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オープンDの音色を追って 13

(約5分で読めます) 

 この項の9回目で、あるYouTubeチャンネルを見ていることを書きました。
 名古屋のアコースティックギターを扱うお店のチャンネルです。
 先日そこの店主さんが「THE ALFEEの坂崎幸之助さんに呼び出されました。」という動画をあげていました。
 Martin D-45の戦前スタイル(1981年製造の復刻モデル)の入荷を動画にしたところ、見ていた坂崎さんから「名古屋のツアー会場へ持って来てほしい」と要望があったのだそうです。
 入荷の動画が12月10日。呼び出された動画が12月12日。なんという早業。
果たして坂崎さんはそれを購入したのか!?
 自分が坂崎さんと同じチャンネルを見ていることに驚き、GAROが好きだと同じところに行き着くんだなぁ、と感動しました。

 さて……。
 1972年6月発売のサードシングル『美しすぎて』。
 よりによってそのB面『学生街の喫茶店』が時間をかけてヒットするとは、レコード会社も思っていなかったのでしょう。
 10月には4枚目のシングル『涙はいらない』が発売されます。
 ところがそれを傍目に『学生街…』がヒットチャートを上昇。
 ついに11月、『学生街…』はA面となって再発売されるのです。
 そして12月に発売されたのが、今回御紹介する『GARO3』。
 ファーストアルバム同様、メンバーの作品でまとめられています。
 ジャケット写真がかっこいいなぁ、と思ったら篠山紀信でした。
 このアルバムのプロデューサーは前作までのミッキー・カーチスではなく、村井邦彦・瀬尾一三となっています。
 そして、GAROのレコードデビュー前からバックをつとめていた小原礼(ベース)、高橋幸宏(ドラム)が参加しています。
 ファーストアルバムの時点では「プロとしての実績が少ない」との理由で参加できなかったそうです。失礼な話だ。

『涙はいらない』
作詞/作曲:堀内護 編曲:宮本光雄
 アルバムの開幕は美しいバラード。
『メロディ・フェア』に想を得て作られたらしいですが、「言われてみればそうかな」程度で、そっくりだとは思いません。
 マークのソロ曲にメンバーがバックコーラスで入っているという感じ。

『愛の言葉』
作詞/作曲:堀内護 編曲:宮本光雄
 これもマークのソロにメンバーのバックコーラスみたいな。
 心からの愛の言葉を捧げているのに悲しげ、という不思議な曲。

『オールド・ファッション・ラプソディー』
作詞/作曲:日高富明 編曲:宮本光雄
 マーク作品が二曲続いたあとにはトミーの二連発。一転してポップなラプソディーです。
 老後まで含めた人生のイメージを歌っていますが「テカテカやかんのおじいちゃん」になったトミー? 想像がつきませんね。
 きっとかっこいいベテランギタリストとして尊敬されているんだろうな。

『心の鍵』
作詞/作曲:日高富明 編曲:GARO
 夏の歌ですが、ちょっと感傷的な、晩夏といった感じ。
 美しいピアノのイントロはマークも気に入っていて、のちにマークfromGARO『Pale Lonely Night』で再現しています。

『時の魔法』
作詞/作曲:堀内護 編曲:宮本光雄
 多作なマークの代表作の一つ。
 ライヴでもめちゃくちゃ盛り上がっていることが想像できます。
 La La……ポップスにはよくあるスキャットが、こんなにかっこいい歌い出しになるなんて!

『一人にしないよ』
作詞/作曲:日高富明 編曲:GARO
 A面の最後は『心の鍵』と同じようにトミーによる静かな曲。
 ギターの弦を押さえる音までが切なく響きます。

『木馬』
作詞/作曲:堀内護 編曲:GARO
 B面の始まりはご機嫌アップテンポな曲。
 でも詞は恋人(友人かも?)に対して怒っている、仲たがいの歌。
 決裂していく二人は木馬に乗って離れ離れになるようです。

『遠い春』
作詞/作曲:堀内護 編曲:GARO
 マークはフォークソングのような曲も書けるんですね。
 アコースティックギターを持っているだけで「フォークソングでしょ」と言ってくる世間に対して「こういうのがお好み?」と突き付けてみたのかしら。
 春霞のように淡いイメージです。

『ディスカバー・ピクニック』
作詞/作曲:大野真澄 編曲:宮本光雄
 ついに来ましたボーカル作品!
 とってもハッピーな、恋人とピクニックに行く曲です。
 電車で郊外へ。おにぎり六個と水筒とお菓子を持って、ジーンズにポロシャツで。
 なんて素朴でかわいらしいんだろう。

『僕のすべて』
作詞/作曲:日高富明 編曲:GARO
『心の鍵』『一人にしないよ』との三部作なのかもしれない。
 雰囲気が似ています。
 トミーが描く「君」や「あなた」は、掴みどころのない魅力のある女性=フェアリー(妖精)っぽいと思います。

『幸福』
作詞/作曲:大野真澄 編曲:宮本光雄
 歌詞を読んでもよくわからないんですが、私はこの曲が「好き」です。
 理屈じゃないんですよね。
 シンガーソングライターは他人に曲を提供することがありますが、結局は自分が歌ったときにいちばん映えるように書いてあると思うのです。
 ボーカルの曲もボーカルの声で聴くのがいちばんです。

『明日になれば』
作詞/作曲:日高富明 編曲:宮本光雄
 動画投稿サイトで『ヤング・インパルス』でGAROがこの曲を演奏しているのを見ました。
 エレキギターが多く入っているので、その部分はトミーが弾くものだとばかり思っていたのですが、意外にもリードギターはマークでした。
 トミーは歌に集中?
「チェックのシャツ ステキだね 僕もつらいんだ」という歌詞が私にとってはツボなのです。
 相手の服装を褒めておいてからの「僕もつらい」ってどういうこと? 飛躍がすご過ぎる。
 なのでいつもそこを聴くと笑ってしまいます。
 明るくてテンポも良く、ラストの曲にふさわしいですね。

(つづく)
(文中大部分敬称略)

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