毒親からの解放ストーリー (37)

 結婚後二人の研修期間が終わり、熱海の実家の近くのマンションに徳島から移って来た。
そして女の子を授かり、その数年後に娘は小学一年生になった。あっという間だった。忙しい毎日だけれど、夫の両親が私達家族に援助を惜しみなく与えてくれていた。でも勝手に私達の家族に入り込んだりもせず、距離をとりながら、優しく見守ってくれている。

  私にとっては初めての経験なので、そういう優しい気遣いがとても嬉しかったし新鮮だった。 私の母ときたら、勝手に私の持ち物や部屋を吟味しては、母が気に入らない物をことごとく勝手に処分していたから、余計にそう思うのかも知れない。しかし普通の家では本人の許可無くして勝手に処分などしてはいけないのだという事をここの義母から学んだ。

 娘が大きくなるにつれて私はどういう風に子育てをして行ったら良いのかがわからなくて毎日が不安だらけだった。おまけに私は実母の養育を手本としてはいけないとわかってはいるものの、実際はどう子供を育てれば良いのかがわからなかった。余りにも酷い母親が手本なので、いつも子育てには自信が無かったのだ。しかし、夫の両親の子供への接方を見て、学んで、少しは子育てに自信が持てるようになって来た。

 そんな日々を過ごしていた、ある秋の夜。子供を寝かしつけていて、私も、うとうとしていた時、電話のベルが鳴った。私は何か不吉なものを感じた。
「もしもし、田中さんのお宅ですか? こちらは熱海警察署ですが、お宅のご主人が交通事故に遭って、今、救急車で救命センターの方に運ばれています。奥さんすぐにこちらに来て貰えませんか?」

 私は余りに突然の出来事に、言葉を無くすばかりだった。私は、直ぐに義父に連絡を入れて、一諸に救命センターに行く為、家で待っていた。少し経って義父と義母がやって来た。子供は何も知らずに寝ているので義母に留守番をしてもらって、義父と私で夫の元へ向かった。

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