ルート変更がくれたプレゼント
昨日までのブータン旅行記はこちら。
パロ空港での迷走、モディ―効果、いきなりのルート変更と一筋縄ではいかないパロからゲレプへのフライト。
それもそのはず。外国人は通常、ガイドと一緒に行動しなくてはいけないルールなので、こんな勝手気ままに移動している外国人は珍しい。テザリングしてくれたおじさんにも
「君はブータン人と結婚してここにいる?いや、そんな風には見えないな」
ブータン人と結婚してたらどんな風に見えるというのだ。
一人でゲレプになぜ行くんだ?と飛行機に乗っているブータン人の皆さん、興味津々。
「おじょうちゃん、一人でえらいね」
と一人で知らない土地を旅していることを褒められた。一体、何歳だと思っているのだろうか・・・
こうなってくるとブータン人にとってはみなしごハッチ状態。あの苦手なドライチーズも食べなさいとおすそ分けされそうになったので、
「今はおなかがいっぱいなんだ」
と断るのが大変だった。
みんなとの会話で盛り上がり、すっかり窓の外を眺めるのを忘れていた。しかも、みんなまぶしいからと窓を閉めている。かくいうわたしもまぶしすぎてしめていた。が、下界を見下ろすのが好きなものとしてはどんな景色が広がっているか気になるではないかと窓をそ~っと開けると・・・
わ~~~~~~お~~~~~~~~~!
山が迫っている。こんな近いの見たことがない。
飛行機じゃなくて、スキー場のゴンドラに乗っている気分になるほど近い。
そもそも、インド国境近くのゲレプに南下するとばかり思っていたから、田園風景を見る心づもりでいたらなんとなんと、チベットとの国境にある7000m級の山々を見ながらのフライトに変更になっていたのだ!
まさに災い転じて福となす
立地関係はこんな感じ↓
これはもうまぶしいなんて言ってられない。窓にへばりついて山々を飽きることなく眺めている日本人(みなしごハッチ)をブータン人たちは、飛行機にのってはしゃぐちびっこを見守るように眺めていた。
ほどなくしてスナック到着
ツナもどきなものがサンドされているパンに、口の中の水分をすべて奪い去るパサパサクッキー、甘すぎるマンゴージュース、そしてナッツ。
おいしいかと聞かれれば、さほどでもないと答えるレベルであるものの、絶景とともにいただくスナックは格別においしく感じられる。
ため息が出るほど美しい山々。7000m級の山々をこんなに近くに感じられるなんてヒマラヤ遊覧飛行にでも乗っている気分だ。ブータン最高峰にして人類未踏峰のガンカル・プンスム7570mも見えているはずなのだが、どれなのかさっぱりわからない。
おそらく、この下の写真の左側のテーブルっぽく見える山がテーブルマウンテンじゃないかな~と思いながらパチリ。となるとだ、その右側奥くらいにガンカル・プンスムが見えるはずなのだが、テーブルマウンテンのほうが高い山に見える・・・結果、わからない。
近くにいるブータン人たちに
「あの山はなんて名前?どのくらいの高さなの?」
と聞きまくるも、みんな知らないという。なぜだ。するとテザリングしてくれたおじさんが
「なぜ外国人は山の高さが気になるんだ。7500でも7800mでもいいじゃないか」という。
いわれてみれば、なぜ気になるかわからないが、一番長い、一番高いと一番とつくものは見てみたいと思うじゃないか。と反論するも、意味がわからないという。旅に出ると、一番のワードにめっぽう弱い。最北端、最南端といった端も弱い。人は特別感を求めているのだ!と反論してみようかと思ったが、英語で説明するのがめんどくさくなって、笑ってごまかした。
もうこの際、山の名前なんてわからんでもいい。この絶景を目に焼き付けておかねばと窓にぺったりはりついて眺める。体を前にしたり後ろにしたり、いろんな角度で見ていると、周りのブータン人たちが
「こっちにおいで。良く見えるから」
「次はこっちだ。いい写真がとれる」
とみんながみんなベストポジションの座席を譲ってくれた。幸せだ~。こんな世界の屋根を眺められるなんて幸せ者だ!こんな優しい人たちに囲まれた幸せだ!
といろいろ感動していると飛行機が旋回を始めた。
もっと眺めていたい。ず~っと見ていても飽きない・・・さよならヒマラヤ山脈の一部さんたち。さよなら世界の屋根。いつかもっと近くで見たい。また会える日を楽しみに~なんてセンチメンタルな気分になっていたのだが、すぐにまた何回も会えることになるとはこの時は露ほども思わなかった。
後半に続く・・・