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王城正人というカバディ選手に人生を狂わされたオタクの話を聞いてほしい

 こんにちは、雪乃です。もうトップ画像とタイトルからバレバレだと思うんですけど、今回は以前少しだけ言及した、私がひたすら灼熱カバディにおける最推し・王城正人について語るだけの記事です。

 展開のネタバレに関して、現時点での単行本収録分の話だけに収めようと思っていたのですが、172話のネタバレありでお届けします。ご注意ください。172話がね、あまりにもヤバすぎたうえに王城正人という人間を語る上で外せないエピソードだったので……。

 カバディのざっくりとしたルールや灼熱カバディのあらすじは、以下に引用した記事をご参照ください。概要にだけ触れておきますと、カバディに青春をかける男子高校生たちの青春ストーリーです。

 引用した記事でも書きましたが、王城正人は主人公・宵越竜哉が所属する能京高校カバディ部の部長です。高校3年生ながらカバディ歴10年と、部内どころか作品内屈指のベテラン選手であり、お父さん(物語開始時点で既に故人)もトップクラスのカバディ選手。能京高校が誇る最強の攻撃手(レイダー)として活躍します。

 王城さんは2巻表紙の右側の黒髪の人です。左は主人公の1年生・宵越竜哉です。

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 まず、めちゃくちゃ顔が良くないですか???

 この人差し指を口元に当てるポーズは作中でもたびたび登場するのですが、なんかもう色気がヤバイ。好き。

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↑これは3巻の裏表紙なんですが、めちゃくちゃ細くないですか???隣で走ってる茶髪の子は2年生の水澄京平くんなんですが、王城正人、余りにも細くないですか???

 そんなわけで、気づいたときには王城正人の沼にハマっていた私が、どの辺が底なし沼なのかを書いていきます。

ここが好き①体格差を埋める技術力

 細くて目の下に常にクマがあって、どこか虚弱そうな印象を受ける王城さん。実際、初登場時には走り込みをしていた宵越と出会い頭に衝突し、吹っ飛ばされています。どんな出会い方よ。

 そんな王城さんの武器の一つ、それはカウンター。

突発的な動作…力を入れる時人間は必ず息を、『止める』か『吐く』か…
逆を言えば、息を『吸う』時は無防備に近い。
その瞬間、こっちのMAXを合わせると触るのも倒すのも楽になる…
「よーいどん」には弱いけど。
あと『カウンター』を悟らせない努力も必要なんだ。

スポーツの話題を書きなれていないので、カウンターに関しては単行本2巻に収録されている10話の王城さんの台詞を引用しました。彼はこのカウンターを駆使し、自分よりもガタイの良い選手から点数を奪っていきます。

 王城さんのどこが好きって、この「カウンター」ですら決して天賦の才ではなく、「何年もかけてやっと身に付けた(100話)」技術であること。すべて彼の努力の証左です。

 99話で「筋肉の薄い鋭角な肩」と表現される体格。しかしコートの上では最強。もう「ギャップ萌え」とかいうレベルの話ではなく、「筋力で勝負できないから技術を磨く」という道理が作中で示されるからこそ、彼が最強であることに説得力が生まれているのです。「そういうキャラクター造形」では終わらせず、積み上げてきた過程があるからこその「今」を象徴するキャラクターと言えると思います。

ここが好き②コートの上では魔王

 もう早速意味が分からないのですが、「魔王」は公式における表現です。やばい。普段は穏やかで最上級生としての落ち着きもあり、優しい先輩なのですが、攻撃がひとたび始まれば王城正人は魔王になります。

 どの辺が魔王かというと、まず、眼の黒目と白目が反転します。そして、黒いオーラ(?)が出るように。このオーラ(?)は、マンガワンのコメント欄とかでは「部長が闇出してる」と表現されます。今、書いてて意味が分かりません。あれをどう言語化しろと。

 2巻の表紙のごとき儚げな17歳の少年が、攻撃のときは人間をやめるんですよ。7巻の合宿編で、他校の後輩である佐倉くんに対し「小賢しかろうと僕は全部やる。簡単に越せると思うなよ…」と言うシーンがあるのですが、そのときの横顔は、勝利への執念の権化といっても過言ではないほど。綺麗な勝ちだけを求めないところに、人間としての深みを感じます。

