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匂わされた恋心
たいしてかわいくもなく、気が利くわけでもなく、癒し系でもなく、いたって普通すぎる体形158cm、ウェスト63cm、Cカップ(←20歳当時の思い込みサイズ)の私。
そんなどこにでもいるような女子の割には、ちょっと優しくされたり、話しかけたりしてくれる男子に出会っては
「あ~、私に気があるんじゃ?」
とほくそえんでいた。なんて自意識過剰。
しかも、そんなたいした顔でもないくせに、イケメン好きときたもんだから、始末に負えない。
ドラマで見るようなイケメンに出会うべく、秋田から意気揚々と上京したのは18歳。都会のイケメンに出会いたい!!!と吹聴して歩いていたところ、友達が連れて行ってくれたのが歌舞伎町。
ホストクラブに払うお金はありませんよと思いつつ、ついていくと、1軒のDJパブ居酒屋?なるものに入っていく。
薄暗くあやしい雰囲気。すると、今でいうところの菅田将暉風男子が蝶ネクタイをつけて、現れ
「何名様ですか?」
と声をかけてきた。しょっぱなから、イケメン度80%。
中に通されると、HYDEさまのようなちょっとハーフっぽい男子、坂口健二のようなワイルド系、坂口健太郎のようなしょうゆ顔と、これぞイケメンパラダイス!そんな中、注文を取りに来てくれたのが、松田翔太風の細見、細目のちょっとそっけない系男子。
しかし、注文をとるときの笑顔の破壊力が半端ない。なんなんだ、このDJパブ居酒屋!と興奮しすぎて、飲みまくったあげく、トイレが近くなる。
「あ~、この居酒屋、通ってしまいそう~」と、便器に座った先に見えたのは、アルバイト募集のポスター!
これだ!
と思いつつも、その場でアルバイトしたいですとはいえず、電話番号をメモして、次の日に電話。すぐに面接してもらえて、なぜかその場で採用。ちなみに、店長は黒田アーサー(のような人)だった。
こんなトントン拍子に採用されるということは、もしかして、何かしら問題のある店で、すぐにバイトが辞めるとか?と、警戒心を強めつつ迎えた初日。黒田アーサーから菅田将暉、坂口健太郎までみんないい人で、いい感じに、田舎っこをいじってくれる。さらに、都内の名だたる大学に通う現役の大学生というじゃないか!
ただ、松田翔太だけは、寡黙でなかなか打ち解けられなかった。数週間たったころ、バイトに行くために電車に乗っていると、松田翔太発見!イケメンと電車に乗ってみたかった私は、声をかけてみた。
驚いた様子を見せつつも、たわいもない会話をして、バイト先まで一緒に歩く。イケメンと電車に乗って、歌舞伎町を歩けるなんて~と気分上々。
これをきっかけに、家が同じ方向ということがわかり、一緒に帰るようになり、だんだん仲良くなった。見た目は冷たい感じだけれども、しゃべってみるとかなりかわいげがあり、たまにはにかむ笑顔なんてかわいすぎる~!と一人キュンキュンしていた。店を出ると、しゃべり方が、男らしくない感じなのは気になっていたものの、イケメンは七難隠すっていうもんね。とこの時は気にならず。
一緒に帰るときは、いつも松田翔太から誘ってきて、たまにご飯食べて帰ろうとまでいってくる。なんと、2人っきりで!もともと、思い込み激しいし、そんな匂わせされたら、好きになってまうやろ~と高まる気持ちを押さえつけ、一人毎日、昇天していたとある日。
「次のバイトのあと、ちょっと行きたいところあるんだけど、付き合ってくれる?終電に間に合わないかも?大丈夫?」
ときた。
こ、これって、やっぱり、あれよね?告白?
しかも、終電間に合わないってことはお泊り????
うっひょ~、イケメンと付き合える日がくるとは!と、毎日、
♪もういくつ寝ると~、イケメンと付き合える~♪
と浮かれまくっていた。
初夜を迎えるにあたり、ブラショーを新調し、準備万端で迎えた当日。歌舞伎町のバイト先から、さらに奥に連れてかれる。どこで、告白されるんだろうかとドキドキ、モジモジしながら歩いていき、松田翔太は、手慣れた手つきで、古びたお店に入り、誰かに手を挙げた。
うん?誰かと待ち合わせ?
すると、彼の横にちょこんと座り
「彼!付き合ってるんだよ!」
とニコニコ。
??????????????????????????????
どーいうこと?あれ、私、告白されるんじゃなかった???
「ゆきんこは、すっごい話やすくて、自然体でいられて、ほんと楽で・・・長い友達になりそうだから、紹介したかったんだ」
まだ状況が読み込めない。意味がわからん。
今日はイケメンの彼氏ができる日じゃなかったか???
と頭が大混乱を起こし、うやむやのままやけ酒を飲み、本心をママにぶっちゃけまくった。
ご想像どおり、ここはゲイバー。
カウンターにいたママに、自分が松田翔太から告白されると思って、初夜に向けて、かわいいブラショーつけてきたこと、松田翔太が、どんだけ匂わせ男子だったかということを息巻いていたらしい(←記憶にない)
あれから、うん十年たった現在。今でも、あの時の勘違い事件は、笑いのネタにされ、松田翔太風の予言通り、マブダチだ。
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