スタートアップ1人目人事のハードシングス
こんにちは、セブンデックス人事の神保です。
趣味がスポーツ全般観戦なのですが、この夏は高校野球、プロ野球、パリ五輪と忙しくなりそうです。
簡単に会社の紹介もすると、セブンデックスは「ビジネス・クリエティブ・スタジオ事業」「HRソリューション事業」の二つの事業を行っている創業6年目のスタートアップです。
セブンデックスに一人目の人事として入社し、2年半が経ちました。入社当時から社員数も倍になり(14名→30名)、まさに30人の壁、50人の壁に立ち向かうというフェーズです。
そして最近、スタートアップの人事の方と話す機会が増え、みなさん様々な悩みをお持ちだなと感じています。
未熟な自分なりに悩んでいたことやぶち当たった壁、それに対してどう対処してきたかを共有することで、これからスタートアップ人事に転職を考えている方や現職人事の方の背中を押すというか「一緒に頑張っていきましょう!」という気持ちを作れればと思い、noteにまとめてみました。
一人目人事のハードシングスとはなにか
本題に入る前に私の経歴を簡単にお伝えすると、Web系のベンチャーを2社経験し、セールスや新規サービスの立ち上げなど、ビジネスサイドに従事しており、人事業務はキャリアでも今回が初めてでした。
今回あえてハードシングスという言葉にしましたが、今回は組織におけるハードシングスというより「1人目人事」という個にフォーカスし、ぶち当たった壁を「○○問題」として、以下3つ挙げました。
幅広い人事領域をどうやってカバーするのか問題
事象:幅広い人事領域、ストレッチのある状況下で何から着手すべきか正しく判断ができていない
自分の場合は人事業務全てがほぼ未経験だったため、ある意味ケイパビリティを広げられるチャンスだと思い、飛び込みました。しかし、ExaWizardsの半田さんの以下記事の通り「まるっと人事全般」とファジーに捉えており、当時の自分に「ナメてんのかッ」を聞かせてあげたいです。
自身の人事として最優先事項が“採用”であることは、入社前から認識の通りだったので、採用からまず着手。
採用担当としてのテクニカルスキル(面談、アトラクト、クロージング等)も未熟である自分の横で、役員が労務や経理などのバックオフィスを抱えていたり、入社オンボーディングもほぼ準備されていませんでした。
この状況の中で、自分として出た答えは、
人事に必要な力は、プロジェクトマネジメント力。
事業・組織イシューから自分が何にコミットメントするか決める。
対応:
・採用担当として採用業務を最優先に。強い採用担当になる。
・バックオフィス全般のサポートするメンバーの採用。
・局所的にマネジメントメンバーに入ってもらう。
・オンボーディングコンテンツはメンバーと共に作り上げていく。
採用担当として採用業務を最優先に。強い採用担当になる。
弊社のビジネスモデルを考えると、採用活動が事業を拡大させるためイシューでありました。事業を成長させるために、私は採用領域にコミットメント。ここは、事業・組織イシューに対してアタックするお題を柔軟に変えていくべきだと思います。
一時期は選考ファネルも良くなく、「自分がアトラクトできていないから選考が進まないのでは?」に対して、マネジメント層からフィードバックをもらいながら、採用活動に向き合ってきました。
今期に入り、念願のミドル層、(結果指標ですが)内定承諾率も100%をキープしており、採用担当者として一定の能力はつけることができたのかなと。(自身の能力の課題はまだ多いですが)
バックオフィス全般のサポートするメンバーの採用。
ゼネラルにバックオフィスを担当するアシスタントを採用し、役員が抱えていた総務・労務周りを移管。オフィスワーク未経験で入社したメンバーなのですが、もう彼女なしでは会社が機能しないのではというくらいスーパーバックオフィスとして活躍してます。(彼女の努力のおかげです…!)
