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オープンDの音色を追って 92 ~「いらない」とか「聞かない」とか~
(約3分で読めます)
今年も阪神淡路大震災の日を過ぎました。
私は当時兵庫県の実家で被災したので、大勢の方々に助けていただきました。
改めまして、あのときはありがとうございました。
先日『しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村 第163夜 第8回松本隆縛り歌合戦』を見ました。
GAROのシングル曲『ビートルズはもう聞かない』を歌うためにボーカル(大野真澄)が出演したからです。
『ビートルズはもう聞かない』は、ざっくり言うとGAROの10枚目のシングル盤です。
しかし、厳密に言うと、12枚目かもしれません。
GAROのシングルが世に出た順番は、以下のようになっています。
『たんぽぽ』
『地球はメリー・ゴーランド』
『美しすぎて』
『涙はいらない』
『学生街の喫茶店』★
『君の誕生日』
『ロマンス』
『一枚の楽譜』
『姫鏡台』
『ピクニック』
『公園通り』★
『ビートルズはもう聞かない』
『一本の煙草』
『さいごの手紙』
『一枚の楽譜』から『姫鏡台』を経て『ピクニック』。迷走感がすごい。
どう見ても『姫鏡台』が珍品過ぎる。
『神田川』みたいな線を狙ったとしても、GAROにこれはない。
★印をつけた盤がイレギュラーで、これらをカウントすべきかどうか迷います。
『学生街の喫茶店』は『美しすぎて』と同じ内容で、『学生街…』のヒットにともないA面とB面を入れ替えたものです。
『公園通り』は渋谷パルコ開業時のプロモーション盤なので、市販はされませんでした(昨年復刻)。
というわけで「大体10枚目」なのが『ビートルズはもう聞かない』なのです。
ボーカルと松本隆が話し合って詞ができたそうです。
番組にもビートルズのバッジをつけて出演しているほどビートルズファンのボーカルが、それを「もう聞かない」なんて曲を歌うのは皮肉な感じです。
いい曲なのですが、アレンジでピアノが目立っていて、GAROが得意なギターが間奏のエレキまで前に出て来ないのが少し残念です。
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松本隆作品ではもう一曲、ボーカルがソロになってからの『マリア』(作曲・吉田拓郎)があります。
こちらは題名や歌詞の内容からいってもキリスト教がモチーフですね。
ボーカルが吉田拓郎と仲良しなのは周知の事実ですか?
私はGAROファンになるまで知りませんでした。
1月17日のラジオ『K's TRANSMISSION』では、ボーカルのソロ曲『ラブソングはいらない』がかかりました。
GAROが解散してから約一年、1977年6月発売の曲です。
作詞も作曲もボーカルですが、聴いてみて「なんか吉田拓郎っぽい」と思いました。
『ラブソングはいらない』から「いらない」つながりで、GAROの『涙はいらない』(作詞作曲・堀内護)のことを思いました。
これは名曲なのに、その前に出た『学生街の喫茶店』のロングヒットのせいで陰に隠れてしまったことが私はとても残念です。
ちなみに『小さな恋のメロディ』の『メロディ・フェア』の影響下にある曲だそうです。
マーク(堀内護)にはソロになってからも『ガラスの涙はもういらない』(作詞・松井五郎/作曲・堀内護)があります。
さらに、GAROファンで、初めて人前で歌ったのが『地球はメリー・ゴーランド』だという鈴木雅之には『もう涙はいらない』という曲があります。
涙は嫌われがちなんですかね。
(つづく)
(本文敬称略)