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DSDs(性分化疾患)で男性ホルモン補充療法をやめてみて6ヶ月経過の効果

背景

私のことは、詳しくは自己紹介をご覧頂くとしまして、実はこの今年(2022年)1月までは、男性として過ごしておりました。
しかし、実際には、性分化疾患(インターセックス、DSDs)の当事者でして、性分化疾患とはなんぞやですが、

性分化疾患とは、性分化の過程で、染色体、性腺、内性器や外性器が多くの人とは異なる型をとる疾患群です。 性分化疾患の原因は一つではなく、たくさんの原因があります。 性分化疾患には、性別違和などの心の性の違いは含まれません。 ただし、性分化疾患の人の一部は性別違和を持つことがあります。

日本内分泌学会・「性分化疾患とは」

とまぁ、難しい言葉で逃げちゃうとして(ゆくゆく、ちゃんとした解説のnoteを作りたいと思っていますが、できれば有料記事で)、その疾患群の関連で、自分で男性ホルモンを作ることが出来ず、治療をしなければ男性ホルモンはほぼ0で(あと、男女共通で副腎からも男性ホルモンのようなものが出ているのですが、それも副腎不全の関係で出ていません)、逆に、女性ホルモンは脂肪細胞や肝臓から出るため、それがわずかながらに出ているため(私が悪いのは脳のホルモンの司令塔、視床下部なので、それにコントロールされていない、脂肪細胞や肝臓からの女性ホルモンだけ出るのです。卵巣はさすがに多分ないので関係ないですけどねん。)男性ホルモン補充療法や、性腺刺激ホルモン補充療法をやめてしまうと、「緩やかに女性化しつつある」(泌尿器科、総合診療科医の評価)という現象を起こしてしまうわけです。
あと、人間は、聖書とは逆で、人間の基本形は女性なので、男性ホルモンが失われると女性化を起こすというのもあります。

男性ホルモン補充療法をやめた

さて、前置きが長いですが、2022年1月、今年1月までずっと、男性でなければならないと(戸籍性なので)無理矢理副作用にも、また男性ホルモン自体が身体に合っていなかったから起きていたいろんな他の障害にも、そして常にイライラしている状態(男性ホルモンが攻撃ホルモンなので、合っていないとイライラするらしい)にも耐えて15年以上、男性ホルモン補充療法や、性腺刺激ホルモン補充療法をやってきたのですが、ついに辞める決断をしたのが今年(2022年)1月。それ以降は男性ホルモン補充療法や、性腺刺激ホルモン補充療法をやめて自然な自分自身から出る女性ホルモンだけで生きているのですが、いろんな良い効果がみられていて、本当にいまから思えば、なぜ意地になって男性ホルモン補充療法や、性腺刺激ホルモン補充療法を続けてきたんだろうな、と思います(と、男性ホルモン補充療法や、性腺刺激ホルモン補充療法の担当の泌尿器科の医師に話してたら、苦い顔をされていましたけどねw)。

男性ホルモン補充療法や、性腺刺激ホルモン補充療法をやめて良かったところ


たとえば、良い効果として、

  • 注射直後の頭痛や腹痛や嘔吐や下痢や発熱といった体調不良がなくなった

  • 注射後数日(ひどいと注射後から次の注射までずっと)の全身倦怠感がなくなった

  • (ラピッドサイクラーといって扱いにくいレベルで急速交代する)酷い双極性障害(躁うつ病)で、何回も入院していたレベルでしたが、ここ6ヶ月は躁も鬱も来ていない

  • 全身に痛みが走る、「線維筋痛症」について、かなり楽になった。以前は麻薬(フェントステープ4mg)を使ってまで抑えていたが、最近ではフェントステープ1mgまで下げて、さらにペインスケール(痛みの尺度)も10段階で8〜9が常にあったのが、いまや2〜3。(珍しい事例なので、先生がホルモンと線維筋痛症について研究したそうにこちらを見ている!)