スタートアップではスピーディーに横串しで業務をする可能性が高いので、業務委託や「総務職」の専門職ではなく、このフェーズでゼネラルにカバーしてくれるメンバーの採用はかなり大きかったです。
・局所的にマネジメントメンバーに入ってもらう。
あるトピックスに対して、プロジェクトのような形でマネジメントメンバー(組織開発メンバー)やボードメンバーの頭を借りながら、採用に関わる戦略や制度を一緒に考えていきました。
一人目人事の合言葉は「全てひとりでやろうとするな!」なので、社内のリソースを正しく使いながら成果を出すことが求められます。いわゆるプロジェクトマネジメントですね。
・オンボーディングコンテンツはメンバーと共に作り上げていく。
組織フェーズやポジション、グレードによって必要なコンテンツも異なるため、最初から完璧に近い形でオンボーディングを作り上げることは、ほぼ不可能です。(最初から完璧を目指さないことは大事)
そのため、毎回オンボーディングを受けたメンバーに「この情報を入社時に知りたかった」など、フィードバックをもらう時間を作っています。オンボーディングは、メンバーと共に常に改善を重ねるべきで、完成はないと思ってます。
↓オンボーディング設計については以下の記事で詳細を書きました。
メンバーの退職、組織課題にどう向き合うか問題
事象:退職者が発生した
スタートアップが目まぐるしく変わっていく組織である以上、組織の新陳代謝が起きること、退職者が発生しないことは、ほぼあり得ないと思っています。
弊社は短期離職・離職率が高いわけではないですが、恐らく人事として一番心にうっとくる瞬間は、メンバーの退職じゃないでしょうか。
選考時に自分が気づけたら良かったのではないか、自分があの時こういうコミュニケーションを取れば何かが変わったではないか、“たられば”が頭を過っていました。
対応:
・まずは事実を受け止めて、変えられるものにフォーカスする。
・マネジメントとメンバーのハブになる。
・まずは事実を受け止めて、変えられるものにフォーカスする。
まず受け止める。メンバーが自身で意思決定したことなので、誰よりも意思決定をリスペクトする存在でいることは心に置いていました。
また起きた事象は、片面ではなく両面で情報を把握し、何を変えられるかケースバイケースでマネジメントメンバーと考えていきました。
・マネジメントとメンバーのハブになる。
30名の組織では、マネジメントメンバーが現場にも入りつつ、マネジメントを行うことが多いと思います。複数名のメンバーを持つ以上、時にはメンバーの変化にすぐに気付けない可能性があります。
変化に気づくために、“ハブ”として、メンバーの顔色を常に見て声をかける、ランチしにいく、など、メンバーの心の揺らぎに敏感な存在であることを頭に置いています。
周囲に相談できる人がいない問題
事象:何かあったときに横で相談できる人がいなく、ネガティブなことも全て自分で抱え込んでしまう
人事という職種の特性上、感情労働の側面もありつつ、機密情報を取り扱うため、何かあったときに分かち合える存在はほぼいないと思います。(弊社はVCから資金調達もしていないため、アドバイザーもいません)
そのような状況でも、組織を作る人として、何があっても下を向いてはいけないし、自分のモチベーションの上下で仕事はできません。会社では、どんな時でも明るい存在であるべきです。(人事は役者に徹する。)
一人目人事になる以上は、この孤独と向き合う覚悟があるかどうか。その上で、パフォーマンスを出すために、フィジカル・メンタルがタフでいられる環境を自分で作れるかどうか。
対応:
・人事の友人を作る、社外のメンターを作る
・仕事で困ったときに社外で聞ける人を作る(クレジットを作る)
・自身のメンタル、フィジカルをコントロールする方法を知っておく
・人事の友人を作る、社外のメンターを作る
毎月1~2回は、人事の友人や社外のメンターと会う時間を作っています。目の前の仕事でオフィスに遅くまでいる…ことも多いと思いますが、自分の思考を整理するためにも、時間を作って社外の人と会うことは大切。
事業・組織フェーズが違えども、共有できるものは多いため、定期的に作ることはおすすめです。(複数名だと深く話せないので、1on1がベター)
・仕事で困ったときに社外で聞ける人を作る(クレジットを作る)
人事の方以外でも何かあったときに、連絡できる人を作っておくこと。ありがたい事に、他社の採用事例をヒアリングさせていただいたり、イベント共催時に繋いでいただくことがありました。
ビジネスマンとして、相手が困っている時に何か助けられる人であること、信頼される人であることも必要。
・自身のメンタル、フィジカルをコントロールする方法を知っておく
人によってメンタル・フィジカルのコントロール方法は異なりますが、まずフィジカルコントロールのために、食事・睡眠・運動の整えていきました。
自分の場合は、「コンディションが悪い時はグルテンを抜く」「睡眠環境の改善」「ランニング(汗をかく)」。
メンタルコントロールは、人がいない場所で考えていることをノートに書き出して心の整理をする。メンターや1on1を利用するなど。
最後に
今回色々な局面を思い返しながら書いたのですが、どのような事象でも「Fact Baseで正しく事実を受け止め、解くべき問いを決める」「意思を持って向き合う」。この二つが人事として求められるアクションだなと。
これからも予期しないハードシングスも起きると思いますが、しんどいことこそ熱狂しながら、50人、70人に向けて強い組織を作っていきます。
最後に、人事の方とぜひお話したいので、Xなどでコミュニケーションが取れると嬉しいです。最後まで読んでいただき、ありがとうござました!