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オープンDの音色を追って 83 ~ボーカルのプロデュース秘話~

(約7分で読めます)
 たいへんです。まったく知りませんでしたが、ボーカル(大野真澄)の番組出演がありました。しかも二回にわたって!
 嬉しい。教えてくださった方、ありがとうございます。
 You Tube『柏原芳恵の喫茶☆歌謡界 #89 ゲスト:大野真澄(元GARO)』

 後編の方が再生回数が多いのはなぜだ。
 公開は約一ケ月と期間限定ですので、早めにご覧ください。
 前編では『学生街の喫茶店』『君の誕生日』、後編では『あなただけを』が歌われました。

ボーカルのプロフィール

 ギターを持って来店したボーカルの注文は、ダージリンティー。
 ブラックコーヒーやお酒じゃなくて、紅茶なんだ。意外。いや、純喫茶という設定ならお酒はありませんよね。
 紅茶はルピシアのこれでしたので、私も買おうと思います。

ルピシア ダージリン セカンドフラッシュ

幼少期のボーカル
 自動車や電車の絵を描くのが好きだった。
(モチーフとしてむずかしいのに。それを描くのが好きだということは、画力があるということですね)
 三浦洸一、三橋美智也などの流行歌を聴いて育っていた。
 小学校三年の頃、おじさんがレコードプレイヤーを入手。それで聴いたのが『Be-Bop-A-Lula』『You Are My Destiny』『Calendar Girl』などのアメリカンポップス。

上京~GAROへ
 絵を学ぶため18歳で上京、セツ・モードセミナーへ。
 ミュージカル『HAIR』のオーディションがきっかけでマーク(堀内護)、トミー(日高富明)と知り合う。
 最初は彼ら二人が組んでいて、誘われたが、声が合わないので断っていた。
 しかしあるとき「一緒にやらない?」と飛び入りを促されてやってみたらうまくいった。
 聞けば、タイガースのマネージャーをしていた中井國二が二人のマネージメントをするという。
 日本のブライアン・エプスタイン(ビートルズのマネージャー)と目される人がマネージメントするなら、と、加わることにした。

大ヒット
 GAROのレコードのプロデュースはミッキー・カーティス。
 ミッキーとのレコーディングはとても良かった。メンバーの意見を通してくれる。細かいことは言わない。楽しくその場を盛り上げてくれた。

 最初は『美しすぎて』のB面だった『学生街の喫茶店』がTBSラジオ『ヤングタウンTOKYO』の「今月の歌」に選ばれた。
 それをきっかけに北海道の方の有線(放送)で(1972年)9月頃、一位になった。11月にA面とB面が入れ替わった。

レコード大賞大衆賞~紅白歌合戦~数々のテレビ出演
(1973年)レコード大賞大衆賞受賞。
  その直後に紅白歌合戦に出場。
 慌ただしかったため、リハーサルのことは覚えていない。吉田拓郎がビデオに録ってくれていたので、紅白を終えてその足で拓郎宅へ。当時のビデオは一時間しか録れない仕様。そこで自分の歌っている姿を初めて見た。
 ビデオデッキが欲しくなって、45万円くらいするのを月賦で買った。
(月賦って言葉、聞かなくなりましたね。ローンのことです)

 象印の番組で、田中角栄、上條恒彦のモノマネをやった。
(『象印スターものまね大合戦』)

『学生街の喫茶店』と『君の誕生日』
『学生街の喫茶店』のイントロ(♪ザッザッザッというような)はどうしてああいう感じになったのか。
(編曲の)大野克夫に訊くと「ダビングの日に二日酔いで何も考えられなかったから」。
『君の誕生日』の間奏には『学生街の喫茶店』のメロディーが入っている。
「え? ちょっとやり過ぎじゃない?」と思った。
 実は『学生街の喫茶店』は初期にはアップテンポのバロックだった。
 すぎやまこういちは本来の構想通りのテンポの『学生街』メロディーを入れたくて、ああしたのではないか。
(あまりにもあからさまに『学生街』が引用されている部分は、私もどうかと思っています。しかしそういう事情もあったのかもしれませんね)

命名・GARO
 グループ名の候補は三つあった。
 我朗ガロ。スヌーピー。PYGピッグ(Peace Young Generation)。
 僕らは三人ともPYGがいいと思ったが、いろいろ話しているうちGAROになった。
(のちに沢田研二・萩原健一のグループ名になったPYGはこの頃から在ったのですね)

THE ALFEEと
 高見沢とは飲み屋で出会った。彼は酒がとても強い。
 彼らのシングル盤をプロデュースしたこともある。
『メリーアン』(1983年)がヒットしたときには本当に嬉しかった。
(マンションの)1Fから2Fへ引っ越すとき、坂崎と桜井が手伝ってくれた。

あなただけを
「猫」の常富喜雄つねとみのぶおが「こんな曲書いたんだけど、詞を書いてくれないか」と言ってきた。プロデューサーからは「湘南サウンドで」という発注。
 さわやかな曲だな。歌うのはあおい輝彦か。海をテーマに失恋の歌にしよう。18か19の頃、失恋して、パシフィックホテルがあった頃の湘南に行ったので、その思い出を元に、盛って、詞を書いた。
 あおい輝彦からは「(歌詞の)アタマが『あゝ』なのはなぜ?』と言われた。新鮮だったということ。
(GAROの『遠い春』作詞・作曲/堀内護 も「あー」から始まります。あれはコーラスであって歌詞ではないということでしょうか)

ディレクション、プロデュース
『あなただけを』がヒットしたので、依頼があって、あるロックグループの指導をした。曲の作り方、まとめ方など。ディレクションはミッキー・カーティスのやり方を手本にして盛り上げた。

 仮歌もやった。
 内田裕也『さらば愛しきひとよ』(1982年)、これはディレクションもした。
 松田優作の仮歌をやったら、そのうちの一曲が映画主題歌に採用された。『野獣刑事デカ』主題歌『泳ぐ人』(1982年)。音は仮歌のまま。クレジットは大野轟二おおのとどじ。親父が姓名判断に凝っていて「轟二にしろ」って(笑)。

『泳ぐ人』 このジャケ写と「轟二」では、大野真澄だとはわかりませんね

 SALLY、石黒ケイ、三浦友和のプロデュースもした。
 三浦友和とは彼が高校を卒業したばかりの頃に(覚えていなかったが)一度会っている。
 GAROとRCサクセションのジョイントコンサートの楽屋に三浦友和がいたから。
(忌野清志郎と三浦友和は高校の同級生)

 レコード会社から「三浦友和と百恵さんをデュエットさせたい」と言われた。三浦友和に話をしたところ、百恵さんからの推薦で、デュエットの相手は岩崎宏美になった(『Love Is The Ocean』duet with 岩崎宏美)。とってもいい曲。
 それが縁で、自分もカバーアルバムで岩崎宏美とデュエットをした(アルバム『VOCAL’S VOCALS』収録『フィーリング with 岩崎宏美』)。

VOCAL’S VOCALS

今後の展開
 GAROのベストアルバムが出たので、今後は自分の新たな曲をまとめて出したい。なるべく早いうちに。

番組に残されたボーカルのサイン

 この番組、エンディングには「撮影協力 サンスタジオ門前仲町」とありました。
 門前仲町といえばトミーの実家です。縁がありますね!

(つづく)
(本文敬称略)

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