  • 残念ながら「骨増殖症」はすでにアキレス腱が骨化(カルシウム化)しているので痛みは変わらないけど

  • 常にイライラしていたり、攻撃的だったりしたけど、周りからみても穏やかになったねと評価を受けるほどに

  • 肌荒れがひどく、皮膚科でいろんなステロイドとか塗っていたけど、いまは逆に乾燥肌だけになったので、ヒルドイド(ヘパリン類似物質)だけでお肌のケア完了(というか女性からもうらやましいと言われるほど肌が綺麗だそうで)

  • 肌が顔だけで無く全体的に、ただでさえ前から白人の人に「私より白いってどういうこと!?」といわれる驚きの白さだったのですが、さらに白く透き通るように、またきめ細かく繊細になりました。その代わり、皮膚も柔らかくなり、ケガしやすくなったので要注意ですが。

  • 髪の毛の痛みもひどく、チリチリの痛んだ髪の毛が伸びていたけど、男性ホルモン補充療法をやめてから生えてきたと思われる、まだ短め(10cmくらい)の髪の毛は、「しなやかな、しっとりとした、まっすぐな綺麗な黒髪で、伸ばすときっと綺麗になりますよ」(行きつけの美容院の美容師さん曰く)と髪の毛にも影響が。

  • そもそも、男性ホルモン補充療法をしていたころは、おしゃれにまったく興味なかったけど(理容室も1000円カット)、おしゃれとか可愛いものとか綺麗なものにものすごく目が行き、身につけたくなった。おしゃれがものすごく楽しい。外に服を着ていくだけでも、色を考えたりコーデを考えたりが楽しい。スカートもたまに履きますよ。ウィッグでおかっぱぱっつんにしてみたりとかも。

  • 身体が勝手に(自分自身の出しているホルモンで)作り替えられていっているわけだけど、でも、悲観的にはならず、むしろ元々男女どちらでもいいやな人(Xジェンダー、ノンバイナリーといって、無性なところはあると思う)なので、良い感じ、むしろ女性化することで心が落ち着いてきてる気がする。

  • 肺にも病気があるのですが、肺の病気の方も、男性ホルモン補充療法をやめたところ、改善傾向で、ひょっとしたら酸素吸入いらなくなる日が来るかも!

  • 体つきが柔らかく、ふくよかに、膨らむところは膨らみ、へこむところはへこみ、とメリハリが付いてきた気がする。先日女性の友達から「後ろ姿が完全に女性、歩き方も。お尻がかなり大きく女性的なのに変わってる」と言われました。

  • 食事をしばらく食べなくても大丈夫、ある意味「省エネ」になった。男性時代よく食べてたラーメンとか、今では胃もたれもの。こんどとある目標があるので、基本食べないダイエットをしようかと。

などなど、良いところ盛りだくさんだったりします。

男性ホルモン補充療法や、性腺刺激ホルモン補充療法をやめて困ったところ

逆に、男性ホルモン補充療法や、性腺刺激ホルモン補充療法をやめて、困ったところといえば、

  • 体力が露骨に落ちた。重い物が持てなくなったり、持久力が無くなったり。

  • 旅行行くときとか、重い物が持てないので困るのよね。

  • 集中力が落ちた、気がするけど、加齢のせいかもしれない。

  • メンタルが少しお豆腐メンタルになった。要は涙もろくなった。精神的には落ち着いているので、あくまで一過性の涙もろさですが。

  • 「おしゃれ沼」にはまった。服とかアクセサリーとか、美容のためのドライヤーやヘヤアイロンやヘッドマッサージなど、いろいろ買っちゃいました。まぁ、胸が大きくなって男性ものの服が入らなくなったので、必要な部分もありますが、友人から言われた「女性のおしゃれは沼だからね」の一言をかみしめております。

  • 痴漢に遭った(怒)←女性の敵!敵!ってされている途中本当に声出せなくなるので、周りの人は助けてあげて欲しいと思った。

  • 男女どちらかわからない人というので、相手が困っている感じの時が。あ、性同一性障害(性別違和、性別不合)ではないので、別に堂々と男性用お手洗い(の個室、諸般の事情で立ってお手洗い出来ないため)入りますが、困ったことも。

  • 温泉追い出され事件2回目経験(女性化乳房症目立ちすぎたw←男性用に入浴していたらお客様・・・と。)

  • 謎の定期的出血現象が復活(お尻の付近と鼻血とが、定期的に3〜4日程度出る。月に一回来るので「お月様」と呼んでいるが、本当にiPhoneの月経予測アプリに入れてみたら、正確に予測してきていてビックリ(26日周期、3〜4日継続だそうです)。なお、お尻から今まさに出血しているのに、CF(大腸ファイバー)やCT検査をしても、全く出血部位が特定できず、総合診療科の先生が頭を抱えています。)

