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GAROへの道はなにで舗装されているか


その1 GAROとの再会(約5分で読めます)

これは私が音楽グループのGAROにはまったいきさつです。70年代に活躍していたGARO。まさか結成50年後にファンになるとは思ってもみませんでした。

それは緊急事態宣言に伴う自粛期間中のことです。
シナリオライターである私は、オリジナルの物語を考えていました。
「大学前の商店街にあるカフェ」を舞台にしたお話です。マンガと小説とで展開しようと、前から構想だけはあったのです。
が、普段の仕事の合間に差し込む感じで作業をしていたので、なかなか進みませんでした。
ところが、新型肺炎禍で数々の仕事が吹き飛び、外出すらできなくなり。
だったらこの機会にできるだけカフェの物語を進めようと思いました。


思ったのはいいのですが、世の中の状況はどんどん悪くなっていきます。
いつ仕事が再開できるかわかりません。一方で、景気が冷え込むことはわかりきっています。
もしかしたらこのままライターとしてやっていくことはできなくなるかもしれません。
結局不安が勝って「ものを書く」という気分になれないのです。
だからといって、何もしないわけにもいきません。
とにかく自分で自分を乗り気にさせるため、作品のテーマ曲を決めることにしました。
既成の音楽の中からそのとき書いている作品に合うものを選んでテーマ曲とするのは、よくやる方法なのです。
時間がないときには「書き上げるまで、その曲以外聴いてはいけない」というルールを課して自分を追い込みます。
すると、元々があれこれ聴きたい人間なので、一曲縛りから抜け出したくて必死で書くことになります。


今回は「大学のそばにあるカフェ」の話なので、『コーヒーショップで』(あべ静江)か『学生街の喫茶店』(GARO)だな、と思いました。
どちらも私が小学生のときに流行った曲です。


配信があるかな? と調べると、『コーヒーショップで』はすぐに見つかりました。とりあえず単品で購入。
『学生街…』はどうかな? あ。Amazon musicにアルバム「GARO2」があるぞ。prime会員対象のサブスプリクション(聴き放題)に入ってる。しめしめ。
せっかくのサブスクなので、アルバムを丸ごと聴いてみることにしました。『学生街の喫茶店』はA面の三曲目に入っています。


アルバムの一曲目は『美しすぎて』。
後でわかることですが、本来はこの曲がシングル盤のA面。
『学生街の喫茶店』はB面で、ヒットしてから表裏を入れ替えた盤が出たんだそうです。
A面とかB面とか、お若い方にはわからない言葉ですよね。
アナログのレコード盤には表と裏があって、前半を聴いたら自分の手で盤を裏返さないと後半が聴けなかったのですよ。
そして、この『美しすぎて』が、とても、良かった……。
『学生街…』とは違った、優しい優しい声の、美しいハーモニー。
全部聴いた結果、目当ての『学生街…』以外の曲も良くて、すっかりこのアルバムが気に入ってしまいました。

GAROのことが知りたい!
すごい人気者だった印象はあるけど、なにぶん自分が小学校低学年だったときのこと。殆ど覚えていません。
早速ネットで調べてみましょう。


ところがここで問題が。
私は特撮が大好き。
ヒーローものが書きたくてシナリオライターになった人間なので、検索ワードに「ガロ」と入れると雨宮慶太作品の『牙狼』シリーズが優先的に出てきてしまう。
さらにマンガも好きなので、青林堂のマンガ雑誌「ガロ」も候補に入ってくる。
これまではそれで良かったのですが、今私が知りたいのは音楽グループのGARO。
「GARO 学生街の喫茶店」などと区別するワードを付け加え、やっと求める情報にたどり着き始めます。

まずは、メンバーの名まえから。
それすらも知らなかったんですね。
マーク、トミー、ボーカル。
センターでサングラスをかけているのがマーク。本名・堀内護。
メンバー中唯一裸眼で、上手(かみて)にいるのがトミー。本名・日高富明。
帽子に眼鏡にヒゲで下手(しもて)にいて『学生街…』のリードボーカルをつとめたのがボーカル。本名・大野真澄。
この場合の「ボーカル」は担当パートのことではなく、ニックネームです。変わっていますね。
ボーカルがいちばん年上のように見えますが、年の順はマーク、ボーカル、トミーです。

調べていくと、GAROには結成前から驚くようなポイントがたくさんありました。

マークは高校生のときから由美かおるのバックバンド「ジ・エンジェルス」でギターを担当。
由美かおるってバックバンドが要るようなタイプの仕事をしてたんですね。西野バレエ団の人だというのは知っていましたけれど。
トミーは高校の同級生・松崎しげる=マツをボーカルに据えたバンドのギタリスト。
えっ、松崎しげる!? しかもトミーとバンドって。早くもトミーとマツやん。
またもやお若い方は知らないかもしれない話ですが、松崎しげるは『噂の刑事トミーとマツ』というドラマに主演していたのですよ。
このドラマはヒットして長く続いていました。

マークとマツ&トミーは同じ御苑スタジオを練習に使っていたそうです。
エンジェルス解散後、新たにバンドを作ろうと思ったマークは、マツをスカウトします。
しかしマツからは「トミーと一緒じゃなきゃやらない」との返事。
トミーを入れると、同じバンドにリードギターが二人になってしまいます。
「マークは仕方なくそのエレキギターの少年ともやることにしました。」(2012年のマークのblogより)。
こうして1968年に「ミルク」というバンドが始まります。
マークとトミーがボーカルに出会うまでには、あと一年ほどの時間がかかります。
(つづく)
(文中敬称略)

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