見出し画像

日本人にとって最大といえる「文化の壁」とは

(冒頭の画像は広報メンバーのあゆみが作成した大作!ありがとう!)


2022年の終わりから2023年の始めまで、私は2種類のオンラインプログラムに参加した。株式会社TABIPPOによるコミュニティマネージャー養成講座(通称:コミュマネゼミ)と、内閣府青年国際交流事業のひとつである令和4年度「東南アジア青年の船」青年会議事業(通称:SSEAYPオンライン)だ。

コミュマネゼミ養成講座で…

講座での詳しい学びはこちらのnoteに記載しているので割愛するとして、2023年1月24日に実施した最終発表会で、私は「理想のコミュニティ像」とを言語化した。

「メンバー間の相互理解を通じて多様性を受け入れられる環境」
――最終発表のプレゼンテーションスライドより

この理想のコミュニティを実現するために、大切にしている価値観はこちら。

①異文化理解②思いやり③アップデート

特に①異文化理解の補足を見てほしい。「国籍だけじゃなく、性別、年齢、職業の垣根を超えること」を明記した。よくある文言のように思えるが、これは私がこれまでに参加してきたコミュニティを振り返って2023年の今、アップデートされた文言なのだ。

東南アジア青年の船とは…

東南アジア青年の船(Ship for Southeast Asian and Japanese Youth Program: 略称SSEAYP)事業は、内閣府青年国際交流担当室が担当して実施している青年国際交流事業の1つ。18〜30歳の青年がASEAN各国及び日本から集まり、うち日本参加青年約40人、ASEAN諸国10カ国から募る外国青年約280人と船内で約1ヶ月の共同生活をする。各国事情や文化・慣習の紹介やディスカッションテーマを設けて討論を行うほか、船内及び訪問国において各種交流活動を行うことにより、相互の友好と理解を促進する…というプログラム。
※詳しくは内閣府ウェブサイトを参照

私が参加した令和4年度事業は、新型コロナウイルス感染症の影響で「青年会議(=オンラインプログラム)」という枠組みで実施された。そのため、私は11月から本プログラムが始まったものの、ファシリテーター、運営スタッフを含めた全参加者と対面で会えていない。

本会議は、日本と東南アジア諸国連合(以下「ASEAN」という。)10 か国の青年交流を絶え間なく継続させるため、ASEAN10 か国及び我が国の青年が、オンラインを活用した交流活動等を行うことにより、青年相互の友好と理解の促進、青年の国際的視野の拡大、国際協調精神のかん養及び国際協力における実践力の向上を図り、もって国際化の進展する社会の各分野で指導性を発揮することができる次世代リーダーを育成することを目的としております。

令和4年度『東南アジア青年の船』青年会議応募要領」より

日本人には大きな「カルチャーギャップ」がある

単刀直入に言って、それは、「年齢の壁/キャリアの壁を超えること」。

当SSEAYPに参加するのは、異文化理解を深めたい、グローバルなコミュニケーション能力を身につけたい、など、成長意欲のある青年たちだ。内閣府としても「国際協調精神のかん養及び国際協力における実践力の向上を図り、もって国際化の進展する社会の各分野で指導性を発揮することができる次世代リーダーを育成すること」を目指している。

オンラインだけでしか関わってきていないが、みんなそれぞれに興味関心の分野、長所が見えて、それぞれのコミュニティの中でも周りをポジティブな方向に引っ張ることができる優秀な人たちだと思う。

ただ、残念なことに1つだけ、個人差はあれど、慣れていないことがあるのだ。それは「他の世代とフラットに話すこと。」大学生が先輩や社会人に対して自然と敬語を使ってしまう人が多い。そして社会人も敬語で大学生との壁を感じ、肩書にとらわれてしまいがちだ。

私自身も正直に言うと、事前研修プログラムで「大学生たちと話が合うだろうか。」「社会人の私からすると考えられない質問だな。」「若いな~」と、感じる場面がいくつかあった。

参加者は18歳から30歳までの青年。オンラインで地域差は超えられるが、これまで「年上を敬い、年上は年下の手本となる」というカルチャーをしみこませて生きてきた大多数の私たちは、すぐに経験値やキャリアの差を超えられない。ましてや年上にタメ語でなんて話すのは気が引ける。

先述の通り、私自身も、勝手に大学生と社会人で線を引こうとしてしまったところがあった。しかし、当時、「日墨戦略的グローバル・パートナーシップ研修」で大学生から社会人混成のコミュニティに属し、社会人から語学学校の学生に戻っていたこと、コミュマネゼミで同じ志を持つ「仲間」なのに敬語を使うことが定着している環境に違和感を覚えたこと、そして同様にSSEAYPオンラインでも違和感を覚え始めたことに気づいた。自分自身も相手を自分の見方で勝手に決めつけているのではないかと、疑い、意識を変えた。


所属した事業、チームの中で

もちろん、私は敬語文化って、とても美しいと思う。他の国の敬語よりも細やかで、大変複雑だ。そして、適度に言葉だけで距離を生み出す。そんな高度な言葉たちを完全撤廃しようなんて思わない。むしろ、守っていくべき文化だなと思う。

ただ、いわゆる「グローバル社会で活躍する次世代のリーダーシップ育成」事業で、「同期」である私たちのなかで、敬語を使う理由があるだろうか。

日本社会で生きてきた人たちには先述の「年上を敬い、年上は年下の手本となる」というカルチャーが色濃く残っている。だが、年上は年下から学ぶことはできないのか。年上は年下に教えることだけがすべてなのだろうか。

「異文化理解」を前提にしているのに、同じ国籍でも、同じ国に住んでいても、年齢で線を引く。敬語で距離をとる。これでは「異文化理解」もなにも始まらないのではないか。

時を戻せるなら

先日の報告会リハーサルで、各パネリストや座談会登壇者への想定質問として、「後悔していること」「やっておけばよかったこと」はありますか?――という質問があがった。

私が答えるとすれば、「敬語完全撤廃条例」を出すことだ(笑)

実は、私が2018年度に参加した「世界青年の船(SWY)31」の事前研修で、この「条例」施行が大々的に執り行われた。当時はこの必要性や意味が理解しきれなかったんだけど、今となってはこのコミュニティの年長者側が「条例」を発令することの意義がよくわかった。今からでも遅くない。これを読んでくれたSSEAYPオンラインの同期のみんなは、ぜひノー敬語で私と関わってほしい。

この経験を生かして

同じ目的を持ち、多様なバックグラウンドを持つ人の集まりの中で、お互いに学びあい、理解しあうことを前提とする時、私はコミュニティーのメンバーに「敬語禁止条例」を推奨しようとおもう。

もちろん、「敬語を使った方が落ち着く」「敬語が好き」という人に強制するつもりはない。でも、無意識的に「使わないと」と思っている人からは、敬語を撤廃できれば良いなと思う。私が目指すコミュニティは、「フラットさ」を兼ね備えているから。

そして、SSEAYPオンラインの報告会が来週2月5日(日)14時から17時まで開催されるので、ぜひ参加者の学びを一目見に来てほしい。素晴らしい感性を持って、行動力・実行力を兼ね備えた素敵なメンバーがたくさんいるので。

【詳細・申し込みはこちらから】
http://www.centerye.org/sseayp-youthconference2022/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?