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間違ってナンパされないようにマスクを外す
マスクを外している人が増えてきた。
とはいえ、やっぱりまだマスクは外せないわ~という人は一定数いる。
理由はさまざま。
まだコロナが怖い
半数以上が外したら外す
これはまあしょうがないよねという理由。
顔をさらすのが恥ずかしい
ほうれい線が気になる
確かにマスク美人なんて言葉も流行り、マスクをしているとみんなかわいく見える現象が起きていた。
取材先で、マスク越しに話をしていたとき、
「結構若いのにしっかりした考えの人だな~」
と思っていたら、写真撮影時、マスクを外したら
おおっと!私よりも年とってましたかとびっくりする人もいた。
目じりのしわをみれば、なんとなく年齢の想像がつくと思っていたが、口周りのたるみがこんなに年齢を反映するとは驚き。
こうなってくると、今まであまり気にしていなかったほうれい線が気になり、奇跡のアラフィフとかいった人たちが実践しているという
あいうえお体操(口を動かす)
肌アイロン(目じりやほっぺを一定時間持ち上げる)
などを実践し、ほうれい線に抗っていたものの、そもそも若く見られたい願望がなかったということにはたと気づきやめた。
そんな、生涯女でいたい、美しくありたい、美魔女に興味がない(←そもそも短足、短腕、まんねんぽんぽこぽんだらか無理)アラフィフ女がナンパされた。
夕方18時の東京駅改札口。
「仕事がちょいと伸びました~10分ほど遅れます」
という友人からのラインを確認し、なぬ~10分ってカフェいくのも微妙だな~、待つかと改札前のテレビドラマの宣伝ポスターが貼ってある円柱に体をあずけ、ネットニュースをダラダラと読み始めた。
すると背後から
「あの~、あの~」
と声がする。
待っているのは同じアラフィフの女。こんなつやがある若い男子の声ではない。ということで、わたしではないな~と無視していると
「あの~、あの~」
とまだ聞こえる。その声がどんどん大きくなっているが、決してわたしではないとの確信があったためスルー。
今度はすぐ後ろで
「あの~あの~」と聞こえ、腕をちょんちょん。
ひょぇ~、なんなんだよと振り向くと、30前くらいだろうか、予想通り若い男子がそこに立っていた。
「あの~、さっきから声かけてるんですけど」
「はぁ~。なんでしょ。道に迷いました?でも、わたし東京人じゃないので教えて差し上げられませんよ」
と、道に迷って、暇そうな女に声かけただろう想定で答えた。
すると
「いや、お暇かな~と思いまして」
え?どういうこと?!暇そうに見えて声かけてくるってことは・・・
「それって、いわゆるナンパしているってことで認識あってます?」
とついオンラインMTGでよくいうセリフで聞いてしまった。
だって、だって、昔からたいした見た目でもなく、合コンいってもほぼメルアド聞かれず、ぴちぴちギャル時代に歌舞伎町歩いても、キャッチにもつかまらなかった私ですよ。
ナンパされた記憶があるのは、20年以上前のバックパッカー時代、しかも、トルコとかモロッコとか日本人なら誰でもいいから結婚したいブームがあったイスラム圏でのみ。
50目前にして、日本では初めてナンパされたといっていい。ある意味奇跡のアラフィフ~!と頭の中でどういうこと?!どういうこと?!と大パニックになっていると
「まあ、そうなるのかな~。ご飯でも一緒に食べたいなと」
このシチュエーション。お花畑だった20代のころなら、
え?うっそ~、いやだ~、背広のサラリーマン(←なぜか安定していると思える)から声かけられるなんて!
信じられない~とホイホイついていっただろう。
しかし、今じゃ酸いも甘いも経験してきたアラフィフ。
そしてなんでも思ったことを平気で口に出してしまうアラフィフ。
もうおばんだからさ~と笑い飛ばしてしまえるアラフィフ。
「ほほお、それはありがたいお申し出ですけれども、おひとつ質問。
なぜ、ご飯を食べたいんでしょう?」
とナンパの理由を聞いてみた。
するともう恥ずかしくて穴があったら入りたいくらいの回答がきた
「え、かわいいから」
やめて~やめて~、もうほんとにやめて!!!!鳥肌たっちゃったじゃないの!
マスクをしているとそんなにかわいく見えるのか?
後ろから声かけてきたとしても、一応、前を確認するよな。
推定30前の男子だけどこちらもマスクをしていて年齢不詳。
一歩間違えれば息子になってしまう、犯罪じゃないか。
若い男子の貴重な時間をつぶしてしまうのは忍びない。
また今後のためにもここはきちんと正体を明かさねばとよくわからない母性本能が働き
「ほんとに、ありがとうございます。かわいいなんて・・・いついわれたか覚えてないくらい忘却の彼方ですわ。
暇ではないし、次に早く行ってもらいたいからカミングアウトしますけど
アラフィフですのよ~おほほほほ~」
とマスクを下におろすと、あきらかに顔が変わった。
やっぱりほうれい線の威力というのはすごいらしい。
それでも
「いや、あの、それでも若く見えますよ。」
と。なんていい子なんだろ。
どう育てられたらこんなお世辞を言えるのだろう。とはいえ、マスクなしの顔をみたら、去っていった。
ほどなくして友人が登場。
事の顛末をかくかくしかじかとしゃべったら大爆笑。
「あれだな~、若い人たちの時間を無駄にしないためにも、
わたしたちが現実を受け入れるためにもマスク外そう!」
今日もわたしはほうれい線を見せびらかして歩く。
一度でいいからめちゃくちゃドストライクな人に声かけられて付き合ってみたかったな。もう遅いけど。
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