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習慣価格

「3つの価格設定」
ラストは《習慣価格》についてです。

世の中の製品には長期に渡り一定の価格に維持されているものがありますが、そうした製品の価格を《慣習価格》と呼びます。

例えば『うまい棒』の値段は?
と聞かれれば誰もが「10円」と答えられるでしょう。

いつの時代も、どんな味でも、うまい棒の価格はずっと10円に設定されています。
原材料であるとうもろこしの価格が高騰しようが増税されようがずっと10円です。

うまい棒=10円
というこの認識こそ《習慣価格》です。

うまい棒は実はものすごい企業努力の上で10円という価格が現在も維持されているのですが、それはこの《習慣価格》を意識していないとは言い切れないでしょう。
(製造元である[株式会社やおきん]の企業理念や信念に基づいた部分も大いにあると思いますが)

《慣習価格》がついている製品は、一度設定されると非常に固定的であり、価格を下げても需要量は大きく伸びず、高くするとほとんど売れなくなってしまうという側面を持っています。

そのため、原材料が高騰するなど生産コストが上がっても「質量を減らす」などの対応をすることになり、あくまで価格を維持する施策がとられることが多いようです。

事実、うまい棒も材料費の高騰や増税による困難を穴のサイズや長さを変えることにより乗り越えてきました。
しかしそれは子供がガッカリしないよう配慮されたほんの微量なものです。
そうまでして10円という価格にこだわってきた[株式会社やおきん]さんには本当に頭が下がる思いですね。

ちなみに[株式会社やおきん]の令和元年度の総売り上げはなんと163億円!
同社は他にも沢山の駄菓子を発売してますが主力は間違いなく「うまい棒」なので、仮に半分がうまい棒の売り上げとしても80億円以上!

うまい棒の原価は7.5円と言われてますから25%は粗利を確保しています。
その額なんと20億円!
すごいですね〜

え〜と、少し脱線しましたが

「この商品=◯◯円」

と認識してしまっている商品って実は沢山ありますよね。
この《習慣価格》は、消費者に「価格の安心感」を与えるので、それが強みになる場合が少なくありません。
その強みを活かした戦略の組み立てもとても興味深いものがあります。

さて、3回に渡って3つの価格設定について書きましたが、どれもひとつの側面でしかなく、それらを知った上で自分ならどう活かすのかが大事だと思います。

基本に習うもよし。
基本をベースに独自に組み立てるのも良し。
新たに創造するも良し。

価格設定についても、戦略的に考えるととても面白いですよ。

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