ここが好き③カバディへの愛

 王城さんがカバディをやる理由はたった一つ。それは「愛しているから」
 100話のタイトルは「あなただけを見つめて」で、これは作中で王城さんの象徴として登場する向日葵の花言葉なのですが、ここにおける「あなた」とはカバディのことです。2巻に収録されている、奏和高校との練習試合では、カバディのことを「高嶺の花」と表現しています。「誰よりも自分を磨かないと振り向いてくれない」とも言っています。王城正人、彼は「カバディのためにカバディをやっている」人間です。

 で、それを踏まえたうえでの172話ですよ。以下ネタバレです。



 公式大会で、能京高校は練習試合(2~3巻)で戦い惜敗した奏和高校と対戦します。試合は一進一退の攻防となり、ついには延長戦となる「ファイブレイド」へ。ファイブレイドは両チームが交互に5人のレイダーを出して点数を競う形式なのですが、能京高校では3番目に部長である王城正人がレイドに出ます。

 レイドの中、ある回想シーンが登場しました。神社へ走って向かう王城さん。毎日、彼はひたすら神に向かってこう祈り続けるのです。

「僕に、一切の力を貸さないでください。」

 この台詞を見た瞬間、崩れ落ちました。今まで神頼みしないタイプのキャラクターは見てきましたが、王城さんは「力を貸さないで」ってわざわざ頼みに行ってるんですよ。もうこれだけで、王城正人という人間のヤバさが分かると思います。

 王城さんが神様に「力を貸さないでほしい」と願うのは、カバディで起こるすべての出来事、カバディによって自分の中に湧き上がるすべての感情を自分だけのモノにしたいから。もう神社のシーンがしんどくて尊くて、私の感情は結果的にすべて涙として出力されました。夜中の1時とかに号泣してましたよ。

 王城さんのカバディに対する「愛」は、ともすれば独占欲にすら見えてしまうもので。独りよがりとすら言えてしまうかもしれません。集団競技でありながら「全部僕のモノにしたい」ってすごいですよね。勝利も敗北も一人だけの力では経験しえない競技なのに、です。果ては神様にすら手出し無用とすら言えてしまう、これが彼の愛でした。足を怪我して入院するほど練習したのは、幸運も奇跡も、神がかり的なものではなく、すべて自分の力だけで引き寄せたかったからなのでしょう。

 帰陣する直前、奏和高校の部長であり王城さんのライバルたる六弦さんが、王城さんの靴のかかと部分を掴むのです。その瞬間、なんとかかと部分の布が取れます。衝撃映像です。しかし、六弦さんが「どれほど……走り込めば……」と心中で語ることによって、これが純粋な運ではなく、あくまで王城さんの努力ありきであることが分かるのです。いや~~~このシーンは本当にすごかった。

 改めて単行本を読み返してみたら、王城さんの靴だけ明らかに使い込まれてるんですよね。ちゃんと積み上げてきたものを視覚的にも見せてくれる灼熱カバディ、信頼できる。

 172話は、「これが僕の…愛の力だ」という王城さんの台詞で締めくくられました。感無量です。本当にありがとうございました。

 172話のタイトルは「アイのチカラ」なのですが、「アイ」は「愛」以外にも一人称としての「I」、つまり王城さん自身の力ということでは?という考察を見つけてゾクっとしました。

ここが好き④井浦慶との絆

※168話のネタバレが含まれます

 王城さんの幼馴染であり最大の理解者であり、そしてカバディ部副部長でもある井浦慶。

 そもそもファイブレイドに至った経緯として、僅差で負けていたまま迎えた168話で井浦さんが2点を取ったことで延長戦に持ち込んだという展開があります。延長戦が決まった瞬間、王城さん、真っ先に抱き着いてるんですよ。同期として、同じ競技を共に続けてきた仲間としての深い絆がうかがえるシーンです。

 井浦さん、誰よりも王城さんを近くで見てきているからこそ、練習試合で王城さん少し無理をしてでもが攻撃に出ることを、誰よりも強い口調で止められるんですよ。もう王城正人という人間を止められるのは井浦慶だけなんですよ。尊い。その一方で井浦さんも、攻撃手を諦めたことを王城さんの前でだけ話すんですよ。二人の絆の強さたるや、もう……。

