ポテトフライ in ミルクティー
前回までのブータン旅行記はこちら。
久しぶりのもっちもっちのほんのり甘味のあるジャポニカ米のような赤米を食べて大満足のゲレプの朝。
チュキは朝が苦手で朝ごはんは食べないのでなかなか起きてこない。朝のお勤めも終わり、朝ごはんも食べ、なんだか一仕事終えた気分。ほんとに仕事をしていたのはニマなのだが、ひとまず手伝った気分に浸っている。
ご飯を食べ終えて、ミルクティー片手にぼ~っとしていると台所のほうから、パチパチと何か揚げている音がする。油の匂いを追い、鼻をひくひくさせながら台所にいくと、チュキママが作っていたのはポテトフライ!
おやつ時間にもってきてくれた蒸しじゃがいもの甘い味わいを覚えている。あのジャガイモのポテトフライだとしたらすこぶるおいしいに決まっている。しかも揚げたてであればなおさら・・・というのが顔に出ていたのか、チュキママが、ポテトフライを一つ摘まみ上げて、食べるか?といった表情を向けてきた。
心は食べたい。だが、おなかは非常に拒否している。朝から、小麦粉を揚げただけのお菓子をたべ、そのあとに赤米ときた。すでにお腹のキャパシティは超えている。だが、”おいしいに決まっている”が確定している以上、食べないわけにはいかぬ・・・
というのを脳内で必死に考えていたのが表情に出ていたのか、お皿に試食程度のポテトフライを置いてくれた。
これなら食べられる。揚げたては予想どおりホクホクとして甘味がある。ほんのちょっぴりの塩が甘味をさらに引き出してくれている。お腹がすいていたらもっと食べたい。さすがに北海道産のホクホク男爵には負けるが、インド産のメークイン系のジャガイモも負けていない。
ジャガイモを蒸すだけじゃなく、揚げて塩をつけて食べる方法を見つけた方に感謝申し上げたい。こんなにおいしいものを作ってくれてありがとう!
というくらいおいしいのに、なんとお菓子だけでなくポテトもミルクティーに浸して食べて、ニコニコしているチュキママ。どうして、なんでも浸すのだ。チュキママのミルクティーのカップをのぞくと案の定、油がぷかぷかと浮いていた。ミルクティーも違った味わいになっているに違いないが、そんな微妙そうなミルクティーもおいしそうに飲んでいた。文化の違いとは恐ろしいものである。
食べすぎて、普通に座っていられない。足を投げ出し、おなかをまっすぐにして、さすりながら、極楽極楽~と幸せ気分に浸っていた。
すると、近所に住んでいるチュキおばがなにやら携えてやってきた。
「ゆきんこちゃん、フライドヌードルが好きって言ってたでしょ。作ってきたから食べて」
なんと!今日が最終日と知ってか、朝ごはんのタイミングに作って持ってきてくれたのだ。しかし・・・もう入る余地がない。だが、せっかくの好意をむげにできぬ。さらに、もったいない病を生まれたときから発病している身としては食べないともったいない。
「あ、ありがとうございます。う、うれしいです」
赤い色がないだけで辛くないのがわかる。しかも、久しぶりの茶色フードが食欲をそそる。いや、今はそそらないが、香りがいい。
もうこれは頑張るしかない。満腹すぎて、ゆきんこスマイル全開の「おいしい!」は出ないと思うが、頑張って出したい。
卵麺だろうか、太くもっちりとして食べ応えがある。日本の焼きそばのソースではなく、中華料理によく使われる甘いソースを使っているからかほんのり甘い。炒り卵が味にアクセントがついていい。
「おいしい!」
といいつつも、もうこれ以上食べたら、おなかがやばい。ティンプーまでのロングドライブ、途中、清潔なトイレがあるとは思えない。しかも、休憩がどれくらいあるかわからない乗り合いタクシーだ。残せない、でも食べられないの葛藤がまたしても顔に出ていたのか、相変わらず察知が早いニマ。
「ランチボックス作ってあげようか」
いい!それはいい提案!お昼になったらきっとお腹がすく。しかも、ドライブのときはなぜかいつもよりお腹が減る。
「ナイス提案!よろしくお願いします」
フライドヌードルだけでなく、フライドポテトもたっぷりと入れてくれた。たっぷりの油で揚げたフライドポテトは時間がたつとびちゃびちゃになってしまう。しかも、油を吸いまくってきっとお腹にもたれてしまいそうな予感。揚げたてがおいしいのであって、ランチのときは油シミシミの冷たいポテトになっているはず。
だが、チュキママが一所懸命揚げてくれたのだ。食べられるだけありがたいと思わねばならぬ。フライドヌードルとフライドポテトの油コンビのランチボックスをいただき、チュキ家をあとにした。
ちなみにウェルカムのときチュキにかけてもらった歓迎の証の白い布。
お見送り時にチュキママがまたかけてくれた。今度は来てくれてありがとうの感謝の意味と道中お気をつけてといった意味があるらしい。
白い布をかけながらぎゅっと抱きしめてくれたチュキママ。恥ずかしがり屋のニマは抱きつかずにそっと手を差し伸べてくれた。
出会いの数だけ別れがある。別れのときは寂しいが、また来たい会いたいと思える人達に出会えたのは幸せなことだ。これが旅を生きる醍醐味。次の新しい出会いを求めて旅立つ。
応援ありがとうございます!いただいたサポートは次回のブータン旅行時、キッズ僧侶たちへ日本のあめちゃんを大量に購入する費用にいたします。