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足下の泉、匠を仕組みに 

この前、2025年になったと思ったらもう1月が終わろうとしています。時の流れに棹をさして、夜ふかしをしてみます。

平成日本企業の失敗について検証した記事です。生産性の向上、失敗を恐れリスクを取らぬ企業体質と、それを甘やかすような政府の経済政策…。
これまでのnoteでも見てきたような指摘がなされていますが、目を引いたのはこちらの記述です。

日米企業の時価総額の伸びの顕著な違いを考えれば、両国の経済成長の差の少なからぬ部分は伝統的大企業の成長力の差に起因しているといえる。(中略)
日本で起業促進が必要なことは論をまたないが、既存大企業のイノベーション創出力の回復も同程度に重要な課題であるといえる。

2023/12/4日経新聞

経済成長に必要とされるイノベーションには、スタートアップの起業が欠かせないと思われがちです。しかしこの記事では、既存大企業の成長力も重要だと指摘しています。

例えばスタートアップの聖地のように思われるアメリカでは、創業100年以上という企業の数は日本よりも多いといいます。
カギになるのは「M&Aを通じた大胆な事業ポートフォリオや産業構造の転換」だと指摘しています。

お題目のように「スタートアップ、スタートアップ」と唱えるのではなく、足元にある泉もまた大切にしなければなりません。

このシリーズの中編です。「経営」という切り口から平成の失敗を検証しています。

日本の強みは「現場力」であり、右肩上がりの時代はそれでよかったが、先行きが不透明な時代になると、現場だけでは迷走してしまう。現場の力を成長に結びつけるエンジン、経営変革力といった「上部構造」の力が必要になる。そのように指摘しています。

では、何をどこで間違ったのか。面白いのは、3つの病があるという点です。

1つ目は、「擬態(カモフラージュ)病」。経営改革では、社外取締役を増やすなどのガバナンス改革が進められてきましたが、形だけで実質が伴っていない。やってるふりだけだと厳しく批判します。

2つ目は「舶来病」。1点目と似ていますが、ジョブ型、両利きの経営など、欧米の成功モデルをいくら真似しても「日本企業の強みに根差さない限り、現場には実装されない」といいます。

そして3つ目が「風土病」。強みだったはずの現場力ですが、「たくみ」の力に依存しすぎるあまり、「デジタル化が進まず生産性が劣後している」というのです。

この3つの病をどう克服していけばいいのか。記事では3つの処方箋を提示しています。

1、日本企業の強みの源泉である現場のたくみの技を磨き抜くこと
2、現場の技をしくみに吸い上げること(コンサルのモデルなどに頼らず、現場の知恵に基づいて仕組みにしていくこと)
3、大きな志(パーパス)と強い覚悟をもつこと(現場の士気を上げるのは危機感ではなく使命感)

この3つのポイントは、茶道における「守破離」とも通ずるものがあると結んでいます。

私が所属しているいわゆるマスコミの「現場力」も、ものすごいものがあると思います。ただ、その中のレジェンド的な「たくみ」の力に依存しすぎるあまり、生産性が劣後しているという指摘は耳が痛すぎます。

1つ1つの現場に基づいて、「たくみ」を「仕組み」に。
そして危機感ではなく使命感で。

大いに共感させられました。

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