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大好きだったクリスマスツリー

 子供のころは、多くの子供たちがそうであったように、私もクリスマスが大好きでした。
 友だちと楽しく遊んで、ケーキを食べて、夜になって眠ると、なぜか翌朝には、枕元にプレゼントがありました。
 サンタさんが来てくれたんだと思って、すごくワクワクしたのを覚えています。

 ケーキやプレゼントもうれしかったのですが、家にあったクリスマスツリーも、私の心の奥深くに残っています。
 私はどうも昔から、色彩というものが強く心に残るようなところがあって、赤・青・黄の豆電球が輝くクリスマス・ツリーが大好きでした。
 三色の光がきらびやかに明滅するのを、幼かった私は飽きずにいつまでも見ていたんです。
 冬の長い夜を彩ってくれたツリーのカラフルな光は、いまも私の中の大切な思い出になっています。

 時が過ぎて、クリスマスが大好きだった子供は、大人になりました。
 私は結婚できたのが遅かったのですが、それでも妻と出会って家庭を持つことができました。
 クリスマス・ツリーも買いました。子供のころ、家にあったのよりも大きいツリーを買いました。

 ただ、時代が変わって、電球は味気ない単色のLEDランプにとって代わられていたのです。
 子供のころ大好きだった、あの三色の豆電球だけは、どうしても手に入りませんでした。

 いまでも、クリスマスになると、赤・青・黄の豆電球がきらめくツリーを、懐かしく思い出すのです。

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