ひとりになりたいとき#41
わたしは、ひとりになりたいと思う時が多い。
子育てをしていると、そう思ってもすぐにできるわけではない。
ママにそばにいて欲しい、という気持ちはもうすぐ5歳になる長男も2歳の次男もどちらもそう変わらない。
特に次男はまだまだ手が掛かるので、ひとりになれる時間はこの5年間あまりなかった。
しかし先日、母が自宅に遊びに来ており、子供を預かってくれるというので、お言葉に甘えて存分にひとり時間を満喫してきた。
完全にひとりの状態で出かける、ということがないので、なんていうかドキドキする、気持ちが落ち着かない。
授乳や寝かしつけだとか子育ての習慣が身につきすぎていて、子供がいないという状態がそもそも違和感がある。
授乳は今はもうしていないが、2,3時間おきの習慣を1年も続けるといつも子供のことを気にかけている癖がついた。
そんなことを考えていても時間が勿体無いので、どうしようかな、と思う暇もなくわたしはすぐに熊本市にある島田美術館へと車を走らせた。
最後に来たのは5年前は、夫と0歳だった長男とわたしの父と訪れた。
閑静な住宅地にある島田美術館は、美しく手入れされた木々が美しく、門をくぐるとそこには別世界が待っている。
この日は気になっていた個展があったのでそちらで絵の鑑賞を楽しんで、館内にあるこの景色に向かった。
宮本武蔵関連の展示室の奥にあるこの空間は、5年前に来たときに大好きな場所になった。
大窓から庭園をよく見ることができ、敷地が相当広いことがわかる。隣の住宅なども見えず、まるで森の中に来たような雰囲気だ。
オープンと同時に行ったので、30分経ってもまだ誰もおらずひとりで椅子に座って庭園を眺めた。
個展の余韻に浸りながら、この数ヶ月の自分を振り返ったりしながらも考えすぎるわけでもなく、ただぼんやりとしていた。
やっぱりここに来て良かったな、と思った。
百貨店やショッピングモールなど行きたい場所、仕事の関係で行っておきたい場所は多々あったが、島田美術館を選んだのは個展が見たかったことと、この椅子に座りたかったから。
満ち足りた気分になる。
家族と出かけるのももちろん楽しい。
けれどもこの美術館にはひとりで訪れたい。
ゆっくりとした時間が流れ、自分自身もその穏やかな時間に身を委ねることができる不思議な空間。
瞑想するような、そんな気分にさせてくれる。
ひとりになりたいとき、心の避難所のような場所をいくつか持っておくのも良いなと思った。