オープンDの音色を追って 51 ~松崎しげるの証言~
(約5分半で読めます)
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
はなはだ遅ればせながら、今回からサブタイトルをつけることとしました。
何について書いたのかをわかりやすくするためです。
以前のものにも順次追加する予定です。
先日、GAROファンの先輩から動画を見せていただきました。
『永遠のロッカーたち』#11「GARO」。
wowowプラス歌謡ポップスチャンネル 2018/06/04放送。
大野真澄、松崎しげる、村井邦彦の証言によってGAROの軌跡をたどる30分番組です。
GARO結成前、トミーとマークが松崎しげるをリードボーカルに据えたバンドを組んでいたことは、GAROファンにはよく知られた事実です。
しかし、松崎しげるがGAROに言及している場面というのは、私は見たことがありませんでした。
今回は番組の中から松崎しげるの発言をまとめます。
以下の文章での太字の部分が松崎しげるの発言です。
バンド・ミルクのこと
「トミーとは日大一高で一緒。スーパーギタリストと言われた日高富明。卒業するとき日高は一緒に僕と『音楽をやりたい。』」
このいきさつが、従来言われていることとちょっと違います。
マークのインタビューでの発言やblogでは、
・マークのバンド・エンジェルスと、トミーとマツ(松崎しげる)は同じ御苑スタジオを練習に使っていた。
・抜群の歌唱力で目立っていたマツを、マークは認識していた。
・エンジェルスが解散した後、マークはマツをリードボーカルに据えたバンドを作りたいと考え、彼を呼び出した。
・そのときトミーが一緒に来た。
・マーク「あの子はリードギターでしょ。(僕もリードギターだから)二人も要らないんだけど」
・マツ「俺はあいつと一緒でないとやらない」
・マークはしかたなくトミーとも一緒にバンドをやることにした。
ということで、マークの側からマツを誘っています。
本当はどちらが主体的に行動していたのか。
マーク証言の方が正しい気がします。
マツの側でメンバーを募集したなら、トミーとポジションのかぶるリードギターを募る理由がないからです。
そして、ポジションかぶりのマークとトミーは交互に脱退と復帰を繰り返していたといいます。
最終的にミルクがホット・ミルク名義で『ハッシャバイ』でデビューしたときには、マツさえもいなくなっています。ソロでデビューすることになったからです。
シングル盤『ハッシャバイ』のリードボーカルはトミーですが、それも音源のみで、ジャケット写真にトミーはいません。GAROを結成することになったからです。
レコーディングから発売までにタイムラグがあったため、在籍していないメンバーの歌でデビュー盤が作られた形になったようです。
マークがミルクを抜けたことに関しては、マツはこうも言っていました。
「マークは自分が前に立ちたかったんだよね。ボーカルをやりたかった」
そうなのかな。
圧倒的ボーカリストのマツがいるのに「自分が歌いたい」と言うかな?
マークは「意外と僕がわがままなので」と言っていたことがあるので、我の強い部分をマツに感じさせたことはあったのかもしれませんね。
GARO結成に関しての松崎しげるの所感
「僕が70年にソロデビューをして、トミーがマークとたまに練習してたらしい。その時、大野が一緒に合体した」
「だから、音楽に関しての影響力は、僕が(GAROに)入ってもより強力なものになったとは思うんだけど『俺はあの中でボーカルのようなファッショナブルな男でいられたかな』って思うと(自分が入っていれば)また全然違うGAROだと思います」
「自分たちが本来やりたい音楽を自分たちの趣向性でできるというのに、ものすごくジェラシーを感じた」
「音楽好きの、音楽をわかってるファンというのはまずいちばん最初に彼らにワーッと来ましたよね。やっぱり、声がよく聞こえる、声のハーモニーが全部その音楽を持っていく。
アルフィー(THE ALFEE)のメンバーがGAROに憧れて、モギリでもいいからやりたい。それぐらいGAROが残した爪痕って、すごい」
「東京音楽祭で初めて歌ったのが、まだA面だった頃の『美しすぎて』」
(B面が『学生街の喫茶店』)
「素晴らしかった。初めて日本じゃない匂いのするものを聞いた、見たっていう感じ。
音楽にしても見た目にしても歌ってる声にしても最高だった。
悔しかったけど、めちゃめちゃに拍手を送りました。
やっとこの時代が来たと思いました」
学生街の喫茶店に関しての松崎しげるの所感
「それが『学生街の喫茶店』になったときには、(ズッコケて)こんなになりましたよ僕も。
よく日高が俺んち遊びに来てさ。
(トミー)『嫌なんだよね』『嫌なんだよね』
(マツ)『おまえらのヒット曲だ』
でも、マークもやっぱり嫌いだったらしい」
「時代の流れとか、様々なことで自分たちの趣向性とはちょっと違う路線で彼らは……。
だからメンバーが毛嫌いをしたっていうのはわかるような気もするし、彼らの大ヒット曲になったのは、やっぱり代表曲がこれなんだよっていうのはね、逆に、言ってあげたいし」
GARO解散に関しての松崎しげるの所感
「すっげえ寂しかったよ。
やっぱりGAROは解散しないで、このまんま音楽業界でいろんな風にミュージックシーンを引っ張っていく、そういう腕の持ち主ばっかりだったんでね。
僕らにもっともっと刺激を与えてほしかったっていうのが本心かな。
GAROがやってきたサウンドを残すためには、誰かがそれをやっていかなくちゃいけないってことになるし。
だからボーカルがやっていることはもう絶対に良いし、唯一、生き残りのメンバーだしね。
あのミュージシャン三人だったら、間違いなくものすごい人に影響力のある音を発してくれたと思いますね」
(つづく)
(文中敬称略)