約15年間、私の人生を見守った存在。
タイトルの通り、私の人生を約15年間見守ってくれた存在と、つい先日にお別れをした。
その存在とは、ベッドの『マットレス』である。アイキャッチが紛らわしいが、猫ではなく、マットレスだ。
私が中学2年生の頃、家族でニトリへ向かい、シングルのマットレスを2つ購入した。育ち盛りの私と姉のため、成長に合わせた硬めのコイルマットレスを親が選んでくれたのだ。
ずっと敷布団しか経験してなかったため、最初に寝た時は、反発性の高さにワクワクしたのを憶えている。
当時、父親が単身赴任になるのをきっかけにマンションを購入した我が家は、1つの部屋とリビングとの間にあった壁をぶち壊した、だだっ広いリビングの一角に寝室を作った。
『縦』の良さが失われた並列の2段ベッドの横の仕切りを取っ払い、シングルのマットレスを2枚敷いて、母親と姉と3人並んで寝ていたのだ。
姉と母の組み合わせや私と姉の組み合わせで喧嘩をし、気まずい日もあったが…どんな時でも寝る場所は3人一緒だった。
しかし、時が過ぎ、高校生の姉が自分の部屋に折りたたみベッドを買った。私と母親は、そのまま2人で寝ていた。
さらに時が過ぎ、20歳の姉が家を出た。姉の部屋を私の部屋にし、私と母親でマットレスを1つずつ独占した。
そしてさらに時が過ぎ、父親が単身赴任から戻ったのをきっかけに、マンションを売って戸建てを購入。母親はそのタイミングで自分用のセミダブルのベッドを買い、2段ベッドの下の方と、1つのマットレスを捨てた。
そしていよいよ、26歳の私が、家を出た。
しかし、マットレスは引越し先に持っていったのだ。
彼と同棲するために引っ越しをしたが、初期費用がかさんだため、端からベッドを買う予定はなかった。
一緒に生活する前はよくお互いの実家に泊まりに行き来し、その度シングルベッドに2人で寝ていたため、なんの支障もなかったのだ。
めったに喧嘩をすることもないので、平々凡々に過ごせていたと思う。
そして、同棲して約2年半。
「ベッドが柔らかすぎで腰が痛い。」
苦しそうに彼は言った。
使い込まれたマットレスはコイルがヘタヘタになり、腰痛持ちの彼には柔らかすぎる寝具になってしまったのだ。
私にはなんの支障もなかったが、その日から彼はリビングのマットの上で寝るようになった。毎晩一緒に寝ていたため、久しぶりに1人で寝るシングルベッドは広く感じた。
ーーーー約1か月半くらいだろうか。
「おやすみ」とお互いに挨拶し、私は寝室、彼はリビングで寝る生活が続いた。
試しにマットレスで寝てくれた日もあったが、120%の確率で彼の腰が悲鳴を上げるので、泣く泣く断念。そしてまた別々に寝る日々…。
毎日リビングで寝起きする彼を見ていられず、「このままじゃいかん!」と自分を奮い立たせ、私はネットで腰痛持ちでも寝れるダブルサイズのマットレスを見漁り、最適なものを選んで購入した。
そして、2020年5月27日、シングルのマットレスとのお別れの日がやってきたのだ。
8時までにゴミ置き場に出す予定だったため、朝6時半に起きてシングルベッドの枠をせっせと運び、最後にマットレスにお別れをした。
彼にシールを貼られたマットレスを見た瞬間、今までの思い出がブワッと湧き上がり、とても切ない気持ちになり、目がかすんだ。
ガラケーを枕元に置いてメールをポチポチ打っていた若かりし日々も、深夜にスマホで友人や彼と話しながら寝落ちした朝も、治せる病気と知らずに不安でいっぱいだったあの夜も、大切な存在を失って涙が止まらなかった数か月間も。
私の下には、マットレスがあった。
私の身体を、心を、支え続けてくれてありがとう。
ゴミ捨て場に運んだマットレスは、昼頃に跡形もなく消えていた。
切なさを胸に、在宅勤務という名の休日を楽しむ彼が、新しく届いたダブルベッドのマットレスを敷いてくれた。
そしてその夜。ダブルサイズの新しいマットレスで、一夜を明かした感想。
「すこぶる身体の調子がいいッ!!!」
あとがき
リングフィットを終えて猫と戯れていたら、汗が乾いてお風呂に入るタイミングを失い、おもむろにnoteに書きつづりました。
はぁ…。改めて、私のマットレス。本当に約10年間ありがとう。お疲れさまでした。
きっと私がシングルベッドをシングルの身で使い続けていたら、もっとずっと一緒に過ごしていただろう…。
たくさんの思い出をありがとう!!!
そして、ダブルサイズの高反発マットレスくん!!!これからよろしくな!!!!
「飴ちゃんいるか?」みたいな軽い気持ちでサポートしていただけると、めちゃくちゃ励みになります!!!