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アメリカ母子入国の記録

「父親はなぜ一緒じゃない?」

サンノゼ空港での入国審査で、開口一番に聞かれたこと。“アメリカに母子だけで(旅行で)入国するのはちょっと大変”と聞いてはいたものの、実際に問いただされたときの緊張感を今も覚えているので、記録しておく。

サンノゼのショッピング街、サンタナ・ロウ

母子で入国するためにやったこと

2023年7月時点で、私がアメリカに母子で入国するためにやったことは下記。

  1. 「ESTA」の申請をする(出国2カ月くらい前)

  2. 夫もパスポートを取得する(これも2カ月くらい前)

  3. 夫に「渡航同意書」を書いてもらう(長男・次男それぞれの分)

  4. 入国審査時に、「渡航同意書」と夫のパスポートのコピーをホチキスでとめたものを、子どもたちのパスポートと一緒に提出

アメリカに入国するためには、出国72時間前までに「ESTA」の申請が必要だ。一人3000円くらい。Webから簡単に申請できて、やり方もネット上にたくさん出ているので割愛する。

(申請時の入力項目に、TwitterやFacebook、LinkedInのアカウント名がある点がアメリカらしい! と思った。国のHPでSNSのアカウント名を聞かれるなんて、日本じゃぜったいない……)

夫もパスポートを取得する/コピーをとる

(写真はイメージ)

正確には、母子入国のために取得したのではない。私たちはもともと家族全員で行く方法を模索していて、奇跡的に4人で行けることになったらすぐ旅立てるよう、夫のぶんも取得しておいたのだ。

残念ながら今回は母子だけになってしまって、でも入国審査で夫のパスポートのコピーが役立ったので、結果的によかったのかな。

夫に「渡航同意書」を書いてもらう/夫のパスポートコピーを添付する

片親だけで子どもを連れてアメリカに入国するには「渡航同意書の持参を推奨する」と、大使館のHPに書いてあった。

親権訴訟中に発生する片親による子供の奪取増加や児童ポルノ犠牲者の可能性から、…(中略)…もう片方の親から以下の英文書を受け取り持参する事を強く推奨しています。(子供が祖父母、叔父や叔母、姉や兄、友人、または団体*と旅行する場合、両親の署名が記入された英文書となります)

在日米国大使館と領事館-「子供が、片親、または親、法的保護者、グループではない人物と旅行する場合について

けれど、それだけではなく、「夫のパスポートのコピーも念のためあったほうがよい」とどなたかの母子旅ブログで読んだので(忘れてしまってごめんなさい……)、私もそうすることにした。母子だけでの海外旅行って、大変なんだな……。

「渡航同意書」は、公式のテンプレートが用意されているわけではなかった。私は「よくわからないけど、これしか見当たらないからこれでいっか」と、ここからダウンロードし、夫に記入してもらった。

「子どもたちのためだから」と口では言いつつ、本当は行けなくて悲しかっただろうに、全面的に協力してくれた夫には感謝しかない。

引用元:https://esta-center.com/minority/index.html

ちなみに、このHPに「ESTA申請はこちら」というボタンがあるけど、おそらく国とは関係のない民間サイトで申請費用も3倍くらい高くなってしまうので、ESTAは国のサイトから申請したほうがいい。私も最初、ひっかかりそうになった。

まとめると(写真をとっておけばよかった!)、サンノゼ空港の入国審査時には、

  • 私のパスポート

  • 長男(6)のパスポート+渡航同意書+夫のパスポートのコピー

  • 次男(5)のパスポート+渡航同意書+夫のパスポートのコピー

を提出した。

入国審査(「なぜ母子だけなのか?」と問いただされる)

10時間のフライトを終えて、ようやくサンノゼ空港に到着!

