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若者専用の橋~パロツェチュその3~

「日の出とともにトンドルが下ろされる」
と地球の歩き方2018年版はいっている。6年前の情報だから古いといえば古いが、こういう伝統行事は基本的に変わらないのではないか。

「キラ似合うね~」

なんて、のんきにドマをかみまくっているデチェン。日本人には決して受け入れられないドマの話はこちら。

出発したときは真っ暗だった空が、青、水色と明るくなり、ほんのりピンク色が混じってきた。

あ~もうご開帳されているよな。間に合うかな・・・という不安が完璧に顔に現れていたようで、それを察知するデチェン。

「だから、大丈夫だってば」
「駐車場が満車で入れないとかは?」
「駐車場なんてないわよ。その辺に止めるから」
「その辺ってだいぶ遠くじゃないとあいてないとかあるんじゃ?」
すると、それは考えてなかったといった顔をした。

ほらほらほら!!!こういったお祭りはいろんなハプニングがあるのさ。

「ま、どっかあいてるから」

逃げたな。とはいえ、今更急いでもすでにご開帳はされているだろうし、日が昇っても延長するという地元民情報を信じるしかあるまい。

道路も混んでいるかなと思いきや、さほどでもなく、信号のない山道をぶっ飛ばし、1時間半でパロ到着。

この写真は3人だが、この後ろにも人・人・人。いつもよりは明るいキラをきた人々が見え始めてきた。

道路沿いには車がずら~り。嫌な予感的中。

「ちょっとでも隙間があったら教えて」

若干焦り気味のデチェン。

お祭り最終日は曇り空。日が当たらなければトンドルは痛まないわけで、もしかしたら天気が悪いから問題なく延長できるかも?いや、まて、雨が降り出して、早めにしまわれちゃうかも!!!!

なんていろんな想像をして駐車場のことを忘れる。

パロゾンの前を行ったり来たり。1本奥に入った道にも行ってみたが、入れるスペースがナッシング・・・

「ゾンの前でおろすから、先にいってみてなよ」
「え?いいの?」
「駐車してから行くから・・・あ!だめだ。WiFiつながってないと連絡できないじゃん」

そうであった。ブータンではデジタルデトックスと称してSIMを買わなかったのだ。デチェンの家にいればWiFiあるし、デチェンと一緒にいればテザリングできるしとおんぶにだっこだったのだ。

しまった・・・こういうときのために購入しとくべきであった。

と、後悔していると、な、なんと、目の前で車がす~っと出て行った!

あ~神様仏様、あ、ブータンだからグルリンポチェさま、もういっちょシャプドゥンさま(←過去記事ご確認を)!

15分くらいはウロウロしたが入口まで徒歩5分ほどのナイスな場所に駐車ができた。はやる気持ちを抑えられず、早く早くと急き立てる。

カメラもって、防寒対策をしていざ、出陣!

目の前に現れたのは、パロゾンにかかる2つの橋。

1つは一般的な石造りの伝統様式の橋。もう一つは、簡易的にかけました的な木の橋。

パロゾン内に入るには通常、伝統様式の橋のみ。それだけでは大渋滞をおこすからという理由でこの木の橋を作ったのだろうか。

木の橋のほうがショートカットで中に入れそうだが、石が崩れたら途端に流されそうな弱弱しい橋をみて、誰が通るというのか。実際、ご覧のようにあまり使われていない。

しかも、写真奥のパロゾン側の橋は決壊、いや木が足りなかったのか、いやわざと外しているのか、みな石の上を歩いている。おかげで裾が濡れているのだ。この寒いのに裾を濡らしたままで祭りはみれぬ。何より、ブータンで何かあっても困る。とばかりに伝統様式の橋に向かった。

そんなことはどうでもいい、とにかく早くスムーズにいきたいんだという若者のニーズは捉えられているようで、渡っているのは若者ばかり。川の流れもなんのその。ぴょんぴょんと石をうまく使って歩けそうな若者専用なのだろうか。

なんて元気にわたる若者たちを伝統様式の橋を渡りながら眺めたのだった。

橋を渡ったらトンドルの一部でも見られるかと周りをきょろきょろしていたのだが、まったくみえず。もしかしてもう下ろされたのでは?というのがやっぱり顔に出ていたよう。

「トンドルはもっと中にいかないと見えないわよ」

果たして間に合うか?(←引っ張りすぎw)

ちなみに、急がせたせいで帰りはこんなことに。
急いでいるときこそ冷静に・・・何歳になってもこれができない。

この場を借りてお詫びいたします・・・ごめんよデチェン。

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ゆきんこ
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