「T」なしでネイティブに
お金がつきてしまい、泣く泣くバックパッカーを卒業し、日本へ帰国後、就職先第一弾は時給だけで選んだ外資系企業。なぜ採用されたかというと、帰国したばかりで英語の聞き取りがばっちりだったからだ。あとは、面接のときにやたらめったらとニコニコしてしゃべり倒していたのが外人さんにうけたか・・・
セクレタリー補助という、単なる小間使い的な仕事で、言われたことをやってればいいんでしょ?と思って軽い気持ちで仕事にいったら、馬車馬のように働かせられ、そのうえ日本にいるのに英語を話さなければならないのがめんどくさくて、早くお金たまらんかな~なんて思いながらイヤイヤ仕事をしていた。
そんなネイティブさん、ネイティブ並みの帰国子女が揃う社内。会話が早すぎて何を言っているのかわからないときが多々あった。わたしがサポートしていたセクレタリーさんも帰国子女で日本語より英語のほうがわかるという、それだけでかっっけ~と思う女子だった。
彼女は何人かのセクレタリーで忙しくしていたのだが「Peter」を呼ぶときが一番ネイティブっぽく聞こえた。
というのも、わたしは「ピーター」もしくは「ペーター(←ハイジファンなもんで)」と呼ぶのに、彼女は何度聞いても「ピラー」と聞こえる。
試しに、ピーター本人に「へい!ピーラー」と呼び掛けてみたら
「俺は皮むき器じゃない」
と、日本語が超お上手なピーターに笑われた。
ピーラーと伸ばさずに、ピラーとクイックにいえとも教えてくれた。
そういえば、Printerも「プリナー」というし、point ofも「ポイナ」と聞こえる。
は!「T」を発音しなければネイティブっぽく聞こえるということか。と、気づき、これはみなに共有せねば!と昼休みのお弁当仲間にどや顔で言った。
「ねえねえ、知ってる?ネイティブは”T”を発音しないんだよ!」
「・・・・・」
常識だったらしい。すこぶる恥ずかしい思いをした。
なんでこんな昔話を思い出したかというと、先ほどエレベーターに外国の方が乗ってきたので何階ですか?と聞いたのだ。
「トゥエニー」
おおお!Tをやっぱり発音していないんだなと、にんまり。
「OK、トゥエニー」
とTを発音しないで返したのだった。別に驚いてなかったけど。
もうひとつこの会社で学んだこと。何かをもらったときにThank youだけでおわらない、いやそんなありきたりな感謝はいわない。その代わり、大げさに喜びをアピールする。
What can I say? This is perfect.
一番多用していたのがYou're amazing.
そんなにamazingでもないものをamazingと毎回大げさにいってたおかげで、いつも大量のアメリカの甘ったるいチョコレートをもらい、アメリカンサイズなバディーになったのだった。