  • 謎の定期的出血現象の前あたりから最中は、さすがにイライラしてたりして、あと強烈に眠かったり、だるかったり。合計1週間程度なので、男性ホルモン補充よりかはマシですけどね。

  • 女性化乳房と、擦れて痛いのとあと男性諸氏に目の毒なので(乳首が飛び出て目立つ)、ブラをするようになったのですが(皮膚科の先生に女性化乳房でおっぱいが擦れて痛いんです、と言ったら、「ブラしろ、ブラ!」と男性の先生に言われた件について)、ブラするの地味にめんどくさい(まだ後ろで止める技術を身につけられていないので、スポーツブラか、フロントホックブラですが)。

  • とにかくなんだかんだ、女性の生活はお金がかかるのがわかった。でも収入は少ないから理不尽だ〜〜〜!!!

  • 女性同士の関わり合いも増えてきたけど、たまに地雷みたいな人がいらっしゃるので要注意。

といった感じでしょうか。

男性ホルモンをやめて心のバランスは?

男性ホルモンをやめての心のバランスですが、やっぱり人間、ホルモンに心が影響されるのか、女性ホルモン優位になってから、女性性にだいぶ傾いている感じがしますね。
先ほどの教科書的解説、日本内分泌学会の性分化疾患の解説では、

性分化疾患には、性別違和などの心の性の違いは含まれません。 ただし、性分化疾患の人の一部は性別違和を持つことがあります。

日本内分泌学会の性分化疾患に関する解説

とはあるけど、私の場合は、「性分化疾患の人の一部は性別違和を持つことがあります」になりそう、現状。
いや、男性ホルモン補充療法や、性腺刺激ホルモン補充療法をやめる前までは、やめても男性性を維持するものと思っていたけど、正直ここまで心や身体が自分で出している自然な女性ホルモンだけで女性化するとは思わなかった。実際自分で驚いています。
今度、とあるプロジェクト(先日、予告だけしましたが、ちゃんと書きますね)をしますが、それを思いついたのも、絶対女性性からだと思うんですよね。

迷いが無いわけではない

ただ、一応は戸籍性は男性なわけで、そして40年以上男性として生きてきて、今から女性に変わりますか?と言われると、迷いがないわけではないんですよね。
特に、女性の楽しい時期は10代〜30代、男性の楽しい時期は40代〜60代、と言われる、逆パターンの経験になってしまうので、損した気分も。
周りの女性の友人からは「完全に女の子にしか見えないから、諦めて女になりなさい!」と言われたり、「女性として生きていくならいくらでも協力するよ」と言われたり、なんか周りから固められている気もするのですがw
あとは、「戸籍の呪縛」、やっぱり戸籍、そして産まれた時に割り当てられた性別で生きるべきでは、という思いも時々頭をよぎることがあって、男性として生きるか(再度辛い男性ホルモン補充療法や、性腺刺激ホルモン補充療法セット付)、自然体で女性として生きるか、まあ最近は便利なことに、ノンバイナリー(Xジェンダー)という生き方もあるので、そちらでもいいかなと悩んだりしています。
時々、女装の写真(泌尿器科の先生曰く、ホルモンバランスから考えるともはや女性だから、それは女装とは言えず、普通の服装なんだよねぇ、とのことでしたが。理解ある先生で助かります。)やおしゃれの写真をこちらに掲載予定ですが、それも心のバランスを取るためのものだとおもってご笑納頂ければ。
あとは、女性性を強く意識させる行動(化粧なども)をすることで、心理的に女性であることを位置づけようと。
さらに今度のとあるプロジェクトで、いまのこの「女性化しつつある」現在の部分を写真のかたちで「切り取って」もらい、また写真で客観的に見て女性と自分が感じたら、男性性に戻るという思いや、女性性への抵抗感を「断ち切る」ことが出来るかな?という思いもあったりします。

なかなか、そう一筋縄ではいかないんですよ。

でも、一度しかない人生、できるだけ楽な方法で、楽な状態で過ごしたいですしね。あと、楽しく。


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