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コストリーダーシップ戦略

これは業界内でともかく最安値をつけることで優位に立つという戦略になります。

近年は通信業界の価格競争が激化してますが、消費者の大多数の人は「正直、各社の違いはあまり分からない」と思っています。
いわゆる《コモンディティ化》です。

※[コモンディティ化]
多数の類似商品・サービスが同時に販売されることで商品間の差異が少なくなり、これまでの差別化による市場価値が低下すること。

そうなると『価格』で判断する人がほとんどですので、現在の通信業界では『最安値ポジション』の奪い合いをしています。

他には、航空会社も以前は《ANA》と《JAL》の2強でしたが、格安航空会社の乱立により価格破壊がおきました。
快適さや信頼性やサービスの質などでいくら差別化しても「安いから」を選択する層は決して少なくないのです。
そして格安航空会社は「安さ」による競争で他社に勝つためにしのぎを削っています。

こうした『業界最安値』という圧倒的なセールスで優位に立つのが《コストリーダーシップ戦略》です。

これを「価格破壊が起きたから」ではなく、最初から意図的にコストリーダーシップ戦略として組み込んでいる企業は沢山あります。

飲食業界だと分かりやすい優秀な例がまたしても【サイゼリア】です。
(まわし者ではないです)

サイゼリヤは徹底したコスト管理を行い、他のファミレスに負けない強い価格競争力を維持しています。

通常は価格が下がれば、製品やサービスの価値も下がる「安かろう悪かろう」が生まれてしまいがちですが、サイゼリアではそこも企業努力でしっかりとカバーしています。

サイゼリヤには価格と品質をより良くしていくため[エンジニアリング部]という部署が設けられており、全チェーン店の業務の見直しや生産性の改善・向上・効率化を徹底的にブラッシュアップし続けているので→

《自社農場》
福島に100万坪の自社農場を所有して産地からの直送もしている。

《コールドチェーンシステム》
4℃で野菜を眠らせて素早く配送することで品質維持と鮮度を保っている。

《自社製品に合わせた品質改良》
有名なところだと"大玉レタス"など
※サラダを作るのにひと玉で2人前しか作れなかったレタスを大玉に改良することで、ひと玉で4人前作れるようにして作業効率を向上させた。
一般家庭では大玉は使いきれず保存できないので需要がなかったが、サイゼリアでは自社のシステムにあった野菜を追求した。

《包丁を使わず少ない人員での調理》
加工済み食材の搬入により少ない人員と少ない工程で調理が可能に。

他にも徹底した効率化によりあらゆる作業工程を短縮化・簡略化し、コストカットを実現することで『圧倒的安さ』を実現しています。

掃除機の使用を廃止してフロアモップを導入したことで1時間の清掃時間をクオリティーを下げることなく30分に短縮した話はあまりにも有名です。

こうした企業努力の賜物によりサイゼリアは品質を下げることなく、その上でさらに《圧倒的な安さ》を実現し続けています。
いや〜すごいですね!

しかし、このコストリーダーシップ戦略を前提として考えるなら極端な話『安かろう悪かろう』でも成立はします。
《ワケ有り商品》として凹んだ缶詰など販売しているのもその例です。

《安い》という強烈な武器を利用したアプローチは消費者に対してそれほど分かりやすい効果があります。
自社のスタンスやビジョンによりますが、こうした戦い方があることも知っておいた方がいいかもしれません。
もしかしたら、それらはいつか強烈なライバルになる可能性がありますから…

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