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ブータンには蛍の光がない

昨日までのブータン旅行記はこちら

2日目最後のティンプー観光は、ブータン人いわく「ブッダポイント」。ガイドブックいわく、クェンセル・ポダン、通称ティンプー大仏。

ややこしいがどの言い方もあっている。ティンプーにある大仏だし、ティンプー市内のどこからでも見えるから”ポイント”といっても問題ない。

ちなみにこんな感じ↓

この写真をみてわかるようにティンプー市街の南側の尾根、ブータン語でクエンセルガンにある。

市内のどこからでも見られるし、観光名所だし、国のシンボル的存在でもあるし・・・は!ブラジルのコルコバードの丘に似てるかも!と気づいた自分に興奮。


山の上にあるため、車でずんずん上っていく。途中、ダルシン(旗と竿の意味)とルンタ(カラフルな旗、チベットでいうタルチョ)がずらり。

まだ二日目だからか、ダルシンとルンタを見るだけで心震える。しかも、風ではためている感じが風にのって祈りが天高くのぼっていくような気がして神々しい。

なんて、感動していると、目の前になが~い階段。

「ここから上るわよ」

見た感じ、傾斜がすごそうには見えたが、これくらいならと上りはじめたらどっこい、ちょっと上っただけでハアハア息切れがする。

そうだった。標高約2300m、さらに車で上ってきたから2600mくらいといったところか。いつもよりは空気がうすい。

重い足を一歩一歩あげて、ようやっと対面。

天気はすこぶる悪いがブッタのお顔はすこぶる穏やか。

脇を固める天女さま?もお美しい。が、どうも風情にかける。と思っていたら

「まあ、ここはアジアの金持ちが寄進したからブータンの歴史を感じるという場所ではないけどね。しかも、世界一をめざしたらしく、高さ50mは世界最大って当時はいってた。今はわからないけど」

関西風にいうと「よう知らんけど」ってことか。

ともあれ、眺望は確かにいい。

ティンプー市内一望。眼下には風にはためく無数のルンタ。

億万長者が寄進した大仏の中にも入れる。アジア人が寄進したからかわからないが、ここは外国人も無料。入り放題。

靴を脱いで、中に入ってみると、まあ取り立ててみるところはない。がら~んとしているな・・・と思いつつも一人あちこちうろちょろしていると、突然目の前が真っ暗に。

え?!あ!?

「ヘルプミー、ヘルプミー、アイム ひひゃぁ~~~~~~~~(←I'm hereのつもり) 」

と叫んでいたらしい。いや、だって、こんな山の上で、閉じ込められたら凍死しちゃうかもしれないし、明日閉館日かもしれないし、とかなんとか考えての、「ひひゃぁ~~~~~~~~」だったと想像に難くない。

するとデチェンが

「ゆきんこ、ゆきんこ!!!」とスマホのLEDライトを光らせながら遠くで振っている。

文明の利器を忘れておった。

まだ入り口があいてて、そこからうっすらと光がみえてきた。デチェンの近くにすたこらさっさと足早に近づき、どうゆうこった!とプンプンすると

「5時に閉館なんだってさ~。しかし、ひひゃぁ~~~~~~~~って、イッシッシシ」

と大笑い、笑いごとではない。こっちは必死だったのだ。

しかし、いきなり電気消すとはひどいではないか。入るときに案内がないなら、せめて5~10分前に蛍の光みたいな音楽を流すべきである。

と帰りの車の中でデチェンにいうと、蛍の光が聞きたいというので歌ってあげた。

「意味わからないけど、切なくなる曲ね。せっかく遊びにきたのに最後にその歌じゃテンションさがっちゃう」

と不評であった。どんな歌といわれたが、英語で訳せるほどの英語力がなく

「卒業式に歌われる歌」とだけ答えておいた。

ともあれ、よく考えてみたら、他の国でも閉館前の音楽を流しているのはあまり記憶にない。日本ってこういう細やかな気遣いができる国民性なのよね。と改めて日本人のすばらしさ、おもてなし力に感服したのだった。

お次はブータンで初めてのコーヒーの巻

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