一通の手紙から確信を持ったこと
3ヶ月前、大学時代の友人が亡くなった。
乳癌を患っていながら、最後まで仕事を続けていたという話を聞いて、卒業から会っていないとはいえ35歳という若さで亡くなったことにショックを受けた。
今回、そんなわたしに一通の手紙が届いた。
この手紙をもらわなければ、彼女のことをここに書くこともなかったと思う。
届いた一通の手紙
友人は非常に優秀な学生だった。
学科が異なったため、そう多くは話すことはなかったが、声楽専攻でありながらピアノ演奏も上手でよく伴奏もしていた。初見演奏は学部の中では随一だった。
それほど大きな学校ではなかったため、学部内でも仲が良く、友人とも顔を合わせる日は多かったし演奏会でもよく一緒に合唱や室内楽を楽しんだ。
大学卒業後は東京の大学院へ進んで、留学し、母校の大学で講師として勤めていた。
彼女の活躍に、遠くにいながら励まされたことは多々あった。
だからこそ、訃報のショックは大きかった。
そんな彼女の母親から、弔電のお返しと一緒に一通の手紙が届いた。
もちろん親御さんとの面識はない。
なので予想外の出来事に驚いた。
病歴があっても後回しにしがち
彼女自身、進んで自分や友人の話をすることはなかったらしく、親御さんがわたしの名前をネットで調べてどんな関係性だったのかを知り、手紙を書いてくれたらしい。
手紙には達筆な文字で、娘の治療のこと、いつまで仕事をしたということ、そしてわたしへの育児と仕事への励ましのメッセージと最後には「検診を受けてほしい」という旨の内容が書かれてあった。
涙なしでは読めない。
3枚の便箋には、いろいろなことが書かれていた。
わたしは23歳のときに、卵巣嚢腫の手術をした。
沈黙の臓器と呼ばれる卵巣だが、幸か不幸か下血の症状があって受診した。
初診で3センチほどの腫瘍といわれたが、切除すると5センチ強の大きさだったらしい。
卵巣腫瘍の場合、90パーセントが良性だ。
しかし、当事者になってみると楽観視はできない。手術をしなければならないし、もし万が一悪性であれば卵巣癌だ。
結果的に良性ではあったが5年以内に再発する可能性もあり、半年に1回の検診をして今年で12年になる。
なので人よりかは少しだけ、検診に対しての意識は高いと思っていた。
しかし、それでも。
婦人科や検診に行くのを後回しにすることがある。めんどくさいというよりも、あまり行きたくない感じ。
女性ならそういう人は多いのではないだろうか。
できることは限られている
乳癌検診も去年初めて行ったが、周りでも「検診に行かなきゃとは思ってるんだけど」と言いつつ、なかなか行きにくいよねって話していた友人も多い。
わたしも出産前は卵巣の手術以外に婦人科に行くきっかけがなかったし、産後は子供のことで自分のことは後回しにしがちだ。
しかし、今回手紙をもらって思った。
乳癌で亡くなった友人や、癌で闘病している方々にしてやれることは少ない。
心配したり悲しんでも、病気が消えてなくなるわけでもない。
できることは、検診に行くこと。
乳癌検診、子宮がん検診などの検診に定期的に行くことしか、わたしは亡くなった友人にしてやれることはない。
「必ず検診に行ってください。親より子が先に死ぬことがないようにしてくださいね。」
という手紙の一文は、わたしに重く響いた。
私ができることは検診の重要さを伝え、家族や自身の健康を守っていくことだと思っている。