同年代が病だと元気がでる
8月13日のお盆の4~5日前、町内会で墓掃除がある。
時間は任意だが、この日に実施しましょうという回覧板がくる。今時、回覧板をまだ回していることに驚く。秋田市内のわりかし便利な立地にある我が実家エリアは、空き家があってもすぐに売れ、跡地にアパートや新築一軒家がたち、見知らぬ若夫婦が住んでいるところもある。そんな若者たちもめんどくさいとは思いつつ、回覧板をまわすために隣の家のポストにいれる。とはいえ、自分たちのご先祖さまがいるわけでもない墓掃除には来たためしがない。
といった理由から必然的に墓掃除は昔から住んでいるじいちゃん、ばあちゃんたちが集まる。毎年、誰かしらが掃除していたお墓に入ってしまうため年々掃除する人は減っていっている。
となると会話は
「お互い健康でいましょうね」
といったものを想像するのだが、これが全く違うのだ。
「おれは、糖尿病と心臓だろ。こないだ、心臓の手術したときは三途の川みたもんな。」
「そういえば、おめえ、見かけなかったけど、入院してたのか」
と言いながらニヤリ。
いや、そこはニヤリとするところじゃないだろ。するとニヤリおじさんが
「えがった~。おめえも三途の川みたってか。おいも脳梗塞で倒れたときはもうおしめえだって思ったわ。あれ以来、指の動きも悪いし、ひざも痛いし、いいことねえな」
「そりゃよがった。よがった!おれも手がずっとしびれれてモノが持てないんだよ。ワッハッハハ~」
大笑いするような内容ではない。そんな水場のじいさまがたの会話を墓掃除をしていたお父さんにいうと
「同年代が健康でいるとな~んか癪にさわるんだよ。おめえだけなんで元気なんだって。けど、病気しているとなるとなんかうれしいもんなんだよな」
健康でいると癪にさわるとは・・・
世の中のCMはかわいいお孫さんたちが
「おじいちゃん、おばあちゃん、元気で長生きしてね」
なんていっているが、当のおじいちゃんおばあちゃんたちは病気を抱えながら、無理やり長生きしているのだそうだ。
どこも悪くなく元気だと、機嫌が悪くなり、病気だとハッピー。それが元気になるバロメーターになっているのであれば多いに病自慢をしてくれと思いながら、じいちゃんの墓をごしごし磨いていた。
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