 合宿の試合で宵越が勝利の立役者になった際、王城さん、井浦さんにだけ「…嬉しいけど…心のどこかで…やられたなぁって思う自分が嫌で…」って言ってるんですよ。きっとあのまっすぐすぎるカバディへの愛を知ってるの、井浦さんだけなんだろうなあと思える大好きなシーンです。

ときどき、推し方がわからなくなる問題

 は~~好き~~~とかなっている割に、時折分からなくなるのが推し方。キャラクターとの距離ともいえるでしょうか。

 節操のないオタクなので、過去様々な推しを渡り歩いてきましたが、王城さんに対して湧き上がる感情は、「これ、ガチ恋ってやつなのか……?いや崇拝……?」みたいな感じです。感情を手に入れたロボットかよ。なんというか、王城さんがカバディ以外の何かを見るているところが想像つかないんですよ。彼のことは好きなんだけど恐ろしくて、恋に落ちそうなのに絶対にカバディ以外何も見てほしくないし、てか実際見ないだろうし、感情が複雑すぎて訳が分からない。人間的にも好きだけどスポーツ選手としても応援したい、でもときどきその先に何があるのか見たくなる。想像のし甲斐がありますね。

 すべてを理解できないからこそ、私は王城さん推しなんですよね。私が王城さんを理解できない限り、王城さんは私にとって他人であり続けてくれる。ある意味、安心して応援できるんです。安心して応援できることを前提にした上で、172話のように、感情をかき乱されるのがたまらなく好きなんです。

 ここ一か月くらいは、王城正人(概念)を噛みしめ、そのたびに深呼吸をし天を仰ぐという、傍目から見たらヤベエ行動をとり続けています。これ以外に推し方が見つからないんですよ。絵は描けないし、二次創作は少しだけやっていますが一次創作ほど書いているわけではないですし(あと自分の中で解釈違いを起こしていて進まない)。その結果、感情を一人では抱えきれなくなり、今全部noteにこうやって書いています。

 信仰の対象と書こうか迷ったのですが、信仰ともまた違うよなあ……となったのでやめました。キャラクターとしても人間としてもめちゃくちゃ信頼できるのですが、やっぱり彼は私にとって「他人」であり続けて欲しいのです。

アニメ化にあたって

 灼熱カバディ、大変ありがたいことにアニメ化が決定しています。めちゃくちゃ楽しみです。早くみんなの声が聴きたい。いつから放送開始なのか、キャストはどうなるのか。何も発表されていないのですが、とにかく待つのみです。

 アニメ化されたら、グッズとか出ますよね。コラボカフェとかもやってくれるかもしれませんよね。コラボカフェ系は一度も行ったことがないのですが、灼熱カバディはちゃんと行きたい。アクスタとかアクキーとかね、ちゃんとお迎えしたいよね。なんならねんどろいどとかも期待していいよね。とりあえず来年の王城さんのお誕生日(1月1日)は盛大にお祝いしたい。王城さんと誕生日が同じなのが密かに嬉しいです。

 カバディの特徴として、レイドの間「カバディ」と言い続けてないといけない(キャント)ことが挙げられます。アニメ化にあたって一番楽しみなのが、このキャントです。

 実際のカバディにおいて、キャントはあくまで競技の一部としてのキャントですが、これがアニメになった場合は感情が乗るので、「芝居としてのキャント」になるんじゃないかと考えています。キャントを芝居としてやったときに、声優陣がどんな風に表現してくれるのか、今から楽しみです。

追記:王城さんのキャントきましたね。まさかこういう形で公開されるとは。テンポが恐ろしいほど一定なの、マジ魔王で好きです。

おわりに

 最初に灼熱カバディの記事を書いた際に、「王城正人について5000字くらいかけて語る記事を書いても引かないでください」みたいなことを書いたんですよね。あの時点で、王城さんについて書きたいな~でもさすがに5000字は書かないよな~と思っていたので、本当に5000字を超えたことにはびっくりです。

 今まで投稿してきた中で、一番時間がかかってます。1時くらいに書き始めたのですが、気づいたらもう4時です。下手なレポート書くよりも難しかったです。絶対これ書いてる場合じゃないんですけどね今。一人のキャラクターについて、ここまで字数と時間をかけて掘り下げることは今までなかったので、新鮮でした。そして何より、改めて考察の難しさと己の語彙力のなさを実感した次第です。

 最後に「灼熱カバディはいいぞ……!」とだけ言わせてください。

 長くなりましたが、お付き合いいただきありがとうございました。

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