顧客の行動観察
もし、あなたが鉄道会社にコンサルとして雇われ「地下鉄の自動販売機(ジュースとか)の売り上げを上げて欲しい」と頼まれたら、どうしますか?
・集計して人気ドリンクを増やす
・最新型の販売機を設置して電子マネーにも対応する
・機械の広告内容を変更する
など沢山のアイディアが出てきますよね。
発想する会社として有名な「 IDEO」が採用した調査手法をご紹介します。
もうこの時点で他社とはかなり違いますよ。
『地下鉄のホームへへばりつき、自販機を買う人と買わない人の行動をとにかく観察し続ける』
これだけ。
24時間張り込み刑事みたいなやり方ですが、これがIDEOが得意とする《ユーザ行動観察調査》です。
すると、面白いことに→
・ 地下鉄を歩いている人は、電車の待ち時間をみんな気にしている
・自販機で物を買う人も、買う直前に(ジュースを買っている時間があるか)時間をチェックしている。
なんて事が分かります。
人間の行動の中からこういった特徴を抽出するのは決して簡単ではないかもしれませんが、言われてみれば「なるほど」という感じですよね。
そこで 「では、時間をチェックする時計と自販機をセットにして置いたら、購買が促進できるのでは?」という仮説にたどりつくわけです。
自動販売機にデジタルで「現在時間」と「次の電車まで◯分」が大きく表示されていると、ついつい見て(そこに自動販売機がある事を認識して)しまいますよね。
すると「あと6分もあるなら、会社で飲むコーヒーを買っておこう」となるかもしれません。
この様にお客様の行動には、何かしらのヒントが隠されています。
昔の話(飲食ビジネス始めたての頃)ですが、あるお店のトイレに爪楊枝が置いてあるのを見て「トイレに何で爪楊枝が?」と違和感を覚えた事がありました。
そこで店主に聞いてみると「実は女性のお客様は人前で爪楊枝をするのは恥ずかしいので、トイレでこっそりやっているんですよ」との答えが。
いつもトイレのゴミ箱に爪楊枝が捨てられているのに気付いた店主が、奥さんにその事を話したことで分かったそうです。
私は「なるほど!」と感心しました。
「口に入れるものをトイレに…」という固定概念がありましたが、お客様の行動を観察することで一転「気配りのサービス」になっていたのです。
こうした行動心理から「顧客目線」を抽出することはとても大事ですよね。
お客様の行動を意識して観察すると色んなところにサービスのヒントがありますよ。