【サンノゼ8日目】遊園地で受けた不思議な対応
日本のクレカが使えない?
アメリカ滞在8日目。到着してから今まで、子どもたちのはっちゃけた笑顔を一度も見ていなかったので、ちょっとでも彼らが楽しめる場所へ連れて行ってあげたかった。
ネットで「サンノゼ 遊園地」と検索して出てきたのが、『カリフォルニアズ・グレート・アメリカ』。Airbnbから車で15分くらいだし、「ひとまず行ってみる?」と子どもたちに提案した。ふたりとも「遊園地なら行く!」。少しテンションが上がったようだ。
Uberを呼び、乗車中にオンラインチケットを買おうと試みた。でも、クレジットカード決済の画面でどうしてもエラーになる。「ZIPコード」の入力が必須で、「ZIPコードって何!?」と調べると、アメリカではクレカの本人認証としてよく使われる郵便番号のことのようだ。ダメ元で日本の郵便番号を入力しても、やっぱりエラー。
▲アメリカではよくあることみたい。日本のクレカを何種類か持っていれば安心……ではないんだな
「当日券は事前にオンラインで買うよりも3000円高いよ(しかも一人あたり)」と公式サイトに書いてあったので、オンラインチケットが買えないなら行くのを中止したかったけれど、子どもたちもすでに乗り気なので、頭の中で電卓をたたき今後の予算を計算し直してから、カウンターで当日券を買おうと決めた。
「タダでいいよ!」と言われるも
エントランスでチケットを切っていた係の女性に、
「オンラインでチケットを買おうとしたのですが、日本のクレジットカードが使えず買えませんでした。当日券はどこで買えますか?」
と聞くと、女性はなぜか子どもたちに目をやり、「この子たちは英語を話すの?」と私に聞いた。
「いいえ、話しません」と伝えると、女性もネイティブではないようで、片言の英語で何か伝えようとしている。「このまま入りなさい。ただし、誰にも言っちゃダメよ」ということらしかった。
(え!? そんなわけにいかないよ。だって、大人も子どもも一人約7000円だよ。内緒でタダで入るには高すぎる!)
そう思って懸命に「チケットを買いたい。私はチケットを持っていないんです」と伝えるも首を振られるだけ。仕方なく一度中に入り、エントランス近くにいた2人の男性スタッフに同じことを聞いた。今度は、説明しながらスマホ画面のGoogle翻訳も見せた。
が、彼らもまた「いいよ、そのままでOK!」と言う。私が一生懸命「I want to buy tickets!」と伝えるも、「チケットがないとこの園には入れないはずだ。君たちは入れている。(親指を立てて)だから大丈夫!」と言われるだけだ。
長男は「やったぁ! じゃあもう乗り物に乗れるね!」と喜び、次男は「メリーゴーランドはやく〜」と駄々をこねている。
(アメリカではこういう対応、よくあるのかな……。だめだ、わからない!)
少し面倒になった私の中には、ブラックな感情も湧いた。
(メリーゴーラウンドを見るかぎり、乗る都度チケットを見せるシステムではなさそう。私が何も言わなければ、このままいろいろ乗って帰ることもできるんじゃ?)
けれども首をぶんぶんと振った。周りの皆が一人7000円払っているのに私たちだけ無料なんて、怖すぎ。脳裏に、「カリフォルニアにある遊園地で無断乗車を繰り返す日本人母子」というテロップとともにニュース番組で報道される自分たちの姿がよぎった。
たしかに高いけど、異国の地で逮捕されて自分と家族の人生を棒に振るリスクを考えたらぜったいに払ったほうがいい。
ためしに、出口にいた女性スタッフにも同じ質問をした。すると彼女は少し考え込んだあと、「エントランスを出て左へ行くと、カウンターがあるの。そこで何とかしてくれるかもしれない」と教えてくれた。
(あ、ありがとう……泣)
初めてまともな返答をもらいほっとする私に、彼女は続けた。
「ちょっとそこのカメラの前に立って。あなたと彼らの写真を撮らせて」
まさか、無断乗車したと思われた!? 怖い、怖すぎる。。でも従わなきゃ。子どもたちにもカメラの前に立つよう促す。不安に駆られていると、彼女が手渡したのは、「再入場」が可能になるチケット。いったん園を出てから再入場を希望する人は皆、写真を撮られるシステムのようだ。いや、お金払ってないよ私たち。再入場できちゃったらやばいじゃん。いったい、この遊園地はなんなのーー!?
やっとの思いでお金を支払う
そこはチケットカウンターというより、「困った人向けのサービスカウンター」みたいなところで、旅行者と思われる人の行列ができていた。10分ほど並んで順番が来ると、今度は正確に伝わるように、私は「Excuse me」以外しゃべらずGoogle翻訳の画面だけを見せた。
係の女性は「はぁーん……」という表情でしばらく考えたあと、「Ok!」と立ち去り、後方でなにか相談している。戻ってくると、クレジットカードの端末を差し出した。
「やった! やっとお金を払わせてもらえる!!」
私は安心してカードを差し込んだ。支払い完了。レシートを見ると、公式サイトには「当日券はオンラインチケットより高いよ」と書いてあったのに、オンラインチケットと同じ額にしてもらえていた。
なんて親切(?)なんだ……。私は心底すっきりして、うきうきとチケットのバーコードを見せて中に入り、思う存分子どもたちと乗り物を楽しんだ。
私たちの地元北海道は、一年の半分は雪で閉ざされてしまうので遊園地が少ない。あっても小規模で、大人向けのスリル系の乗り物がメインだ。慎重派で怖がりな長男と、まだ身長の低い次男は、このときまでほとんど遊園地の乗り物に乗ったことがなかった。
カリフォルニアズ・グレート・アメリカには、6歳と5歳の息子たちが楽しめる広いキッズエリアがあった。長男は空中ブランコやフリーホールに乗れたことで自信をつけ、活き活きとした表情に。「次はあれ乗る!」「ジェットコースターに乗りたい!」と走り出したほど。次男はフリーホールが怖かったようで、「ジェットコースターやだ! メリーゴーラウンドがいい!」と叫んでいた。とにかく、子どもたちの表情は8日間のなかで一番はつらつとしていて、「連れてきてよかった」と思った。
でも、チケットの件はいったい何だったんだろう。あらためて思いを巡らすと、「お金がなくてクレジットカードを止められてしまったけど、子どもたちをどうしても遊園地に連れて行きたい母親」という感じに受け取られたのかな……?
アメリカの方々は子どもに本当に優しいから、それもなくはないかも?(現地の方で「こうじゃない?」と思われる方がいたら、ぜひ教えてください!)