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歯医者の謎
居酒屋でビールを飲み、焼き鳥をむしゃむしゃ食べていたら、ガリっとした。喉の奥のほうで転がっていたものは、20年以上前にかぶせたもの。
せっかくおいしく食べていたのに、外れた状態でおいしく食べられるわけがない。ビール飲んだらしみるんじゃないか、食べたら穴にモノがつまっていたくなるんじゃないか・・・こうなると早く帰りたくて仕方なくなる。
はずれた銀歯をティッシュにくるみ、早速、歯医者を探す。引っ越ししたばかりで行きつけの歯医者がない。家の近くの歯医者から片っ端から電話をかけた。
そして4軒目で歯医者の予約がとれた。が、これが謎だらけの歯医者だった・・・
その1.予約がとれない
こんなに歯医者があるのに、急な予約はほぼとれない。
「痛くないなら、3日後はどうですか?空きがあります。午後3時ですけど」
と痛くないならすぐ来るなといい、しかも、空きがあるのは一番出かけられない昼間の時間をいう。まあ、自分が忙しい時間は他人様も忙しい時間となり、必然的に歯医者が暇な時間になるのだろう。
痛くなくても、穴があいている状態が落ち着かないのだ。4軒目でやっと当日予約ができた歯医者。しかも夕方のベストタイミングにきていいという。たまたま空きがでたのだろうか・・・
予約がとれないのも不便だが、あまりにも簡単に予約がとれると何か問題があるんじゃないかとうたぐってしまう。
その2.1人歯医者
予約できた歯医者はHPで見る限り、比較的新しい作り。医院長は50前後くらいの脂がのった感じのナイススマイル。決してイケメンではないがいい表情をしている。HPにのせるのににらみつけてたり、幸薄そうな写真は使わないだろうが。
電話で応対してくれたおじちゃんがかなりくら~い声色だったのが気がかりなのだ。ドリフで志村けんが演じる歯医者のような髪ぼうぼうのちょっと陰湿そうな、そんな声音だった。
一抹の不安を抱えながら歯医者にいくと入口はHPのとおりのきれいさ。中に入ると、オレンジと白を基調とした内装で清潔感がある。
しかし、お客さんもいず、受付にも誰もいない。
すると、白衣をきたおじさんが出てきた。悲壮感漂う風貌で、目の下にはまっくろなクマがくっきり。
「こちらに記入ください」
問診表を渡され、彼は中に戻っていった。ささっと書いて、呼び出しボタンをポンと押すとやはり白衣のおじさんがきた。
さっと目を通して、中へどうぞという。
受付や歯科助手はいずこへ?と思いつつ、促されるまま診察台へ。やっぱり白衣のおじさんが前掛けをセットし、うがいコップも準備。
「とれた銀歯ありますか?」
必要最小限の会話しかしない。これですと差し出すと、ひとまず、はめられるかどうか確認しましょうと口の中を見だした。
ささっと確認し、問題ないことを確認するとこれまたさっとつけてくれた。仕事が早いうえに、的確。
「おそらく問題ないとは思いますが、歯のお掃除がてら来週またきてください」
と言われ、待ち合わせ室に促される。
するとやっぱり白衣のおじちゃんが受付にやってきて請求書を出してくる。
銀歯はめるだけでこんなに高かったっけ?と思いつつも、文句のいいようもないから言い値で払うことにする。
次の予約も白衣のおじちゃん。診察券の発行も白衣のおじちゃん。
結局、白衣のおじちゃんとしか会わず、他に人がいる気配はなかった。
が、たまたま入れ違いでお客さんが入ってきたので、一応の安心感はあった。
それにしても、今まで数多、歯医者に通ったが1人歯医者は初めての経験。
歯科助手と受付を兼務しているのは見たことがあるが、受付から治療まで1人でやっている歯医者は初めてだった。
高い気がするし、愛想も悪いし、悲壮感ただよってるし、目の下のクマがすごくて、疲れから医療ミスしないか心配になるけれども、ひとまず歯の清掃にはいくことにした。
1週間後の歯の清掃も以前の歯医者に比べると、1000円くらい高いし、時間も短いし、大丈夫か?と思うも、舌で歯の周りをパトロールしてみてもキレイになっているのがわかる。技術があるから短時間でできるんだろうか。そもそも、歯科助手以外の人、いわゆる歯医者さんに歯の掃除してもらうのは初めてかもしれない。もしかしてお得なのか?と思い、3か月後再度歯の掃除にいき、また3か月後の予約をとって歯のお掃除にいってきた。
その3.なぞの点数制
今回は半年ぶりだからとかなんとかいってレントゲンで歯の状態を確認しますという。今まで、歯のお掃除に何回もいっているが、前回の歯のレントゲンが半年前だからといってレントゲンとったことがないけど。と思うも、どうも医者に歯向かうことができない。
言われるまま、レントゲンをとると、まあ以前と変わらずの画像。
「いい状態保ってますね。汚れを確認して掃除していきますね」
それだけ?レントゲンとらなくてもよかったのでは?と言いたいが、医者には文句はいえないのがつらいところ。相変わらずの手際のよさでお掃除開始。そしてたった20分で終了。
すぐに受付にきて請求書を発行する。
「本日分です」
金額をみると、なんと4500円!!!!
今まで歯のお掃除でそんな金額払ったことないけど。3000円弱で、歯ブラシとフロスをつけてくれていたのに、4500円でお土産もなし?!
といってもやっぱり文句もいえず払う。家に帰り、明細をみると、やはり画像診断の点数が群を抜いている。
歯が痛いとか腫れているとか不具合を訴えたわけでもなく、ただただ歯のお掃除に気楽にいっただけなのになぜだ。
歯医者に限らず、病院からもらう明細の点数がわからない。勉強すればわかるかもだが、そんなの勉強したくない。
本日の画像402点もすごい高いが、たとえば、
SRP(小臼歯) 64点 2回
SRP(大臼歯) 72点 2回
この点数の違いはなんだ?しかもSRP(前歯)は60点、6回。これが適正なのかどうかさっぱりわからない。
いつも歯のお掃除をすると気持ちもすっきりして帰るのに、いくら技術がよろしくても心がすっきりせず、もやもや。
「次も3か月後がいいと思います。いつがいいですか」
「3か月後は気持ちの整理がついたら電話します」
意味不明な返しをしたものの、もはや1人歯医者は達観しているのか、特に何もいわず保険証をわたしに返却して、見送りもせずに奥に戻っていった。
人手不足で1人歯医者をやっているのかと思ったが、もしかしたら仕事ができすぎて、出来すぎペースに歯科助手がついていけず長続きしないのか、はたまた、そんな自分の性格を知っているからあえて雇わず、俺は1人で立派にやってのけるぜ!愛想がなくても技術で勝負だ!と思っているのかとかなんとかいろいろ想像してみたが、歯科助手募集の求人を見つけてしまったのだった。
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