「戦車椅子 TANK CHAIR」1巻感想
こんにちは、雪乃です。「戦車椅子 TANK CHAIR」1巻を購入したので感想を書いていきます。
この作品を知ったきっかけは、作者さんのプロモーションツイート。1話を読んだところすごく面白くて、マガポケで続きを読んだら完全にハマったので単行本を買いました。
物語の舞台は、あらゆる犯罪者たちの巣窟になっている「鬼城(グイチェン)島」。そこで暮らす青年・平良凪は最強の殺し屋だったものの、妹・静を庇ったことで銃弾に倒れ意識不明の身に。しかし殺し屋としての本能がそうさせるのか、彼は殺意を感じたときにのみ意識を取り戻す特殊体質になっていました。そんな兄の復活を望む静は、殺意によって凪の意識を引き出せる強い敵を求め続ける――という物語。
主人公の凪は戦闘用の車椅子「戦車椅子(タンクチェア)」に乗って戦うのですが、この戦車椅子がとにかくカッコいい!戦車椅子は状況に応じて使い分けられるよういくつか種類があるのですが、デザインがどれもカッコいいんですよ。漫画的なカッコよさと、工業製品的な、メカニカルなカッコよさを両立したデザイン。車椅子が、さながら仮面ライダーの乗るバイクのようにヴィークルとして機能しながら、同時に仮面ライダーのフォームチェンジのように、戦闘シーンの絵面にバリエーションをもたらしています。そしてすべてのフォームを使いこなすことで、主人公の凪がまたカッコよく見えるんです。「最強の主人公が最強にカッコいい」っていうのは、やっぱりバトル漫画では絶対に外せない要素。ここをどの回でも決めてくれるのがもう信頼しかないですね。強い主人公を強く描けるからこそ主人公がピンチに陥るような展開は一層映えるし、敵キャラもカッコよく映るので大事です。
そして舞台になっている鬼城島がまたすごく好みの世界観。アジア系の雑多な都市ってめちゃくちゃ良くないですか。「クロアキメラ」の第三管区や「BLACK LAGOON」のロアナプラ、「九龍ジェネリックロマンス」の九龍に通ずるものがあります。
「戦車椅子」は、殺し屋の凪と妹の静によるバディものという側面も持っています。バディにして血のつながった兄妹、ゆえに時折(主に静に)垣間見えるのは業の深さ。兄の意識を取り戻すために兄に本気の殺意を向け、また兄に殺意を向ける強敵を探し続ける。凪の方がダークヒーローのようでいて、より深いダークサイドにいるのは静の方なのではないか?そんなことを思わせてくれる、静の覚悟と業がすべて込められた第1話の最後の1ページがもうたまらなく好きです。
この作品でメインキャラクターとして活躍するもう1組の兄妹が、黒坂直墨と妹の騰子。子どもたちを暗殺者として育てる組織「学園」の出身である2人。直墨が凪に向けているライバル意識は王道少年漫画的なアツさがありますし、妹の騰子は人体に工業製品を取り込んだような、一目で「強い」と分かるキャラデザと、細かい描写で見せる可愛さが魅力的なキャラクター。特に単行本の描きおろしの騰子は可愛いのでぜひ見てくれ~~と思います。
作中でオーバーテクノロジーを実現している設定「半生物」を始め、明かされていない謎も多い作品。メカに関してはデザインのみならず、「それがどんな動きをするのか」といった面に至るまで作り込まれていることにもこだわりが感じられます。個人的には第2話で登場した「砲台車椅子(キャノン)」の、地面に車椅子を固定するためのアンカーが飛び出してから地面に打ち込まれるまでの動きがきっちり描き込まれていたのがすごく好きです。
強いキャラクターがテンポよく登場し、戦闘シーンもスピード感があるため緊張感や緊迫感が途切れることなく続いていくことも魅力的。
治安が最悪の島が舞台ということもあって世界観はダークかつ適度にダーティなんですが、それでもめちゃくちゃ強い主人公が敵をバンバン倒していくのって、それだけもうヒロイックで絵的にも見応えがあるんですよ。この辺はもうニチアサの味がします。
この作品にハマった理由の1つに、単純に「凪の顔がめちゃくちゃ好みだった」ことが挙げられます。大事ですよねこういうの。好みの顔面の有無で作品に対するモチベーションって違いますし。素顔も好きですが、ダークヒーロー「戦車椅子」であるときのキャラデザも好きです。ジェイソンが被っているマスクを思わせる仮面に、仮面ライダーの触覚のようなパーツがついているのが、「殺し屋」と「ヒーロー」の要素が両方入っていて、なんとも絶妙なバランス。全身の装甲も含め「変身ヒーロー」的な趣のあるデザインはぜひ本編で堪能してほしいです。
「戦車椅子」はマガポケで連載を追える作品。3話まではアプリ内で無料で読めますし、単行本の続きにもすぐアクセスできるのでぜひ読んでください!おすすめです!
本日もお付き合いいただきありがとうございました。