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国内MBA:合格する出願書類の書き方 #2 - あなたの「過去」を伝える方法(中編)

coconala(ココナラ)で国内MBAを目指す受験生をサポートしているゆきんちゅです。2020年から出願書類(願書)の添削サービスを提供しています。

添削サービスを依頼いただく受験生が作成する願書は実にさまざまで、各受験生に合わせた添削と解説を提供しています。これまでの経験をベースに、新しいプラットフォームでより多くの受験生に合格する願書の書き方を伝えたいと思い連載を始めました。

この記事は、願書のうち「過去」に関する書類の書き方の中編で、問題解決型のエピソードの定番フレームワークであるSTARモデルについて解説します。前編については下記の記事を参照ください。


STARモデルとは

STARモデルはSituation(背景)、Task(課題)、Action(アクション・行動)、Result(結果)の頭文字を取ったもので、この順に沿って記載すると読みやすいストーリーが出来上がります。私が外資系企業で採用を担当していたときに初めて見たフレームワークで、問題解決型のエピソードが求められる転職活動や昇進試験でも活用できます。

STARモデルは「業務上の実績」を作成する定番フレームワーク

Situation(背景)

問題解決型のエピソードの第一ステップであるSituation(背景)では、ストーリーの舞台を設定します。

読み手の立場に立って少し考えてみていただきたいのですが、書類を審査する教授陣が経営学者や実務家とはいえ、あらゆる業界の仕事の全てに精通しているわけではありません。

多忙なスケジュールをやりくりして大量の書類を審査する時間を確保し、よしやるぞと書類を手に取って目を通したときに、スラスラと理解できないストーリーに出くわすと、「これから大量の書類を読まないといけないのに、何か読みにくくて面倒臭いな…うーん点数どうつけようか…あ、明日締切の資料作りもやらないと…」といったネガティブな気分になってしまうのは想像できると思います。初見でストレスなく気分良く読み進めていただける文章作りがカギとなります。

例えば、子どもに昔話の桃太郎を読み聞かせるときに、適当に絵本のページをパラパラと開いて、

川上から、大きな桃が一つ、「ドンブラコッコ、スッコッコ、ドンブラコッコ、スッコッコ。」と流れて来ました。

と始めれば、子どもは一瞬で迷子になってYouTubeでも見にどこかに行ってしまうでしょう。子どもに続きを聞きたいと思わせる「掴み」として、桃太郎では下のようにストーリーの舞台が設定されます。時期、場所、人物、仕事といった、願書でも必須の情報が入っていることがお分かりいただけると思います。

むかし、むかし(時期)、あるところに(場所)、おじいさん(人物)とおばあさんがありました。まいにち、おじいさんは山へしば刈りに(仕事)、おばあさんは川へ洗濯に行きました。

さて、「業務上の実績」を記述するとき、Situation(背景)に関する情報の例をまとめると次のようになります。

  • 業界に関する情報:規模や特徴(他業界との比較)、業界勢力図の変化や外部環境の変化

  • 会社に関する情報:全社と所属部門の規模や業績、経営体制、経営戦略、直面している経営課題

  • 自分(仕事)に関する情報:次に続くTask(課題)の理解の助けとなる、職務経歴に関する情報

Task(課題)

問題解決型のエピソードの第二ステップであるTask(課題)では、Situation(背景)でストーリーの舞台を設定した後で、あなたが解決することになった課題を述べます。

ここで注意したいのは、会社や所属部門が解決した経営課題とあなたが解決した課題をごちゃ混ぜにしないという点です。

例えば、あなたが慢性的に業績不振に陥っている法人営業部門に所属していて、2年で劇的なV字回復を達成したとしましょう。あなたが部門を統括する人物でない限り、この実績を丸ごとあなたの実績として書くのは注意したほうが良いでしょう。法人営業部門の中で特定の業界を担当しており、仕事や組織の責任範囲が限定されているのであれば、あなたの実績も限定的となります。

ビジネスリーダーを育成する国内MBAの志願者には、所属する組織の課題と全社レベルの経営課題の関係を理解していることが期待されていると思いますし、自分の実績を大きく見せようとして会社の実績ばかりを強調すれば、それは読み手にすぐ見抜かれてしまうと思います。

先の桃太郎の例を挙げると、十五になった桃太郎は鬼が島へ鬼征伐に行くわけですが、チーム桃太郎が鬼退治という偉業を達成する上で、おじいさんとおばあさんの貢献(実績)は出発する桃太郎におべんとうのきびだんごを作って持たせたことです。そして、桃太郎はきびだんごを犬や猿に与えて仲間に迎え入れることができました。
言うまでもなく、おじいさんとおばあさんは大きな鬼の背中に馬乗りにまたがって、鬼の首をしめて退治したわけではありません…

さて、「業務上の実績」を記述するとき、Task(課題)に関する定性的・定量的情報をバランスよく入れて、解決した課題の困難さや重要度を効果的に伝えることが必要です。

  • 定量的情報

    • 達成した目標やゴール(例:売り上げ・利益・市場シェア)

    • 目標やゴールとの差異

    • 時期

    • 期間(例:どのくらい短期間で完了することが求められたか)

  • 定性的情報

    • 課題の困難さ(例:なぜこれまで解決されていなかったのか)

    • 課題の重要性(例:全社の経営課題や社会に対する貢献)

まとめ

Situation(背景)やTask(課題)に必要な情報を凝縮して箇条書きにすると物足りなく感じるかもしれませんが、それは受験生それぞれがオリジナリティを出せる余地があるということでもあります。

キャリアで最大の実績が何だったか、これまでの仕事を丁寧に振り返って棚卸しをして、一語一句に落とし込んでみましょう。ここでしっかり思考を整理しておくと、面接の準備も格段に楽になります。

私が書類審査をする立場なら、思い返すとちょっと胃が痛くなるようなリアルなエピソードの方が、受験生の性格や行動特性が浮かび上がって読んでいて楽しいです。抽象的な言葉を多用してキレイに描こうとすると、エピソードのリアリティや迫力が失われてしまうので、言葉選びもチェックすると良いでしょう。

国内MBA受験を考えていて、これから願書を書いてみようとしている方、一旦願書を書いてみたけど合格レベルに達していそうか分からない方は、今日説明したSTARモデルに照らして抜けや漏れがないか確認してみてください。

今回の記事は以上です。coconala(ココナラ)では、受験生と丁寧に議論をしながら高品質な願書を仕上げるお手伝いをしています。ご興味がある方は、ぜひサービスの概要をチェックしてみてください!

次の後編ではAction(アクション・行動)とResult(結果)について解説して、あなたの「過去」を伝える方法を終えたいと思います。

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