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寝かせないタクシー
前回までのブータン旅行記はこちら。
象の看板だの、インド国境の謎の白い石だの、ホワイトマンキーだので前半から鼻穴をふくらませて興奮しまくっていたせいか、激しい睡魔がやってきた。
道中、サルや羊、毛並みがいい野良犬もちらほら見られるが、山道くねくねドライブが永遠と続き、ほどよい揺れと日差しの温かさがあいまって、ウトウトしてきちゃうのだ。
もう落ちちゃったよ、一番気持ちいいよというときに、ドライバーが腕をちょんちょんと突っついて来た。
薄目をあけてなんだい?という顔を向ける。
「Are you sleepy?」
ええええ?みればわかるだろ。眠いから舟こいでたんじゃないか。
「い、いえす」
「そうか、じゃあ寝てな」
なぜ起こした?なにをしたかったのだ?という疑問符が頭の中でいくつか出てきたが、そんなことはもうどうでもいい。やはりまた眠くなる。
いい感じに舟をこぎはじめると、また腕をちょんちょんと突っついて来た。
今度はなんだよ!と思いつつも起きると、
「ここは写真スポットだ」
といって車を止めた。その写真スポットがこちら
![](https://assets.st-note.com/img/1731479116-i43P1GjBY67n0Dq2eUxEOkLM.jpg?width=1200)
滝・・・か?一筋に流れ落ちている感じは確かに・・・写真スポットかもしれないが、シャッターを切りたいほどのスポットではない。が、せっかく止まってくれたのでパチリ。
もういいのか?というが、特段、
「きゃーーーー!なにこれなにこれ!絶景すぎるーーー」
と興奮するほどの滝でもなく、とはいえ、好意を無碍にはできぬ。
「うん、ありがとう」
とお礼をいった。が、これが間違いだった。このあとから滝に遭遇しそうになると毎回起こされ、車を止めるもんだから、これは社交辞令をいってはいかんと気づく。
「もう滝は大丈夫。ありがとう」
といってやんわりと断った。客がわたしだけならいざ知らず、他の乗客もいるのに、こんなにストップしたらティンプーにいつつくやらである。
これでゆっくり眠れるかと思いきや、くねくね山道で必須のクラクションをブップーと鳴らしながら走るもんだから、寝られない。
しかも、眠いよアピールどころか、がっつり寝ているのに
「おい、聞いてるか?」
なんて確認したりする。助手席はありがたかったが、ゆっくり車窓をみることもできなければ寝ることもできない。その点、後部座席の二人は、スマホをみたり、イヤホンをつけてお気に入りの音楽を聞いたり、ゆっくり眠ったりと、なんだか心地よさそうに見える。
週6はティンプーとゲレプを往復しているというドライバー。毎度同じコース、景色で飽きるだろう。そこへありとあらゆるものが珍しく、すぐに興奮する日本人が乗ってきたとあれば、あれもこれも教えてやろう、俺の全部を語ってやるぞ!となり、楽しくなっちゃったようだ。
全行程8時間のうちまだ2時間。どこまでも続くよドライバートーク。
車で揺られて寝るのが気持ちいいのに、寝落ちする絶妙なタイミングで声を掛けられるもんだから、半分寝ながら聞いていたせいかドライバーの話をほとんど覚えていない。あんなに一所懸命に話してくれたのに申し訳ない。ここでお詫びさせてください。
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