。

こんな感じ

読み進めていて気がついたんですが、この数字は現在その言語を話している人の数のようです。
で、この数字は後ろの方になるほど少なくなっていて、最後は「0」。
ということは、この言葉が持っている「独自の概念」はもうないのです。

う~ん…。

これだけ「多様性を尊重」だのなんだの言われて久しいですが、言語が1つなくなるというのは、その「多様性」を構成する要素が1つ無くなったというわけで、これはある意味「画一的」な方向に進んでいってるんだろうか…みたいなことを考えたりしたのでした。


今の時期、分かりみが深いと思ったのが、ドホイ語の「BOROSOKOMODAP」。(読みは ボロソコモダップ)
意味は、「莫大な量の小さな何かが降る」

降ってくるものは、雨以外の物を指すそうで、日本で使うとすれば、今は「花粉」がドンピシャかなぁと。
早いとこシーズン終了となって欲しいものです。

辛い季節

こんな言語もあります。

このレビューを書いていて、思い出したんですが、こういったいわゆる「ことば」でなく、「口笛言語/くちぶえげんご」というものがあるんです。

自分のアナログ日記にメメントしてたものから。

2017年4月4日
BS世界まち歩きを見ていて。スペインのラゴメラという島では「口笛言語」というものがあり、世界遺産になっているという。
音を組み合わせた、モールス信号的なものかと思ったら、ちゃんと「言葉」として成り立っているというから驚きである。この島の高低差がある場所での伝達手段として発達したものだそうだが、こういう伝え方もあるんだと、ただただびっくりした。

その時の映像を簡単に説明すると…。
小高い山の上から谷底の集落に向けて口笛を吹くんですが、500m位は離れていたかな。(もっとあったかも?)指笛だったか口笛かはうろ覚えですが、まるで鳥がさえずるような感じで吹き鳴らしてました。それが周囲の山々に響いて、結構音が遠くまで届きます。スタッフが「何を話していたのですか?」と聞くと、
「ああ、後であなたのうちに行くよ、と言ってます。」←ここもうろ覚え。スミマセン。
どの音がどうなって、そういう文章に変換できるのかがとても不思議でした。これを応用したら、もしかすると鳥や動物と会話できそうな感じです。

この番組を詳しくご覧になりたい方は、NHKオンデマンド「世界ふれあい街歩き/スペイン ラスパルマス島」を検索してみてください。

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