流れに沿って歩いて行くと、入国審査の列にたどり着く。「市民」と「旅行者」の2つに分かれて並ばされるのだけど、「市民」の列はスムーズに進んでいたのにたいして、「旅行者」には長蛇の列ができていた。一人(1グループ)あたり、審査官から3〜5分、いろいろと質問されている。

子どもたちは機内でほとんど寝なかったし、私も一緒に起きていたのでふらふら。でも、子どもたちは緊張からか重たいリュックを背負ったまま周りを見渡し、固まっている。「リュック、降ろしていいからね」と私は言い、「あと20分は並ぶだろうな……」と思いながら二人にキャンディを渡した。

並んでいる間、みんなはどんなことを聞かれてどう答えているのかなぁ、と気になって耳をそば立てていた。旅行で来るにはちょっとマイナーな都市だからか、「ザ・観光客」といういでたちの人は少なく、バックパッカーのような人か、家族連れでも「きっと何度も来ているんだろうな」という風に私には見えた。英語もみんな堪能。簡単な日常会話しかできない私は、心臓がバクバクした。

うまく言えなくてまごついたらどうしよう。
しかも、その様子をこんな大勢の人前で晒すの、恥ずかしすぎる!

並んでいる間、列の前のほうで、2〜3歳の子が寝転んで泣いていた。すると、そばで列を監視していたアラブ系の男性警備員さんが、その子に向かって大声でなにか言っている。怒り口調、かつ無表情なので最初「!?」とびっくりしたが、冗談を言ってあやしているのだとわかった。長男と次男が不安そうに私を見てきたので、「大丈夫。怒っているように見えるけど、たぶん冗談」と伝えた。

ようやく私たちの順番が来た。3人一緒に、恰幅のいい審査官(以下、審)の男性の前に立つ。

審「滞在期間は?」
私「14日間です」

審「滞在先は?」
私「Airbnbです」

審「滞在の目的は?」
私「観光です。子どもたちにサンノゼの美しい街や異国の文化を見せてあげたいと思いました」(審査官も人間だしね、と事前に考えてきたセリフ)

審「(怪訝な表情で)なぜ、夫が一緒じゃない?」
私「夫も一緒に来たかったのですが、どうしても休みが取れなくて」

審「Why? 休みが取れないなんてこと、あるかい?」
私「日本の会社で夏休みのバケーションを取るのは、とても難しいんです」

審「……こちらに友人や知人は?」
私「(いやーどうしよう。いるって言ったほうがいいのかな)……はい、います(バカ!)」

審「どこのどんな人?」
私「……Airbnbのオーナーです。ここに来るまでに何度も連絡をとりました(それ知人じゃないでしょー!! と心の中で自分を突っ込みまくる)」
審「どこに住んでる? 名前は?」
私「リバーオークスの◯◯です」

ここで、審査官がため息をついたように見えた。不安が募る。そこでハッとして、

「ここに夫の同意書とパスポートのコピーがあります」

と、彼の手元でパスポートの下敷きになっていた4枚の紙を指差した。

すると審査官は、今気付いたかのようにそれらを見つめ、

審「……夫の職業は?」

と聞いた。

私「△△(業種)の××(役職)です」
審「See ya. A good journey!」
私「え?」

あまりに突然「See ya!(もういいですよ)」と言われたので、一瞬戸惑ったが、無事に入国審査を通過したようだ。ちなみに夫の職業も、英語に訳すのがむずかしくて、うまく言えていないと思う。なので、どうしてOKだったのか今でもわからない。

ただ、「渡航同意書」と「夫のパスポートのコピー」が私たちを助けてくれたのはたしかだ。

Airbnbのオーナーを“知人”にしてしまった自分、今思うと笑えるけど、職務質問を受けている気分でほんとうに焦っていたのだ。

(サンノゼに母子だけで来る人、やっぱり少ないのかな……)

あまりに問い詰められたので少ししゅんとしたが、実際は滞在中、変な目で見られることは(たぶん)なかった。むしろUberの運転手さんには、地元の人扱いされることが多かった。

サンノゼには日本の駐在員の方とその家族が多く住んでいるようなので、妻子だけでUberを利用したり、街を歩いたりする光景はめずらしくないのかもしれない。

よく頑張ったね。

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原由希奈
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